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前歯1本をジルコニアセラミックにした話

皆様おはこんにちばんわ、アラサーのT93です。
歯の話をします。

私は生まれつき歯の質が非常に弱く、また幼い頃に親が噛み砕いた食べ物を与えられた影響で早くから口の中に虫歯菌が住み着いたため、幼少期からものすごく虫歯の多い人生を送ってきました。
歯医者に通った回数なんぞ数知れず。通った回数が多すぎてもはや歯医者に行くことになんの抵抗もないし、むしろ行くのが当たり前だと思ってるし、多少の痛みじゃ動じないという無駄に高い歯医者耐性を手に入れました。
治療してない歯を探す方が難しいし、口腔内にいくら課金してるのか数えない方が幸せなんじゃないかなと思います。

そんな私が、昨年2022年に前歯1本をジルコニアセラミックにした話を書きます。
この記事は、「神経抜いてしばらく経ってる歯をセラミックにしたいけど、どうしようかなぁ…」なんて迷ってる人が読んで何かしら参考になればいいな、と思って私の体験談を書き記しておくものです。

最初に結論書いておきますね。
バチコリ高かったけどやって良かった。後悔は一切無い。
です。

なんで前歯をセラミックにしようと思ったか


2020年頃から通っている歯医者に、前歯の耐久年数を指摘されていました。簡潔に言うと、「いつ折れてもおかしくないよ。」という状態でした。
場所は私からして左の上の前歯、人から見ると右の上の前歯ですね。この歯は私が中学生の時に結構深い虫歯になり、神経を抜いてました。私自身もいつかは折れるな〜と思っていたので、その時が近いことを2年くらい前から覚悟してました。
なんで覚悟できていたかと言うと、私が子供の頃、自分の父親が今の私と全く同じ状態で、家族で超美味しいスペアリブを家で食べていたら

「カチャン!」

と父の前歯が折れてお皿に落っこちたのをこの目で見ているからです。
知ってた?骨付き肉に齧り付くと折れるんだよ。神経抜いて時間が経った前歯って。

なんで折れるかって話をしておくと、神経を抜いた歯には栄養が送られなくなります。そのため歯の強さが経年劣化で失われていき、脆くなります。見た目も白い見た目からくすんで少し暗い色になります。私の前歯もセラミックに置き換える前はくすんでました。私の前歯でっかいし、あんまり歯を出して笑いたくなかったな…。
脆くなった状態の歯で、骨付き肉に齧り付いたり、お煎餅齧ったり、あずきバーなんて食べようものなら歯が負けてポキッと折れてしまう危険度が超高いわけです。
んでもって、途中で不意にポキッと折れた場合、折れ方によってはインプラントやブリッジするしかない場合もあるそうです。口腔外科が専門の院長がそう言ってた。おそろしすぎる。さすがにまだインプラントしたくない。セラミックの被せ物するより圧倒的に高いし。
院長「そうなる前に、歯の形が全部ある今の状態から作る方が絶対に頑丈で綺麗に作れますよ。」
ということで、私は神経を抜いてからもう15年も経過していて歯医者に「いつ折れてもおかしくない」と言われている前歯が不意に折れることを恐れ、2年ほどの間「前歯で思い切りかじりついて食べる行為」を自重してました。
で、お金が溜まった時に「折れる前にセラミックに置き換えよう」と決心したわけです。そこから2年かかった…

どういう流れで作ったか

さて、2年くらい経って「ヨシ!お金も溜まったし満を持して左の前歯をセラミックにしよう!」と決心します。
決心してからは、歯医者の定期検診の時に「この歯をいよいよセラミックにしようと思うんですけど…」と相談。その時に説明された流れなどはこんな感じでした。

①歯根治療のやり直しを推奨された


これはなんでかって、せっかく高〜いジルコニアセラミックを入れても時間経過で根っこが炎症起こしたら、高〜いジルコニアセラミックをもう一度作らねばならないから。んで、ジルコニアセラミックを被せ物として使うためには元の歯をどうしても削らねばならない。ここは承知してた。でもその削った時の刺激で炎症が引き起こされたり、土台が脆くなってたらジルコニアセラミックという非常に屈強な素材に負けてしまうかもしれない…と言われたわけです。
歯根治療の重要さはこの身をもって…いや、この歯をもって散々思い知っているので、そりゃやり直します!と二つ返事。
さてこの歯根治療にも2種類あります。ひとつは、保険適用のもの。もうひとつは、より屈強で長持ちする保険適用外のもの。
正直、めちゃくちゃ迷いました。だって保険適用外の歯根治療、9万円もするんだもん。
とはいえ、その上に被せるものは16万のジルコニアセラミック。上に来るものの質に合わせた方がいいに決まってるし、長持ちさせることを第一に考えよう…

ええい!

「保険適用外の歯根治療します!」

そう返事しました。予算オーバーするけど仕方ねえ。将来の歯のための先行投資だ。そして私はあずきバーにかじりつきたいんだ。

②歯根治療専門の先生に歯根治療をやり直してもらった


元々神経のない歯なので、一応麻酔はしてましたけど特に酷い痛みなどもなく治療は進みました。治療というか置き換えよな。
ただ、前回の治療が15年も前なのに炎症も起こらず歯も折れずしっかり保たれていたのには、この15年前の歯根治療が保険適用の内容にもかかわらず根っこの奥まで密度高くしっかり施術が行われていたところも大きかったようです。
先生が「すごくしっかり奥まで密に詰められてますね…!なかなか取り切れない…これは凄い!前の先生もいい腕してます。」とか言ってた。お手を煩わせてすみません…と他者の治療痕と格闘してる先生に思いを馳せつつ、前歯の根っこの空洞を綺麗に掃除してもらい、消毒して1回目の施術は終了。仮の蓋を作って閉じました。
その後ほじくり返した刺激で歯根の深くに炎症が起きたり痛みが出たりしないかをレントゲン撮って確認したりしながら1週間くらい経過観察し、問題なかったのでいよいよ保険適用外のガチガチ土台を詰めてもらうという流れに。
2回目の施術で中身を詰めた時も麻酔はしてましたが特に痛みとか出ず、先生に任せっきりで無事終了。蓋は院長がしっかりしたのを詰めたりしてセラミックの土台となる形を作るので、程よく違和感のない普通の蓋をしてくれました。
時間は1回目の清掃と2回目の施術でそれぞれ1時間半くらいはかかりました。歯根治療って時間かかるんだよねぇ。顎外れるかと思った。(開口機つけてくれるのでしんどさは軽減してました。)

③ジルコニアセラミックの歯を作るための準備開始


歯根治療の置き換え完了から2週間後くらいに、いよいよジルコニアセラミックに置き換える為の準備が始まりました。
・型どり
確か、元の歯の形で上下の歯型と咬み合わせの型を取りました。
歯科衛生士さんが新人さんだったのか、上下合わせて5回くらい型取りやり直した気がする。私は過去に歯列矯正もしたし、現在は食いしばり癖の対策のためナイトガードを愛用している身なので、歯の全体の型どりされることには非常に慣れているため「おっ、もう1回ですか?いいっすよ〜アハハ!どうぞどうぞ!」という感じで綺麗に取れるまで頑張りました。
これ慣れてない人はオエッてなり続けるからしんどかっただろうな。いや、慣れてるのもおかしな話なんだけどさ。
ちなみに型取り素材はほんのりミントの風味とほんのりスースーした感じがします。場所によって暖かいもの追加したりしますが基本はひんやり冷たいです。最初は柔けぇチューイングキャンディみたいなムニュッとした感触で、数分でゴムみたいな硬さに固まります。その間動けないので、やったことない人は事前に「初めてです!!!」ってアピールした方が良いと思います。通常、けっこうオエッてなると思う。
歯の写真撮影
私の歯の写真を撮影。隣に歯の色見本を置いた状態の写真も何枚か撮影。

これらの資料となる物は、院長が信頼する歯科技工士さんの元へ送られまして、それを元に歯科技工士さんが我が相棒となる左前歯を作ってくれるわけです。

さて、それと並行して「ジルコニアセラミックの被せ物が来た時にスポッと滑らかな抜け勾配でハマる、元の歯の土台の形」を作ります。
再び麻酔して院長が私の元の歯を削ります。あぁ、さよなら元の歯。土台となり頑張ってくれ。これはちょっと切なかったな。奥歯は散々被せ物してるんで削ってきたけど、前歯は初めてだったので。
とはいえこの院長、ま〜大変腕がいいので、キレ〜に削ってくれました。さすが口腔外科が専門なだけある。この状態で再び上の歯だけ型取して、歯科技工士さんが私の相棒となる歯の内側を作るための材料として送ります。
型どりしてる間に院長が後ろで仮歯を作ってくれました。これもまた上手なんだわ。色はさすがに違うから分かるけど、サイズとか内側外側の舌触りとかに違和感がとても少ない。院長、「僕これ作るの上手い自信があるんですよ」って言うだけのことあるわ。ほんとかよ〜wとか思ってごめん。上手いよ。これは上手い。すげえよアンタ。アンタに頼んでよかったよ。
てなわけでこの時は仮歯を装着して終了。

④ジルコニアセラミック到着。フィッティングと色確認。


さて③の時から2週間くらい?経過して、歯が完成したので実際に装着です。
ところがどっこいこれが色が白すぎて浮いちゃいました。形やフィット感は超絶完璧です。すげえ。これ自分の歯の形だ。歯科技工士さんってマジですげえな。
ホワイトニングする趣味はなく今の歯の色は自然で好きなのと、治療痕が多すぎてホワイトニングされない箇所が目立つと思ったので自分の歯を白くする選択肢はありません。素材もなんか色々入ってるしな…どこの治療にどの素材使ったかなんて覚えてないし。そもそもどこを治療したかすら覚えてねえ。多すぎて覚えてられねえよ…
ということでまさかの色味調整のリテイクに出しました。また2週間待ちます。
まさかのと言いつつ、歯の1本に16万という庶民の感覚では大金になるものを払うんだから完璧に納得したものにしたいので、リテイクによって歯の完成が遅くなることに対しては残念でも何でもなかったです。
納得出来るまで付き合ってくれるいい歯医者さんだなぁなんて思ったし、なにより院長の作った仮歯がなかなかに快適なのでもう2週間くらい全然平気で待てるな〜、これで完璧な歯が来るなら最高だ!という心持ちでした。
院長曰く、「おそらく技術さんが思っていたより歯の透明度が高いですね。たま〜にありますよ。色調整してもらいましょう!」とのこと。歯を仮設置した状態で色見本を歯の横に並べて再度写真を撮り、技師さんに送って調整してもらいました。
このリテイクで追加料金は取られなかったと思います。

さて、2週間くらい経った後に色味が調整された歯が来ました。仮設置して色味を確認します。

院長「あ!いいですね〜うん、完璧ですよ!」
私(わくわく(((o(*゚▽゚*)o))))

ということで仮設置された(接着剤使わずスポッとはめただけの状態の)新しい自分の前歯と再度ご対面。

私「すげえ!私の歯だ〜〜!!!おおお!自然!おおおおお〜〜!!!!!」

ということで超絶完璧に自分の歯だと思えるジルコニアセラミックの屈強な左前歯が完成しました。いやほんと、凄い。16万するだけある。こだわって良かった。まじで妥協せずにわがまま言った方がいいです。迷惑かな…?とか、妥協とか、そういうの考えなくていいです。こだわれ。高いんだから。

こんな感じで私の自慢のジルコニアセラミックの左前歯は無事完成しました。

んで?結局いくらかかったの?

これは気になるところですよね。
私は歯根治療も保険適用外の強くて長持ちするものを入れました。そのため高めになっています。
歯根治療 99,000円
ジルコニアセラミック 168,000円
合計 267,000円

でした。上記に麻酔やセラミックの色調整、歯根治療時の疼痛対策の鎮痛剤処方の代金なども含まれてます。決済はそれぞれクレジットカード可でしたがこれは病院によりけりだと思います。
引き落としが普段のカード使用時の決済と同時に来たので目玉飛び出るかと思う額になりましたが、ポイントをがっちょり稼げたのでヨシとします。

正直余裕がないと払えない金額かな、と思います。
ドラム式洗濯機買えちゃう金額よ。そこそこ良いゲーミングPCも買えるかも。一眼もそこそこのものを1式揃えられるし、キャンプ用品も1式揃うくらいの金額。たかが歯の被せ物ひとつ作るだけで…ね!

とはいえ、私が施術したのは目立つ前歯だし簡単に折れたり欠けたりしてしまっては困るので、現行の歯科治療で最新最強の素材と言われてるジルコニアセラミックを躊躇わずに入れておきました。
これがインレー(詰め物)をセラミックにする、とかならもう少し金額は低いと思います。ジルコニアってたっけえんだわマジで。
しかし、歯科治療のなかで保険適用外の治療や施術でも、一般的に使われている素材によるものなら確定申告時に医療費控除の申請に乗せられます。この年はこれらのクソ高歯科治療費を、他の医療費と一緒にしてしっかり医療費控除の申請に乗せたところなんの問題もなく数万円還付されました。やったね!
実はこれを知っていたから、歯根治療の99,000円に躊躇わずに課金できたのでした。

その後の経過はどうなのよ?

これも気になるところですよね。
もうなんの違和感もなく自分の歯、です。
元々神経がないから痛みも全く発生せず、当然ですが歯根治療専門の先生に歯根治療してもらってるので中身の炎症も発生してません。段差もないし、自分の歯と変わらずツルツルだし、ハンバーガーに天ぷらに買いたてのガリガリ君にあずきバーにおせんべい、固めのクッキーに骨付き肉にじゃがりこに…と、かじりつきまくって食を堪能しています。かじりついた時の感覚の違和感もゼロ。本当に自分の歯です。

ただ、裏側が元の歯より僅かに厚い作りになっている(強度を持たせる上で仕方ない)ので、入れた当初は1ヶ月くらい舌先で歯の裏を触った時に違和感がありました。今はもう慣れた。ていうかむしろセラミックの歯は裏側に芋とか海苔とかくっついて取れなくなることが無くて快適かもしれない。

前歯をジルコニアセラミックにして良かったこと

・「笑顔が増えた」と言われた
治療前後を知っている夫が、治療後の方が笑顔が増えたよと言ってくれました。自覚は無かったのでこれは客観的な感想ですね。
でも自信を持って笑って写真に写れるようになったのは確か。

・不安なく食べ物にかじりつけてご飯が美味しい
これはほんとに、生きてる上でのQOLが上がったと言いますか…食の楽しさを取り戻した感じがあります。
「前歯折れちゃうかも…」ってビクビクしながら食べてたのが無くなるわけなので、それはそれはもう。「わーおいしそーいただきまーすガブーーーッ」まで邪念がないことがどれほど幸せなのかと思い知りました。
きっと介護や看護の現場とかでもできる限り経口摂取にするのは、こういう「自分の口で食べることの喜び」が重要だからなんだろうなと思ったり。歳とってもできるだけ自分の歯で食いてえ。デンタルケア怠らないようにしよう。そう誓ったのでした。

・鏡を見てハァ…って落ち込まない
セラミックに置き換える前は色が沈んでたので、その分気持ちも沈んでました。なまじっか自分の歯がでっかいもんだからなおのこと気になり…眉毛の形が綺麗に出来ても歯の色が…と言う感じで日々少しだけしょんぼりしていたのが無くなりました。
毎日少しだけHP削られるのがなくなったのでメンタルが大変楽になった。

・まじでパッと見分からない自然さだから言わなきゃわからん
初対面だったり、前歯を治療したことを知らない友人たちにはわざわざ言わない限りはわからん仕上がりなので、自分も気にせずいられる。
歯科治療の話題になってセラミック迷ってる人がいたら「この前歯セラミックやで」って紹介する程度ですね。

まとめ

さてかなり長くなりましたが、最後にまとめておきます。
冒頭にも書きましたが、バチコリ高かったけどやって良かった。後悔は一切無い。です。
医療費控除の申請に乗せた結果ちょっとは返ってきたし、値段以上に生活の物理的、精神的双方のQOLが上がったな〜と思います。

同じような境遇で施術するか迷ってて、金銭的に何とかなるようであれば歯が折れる前に是非とも施術することをおすすめしておきます。ただし上述の通り凄く高いからね!覚悟はしてくださいね!あとちゃんと腕のいい歯医者で施術してもらってくださいね!

私はこの快適性と見た目の良さ、舌触りの良さを体感したので、今後は前歯以外の場所を少しづつ、1年に1本くらいのペースでセラミックにしていこうかなと思ってます。前から見える場所の奥歯に銀歯が詰まっててキラリと光るのが気になってたり、他の場所の銀歯も徐々にセラミックにしたいなと思ってるし、欠け始めてる樹脂の詰め物の場所も徐々にセラミックに置き換えて手間のかからない口腔内にしていきたいなと計画しています。

では。長々とお付き合いくださってありがとうございました。

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