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東山動植物園②

昼食を食べてエネルギーを取り戻した我々の続編。

ネコ科

みんな大好きおっきいネコチャンコーナー。
しかし初っ端の飼育舎が、近々で亡くなってしまったカラカルのものであり、献花台が設けられていた。現地入りする前に事前に調べた連れから知らされて居たのだが、カラカルを持つ動物園は限られるため残念でならない。ちなみに連れは「はてカラカルとは?」というレベルだったようで、思ったよりも認知度は低いのだろうか?可愛い耳毛の凛々しいネコチャンなんだが…。嘘を喰うという某ギャンブル漫画をご存知の方なら、耳にした事はある筈だ。
気を取り直し進むと、サーバル、ジャガー、ユキヒョウと華々しいラインナップが続く。昨今人気が出ているマヌルネコも2頭居たが、それぞれ別の舎にも関わらず揃って奥の窓枠に登り、外の景色を見つめている。ぬくぬくの部屋の中で窓から外を見下ろすネコチャンやん。

さながら紅葉を鑑賞しているかのよう。

私がツイッターでフォローしている写真家さんが見せてくれるユキヒョウは、ユキヒョウの名に恥じぬ綺麗な白黒なのだが、ここのユキヒョウはとっても黄色い。ダイリュート(ペットで出回る種の"色変わり"の中で、全体的に色が薄まるカラーを指す)のヒョウと言われても信じてしまいそうだ。舎内に転がるボールで遊ぶ様は本当にただのネコチャンだった。

おもちゃを蹴り蹴りするネコチャン。

そしてここにしれっと混ざるジャコウネコの仲間、ハクビシン。シベット類やジェネット類ならもっとネコっぽいので騙せる(語弊)だろうが、ハクビシンはイタチっぽさがあるので、どうしてここに感が強い。一般人からすると「ジャコウ…ネコ…?」という感じだろうが、そんなピンと来ないグループに属する動物が日本の野生生物として、かなり身近に存在しているのが面白い所。

ラーテル

東山動植物園で最も誇るべき(※個人の感想)事柄として挙げられるのがそう、ラーテルの存在である。なんと日本ではここでしか飼育されていないレア中のレア、SSRの動物なのだ。
そうは言っても多くの人は「はぁ…?」となるだろうが、生息地では遭遇したくない生物としても名高いとの話を聞いた事がある。それほどまでに獰猛で、その性質は怖いもの知らずとしてギネス登録されている。
そうして名前と伝説ばかり聞かされて幾星霜、そのラーテルが見れるんだと大層ワクワクする私を嘲笑うが如く、ラーテルさんは屋内飼育舎から一歩も出て来ないのであった。
つらい。

キリンとカラス

ここに至るまでにペンギン類にアシカやアザラシが居たが、動物園のみならず水族館でも見られるラインナップなだけに、私としては「あ~はいはい」で流してしまうゾーンだ。特筆する事があるとすれば、遊んでいるアシカたちがずっと吠えていてうるさかったくらいだろうか(ほぼ文句)。
その奥にキリンのコーナーがあるのだが、ここではずっとキリンとハシボソガラスの応酬を見ていた。キリンの隙を狙って間合いを詰めては、気づかれて逃げるの繰り返し。カピバラの時と同様に餌の何かを狙っているのかと思いきや、永遠に何も持って行かない上にそのキリンがどこかに行くとわざわざ別のキリンの所に行くので、私はピンと来た。
これは遊んでいる。よくよく見ているとキリンの方も、真剣にカラスを蹴散らすつもりはないような素振りだ。他の動物にイタズラして遊ぶカラスが居るという話はあるが、お互いに遊んでいるというのはなかなか珍しい光景が見れたのではないだろうか。

コンゴウインコ類

園内マップを見て驚いた事の一つがこのコーナーだ。なんと『アオキコンゴウインコなど』と書いてある。これが一体どういう事なのか全く伝わっていないのはわかっている、安心したまえ(?)。
鮮やかな青色と黄色で、大きな嘴と長い尾羽根を持つ、でっかいインコでしょう?他園でも見たことあるし~。なんて思った方には、ふざけるなと言わせていただこう(謎の喧嘩腰)。
多くの動物施設で見られ、時にはペットとして出回るそれは、ルリコンゴウインコと言う。アオキコンゴウとは似て非なるものだ。ただぶっちゃけると見た目は本当に似ている。コンゴウインコってだけでフォルム似てるのに配色ほぼ同じってなったら見分けれるわけないじゃんね。
そしてこのアオキコンゴウ、この東山でしか見られない。またしてもSSRのお出ましだ。

さてまた話を少しずらすのだが、私はある日オウム目に属する鳥たちの英名を調べた事がある。そのきっかけとなったのが他でもない、ルリコンゴウとアオキコンゴウだ。
ルリコンゴウの英名はBlue-and-yellow Macaw。そう、青黄なのだ。なんともややこしい話だろう?
一方のアオキコンゴウはBlue-throated Macaw。直訳して『青い喉のコンゴウインコ』。英名がわかると「なるほどそこが違うのか」となる。
鳥に限らず、和名と英名で着眼点が違う生物もあれば同じ生物もあり、ややこしくはあるが面白い点である。

散々比較に挙げたルリコンゴウだが、意外な事に東山にそのルリコンゴウは居ない。是非とも比較できるよう隣に並べてほしいものだが…。
その他にもヒメコンゴウやミドリコンゴウもこの東山でしか見られない種であり、鳥好きとしてはそれだけて行く価値があるだろう。

コアラ

認知度のわりに意外と所有施設が少ないのがこのコアラ。天王寺動物園も手を引いてしまった、金のかかる珍獣である。餌となるユーカリの確保が大変なんだそうだ。
東山動植物園に向かう駅からの道中で、ところどころコアラを象ったものが見られた。きっとコアラ推しなのだろうなと察する。私が天王寺で見た時は確か最後の1頭だったのでどこか寂しさがあったが、東山にはたくさん居た。
暮らしや造形のその奇妙さは私の興味を引いてもおかしくない筈なのだが、認知度が高いせいかあまりに動かないせいか、昔からコアラへの熱意は低い。
今回もサラリと流して次へ向かう。

鳥類

さてここまででも先述のコンゴウインコ類、言及しなかったがエミューや北園の猛禽類、ツル類と、東山の園内に点々と鳥が展示されている。だがそれとは別に、巨大な禽舎に入るタイプの展示があるっぽく、鳥好きにとってはまさに楽園そのものである。
非常にワクワクしながらコアラ舎を後にしていざ向かうと、立ちはだかるのは『鳥インフルエンザの流行』であった。すなわち展示休止である。
他園の話をぶち込むが、何を隠そう我々がここに来る少し前に、アドベンチャーワールドにて鳥インフルエンザの感染が確認され、法律に基づき家禽に属する鳥類が殺処分となってしまったのだ。落ちている羽根を拾い、その特殊な構造で私と母を楽しませてくれたエミューちゃん達が、今はもう居ないという報せはなかなかにショックを受けた。
その余波を受け、禽舎に続く道からして封鎖されていた。なんとか見える禽舎の頂上付近からコンゴウインコ独特の声が聞こえる。隙間から見えたのはスミレコンゴウインコだった。
このスミレも所有施設が少ないレアキャラだ。私は幸いにもペットとして出回るスミレを間近に見た事があるが、これは大きな思い残しとなってしまう。
橋を渡って道路を越えた南側にも園は続く。こちらは日本土着の動物をメインにしているようだが、こちらには野鳥の禽舎があった。例に漏れず封鎖されている。
つらい。

ヤギやモルモットといったふれあいゾーン(といっても今はコロナ禍で休止中)と、ニホンザル、カモシカ、そしてツシマヤマネコといった日本古来の生物が固まる南側エリア。この1~2年、いわゆる”むじな”と呼ばれてきたタヌキ・アナグマ・ハクビシンに想いを寄せている私としてはそれらの獣舎を楽しみにし過ぎて、ずいぶんとサラリと流してしまったように思う(思えば何故ハクビシンはこちらではなくネコ舎の並びに居たのだろう)。
もちろんキツネもおり、それなりに動いて見せてくれたが、次にタヌキが待っていると思うと居ても立っても居られず、何枚かの写真を撮ると歩みを進める。
待ちに待ったタヌキだが、意外にも活動的だった。屋内に居るが動き回り、果てはこちらのアクリル側へと来てくれたのである。あばばばば、これはファンサだろうか?

2頭ともこちらに来てくれた。ファンサ。

そして屋外にも出てくれた。出入りしやすいよう設けられた丸太から、飼育員用の水場と思しきコンクリートの台に前足を掛ける。丸太との距離感からしてきっと後ろ足だけの跳躍では無理だろう、そこから四つ足でしっかり踏ん張って跳ばないと……いやいけるのか…?と見守っていると、全く届かずに後ろ足が丸太からずれ落ちる。ほらな。あ~はいはい可愛いねぇ
一通り屋外の巡回が終わると屋内に戻って行くので、それに合わせて私もまたアクリル前に待機する。すると、屋内に戻ったその子が真っ直ぐに私の前まで来てくれたのだ。えっこれはファンサ。 「ふああぁぁぁ~~こっち来てくれたん~~~~~」と普通に声をだす。分厚いアクリルによってこちらの声など聞こえては居ないだろうが、私はそもそも構わず動物に話しかけるタイプなので何ら問題ではない(?)。
タヌキは左右2ヶ所に2頭ずつ入っていたが、右の2頭は屋外の隅で団子になって動いていなかった。まぁ私は左の2頭にたくさんファンサを貰ったので、もう胸はいっぱいである。
ちなみに私を大いに喜ばせてくれた2頭は『とうふう』『こうぜい』という。どちらも2021年生まれのオス、との事。覚えておこうな私!

ここから植物園に繋がっており、紅葉のゾーンと合掌造りを見て折り返すのだが、もしかしたらと再び狢コーナーに寄る。すると右の2頭が動いているし、先程はバックヤードから出てこなかったアナグマが屋内に出てきている。まぁ何故か尻をこちらに壁を見つめているのだが。
沢山の狢成分を貰いルンルンの足取りで北園に戻った。

自然動物館

あえて残しておいた両生爬虫類コーナー。ただし時間はもう閉園30分前にまで迫っていた。狢リベンジや、先程は大半が爆睡していたアシカ達が全員起きてはしゃいでいるのとそこに侵入するアオサギを見ている場合ではなかった。ルートとしては一旦奥のショップに寄り、目星を付けていたグッズを購入して自然動物館、からのタワーで完璧だ!
ちなみに購入したグッズは、子を背負うオオアリクイのぬいぐるみ。我ながら珍チョイスだとは思うが、子を背負うオオアリクイのグッズが今後出るか?という話だ。欲を言うなら、体を斜めに横切る黒い帯が親子で繋がる事で1頭に見せかけ子を隠すという、本来の生態まで再現して欲しかったが。

年間でどれほどの売上があるのか訊いてみたい。

そして待ちに待った最後のコーナー。ただ、ここまでの道中での各獣舎の静けさが嫌な予感を呼び起こす。園は既にお片付けモードだ。
案の定。この建物は16時までとの事。ラーテルや禽舎などで既にリベンジが決定しているのもあり、対して悔しがる事もなく「仕方ねぇか~」と切り替えてスカイタワーへ向かった。

亡くなった生体たち

特に公式サイトも見ず、園内マップで初めてどんな動物が居るのか知ったので、園内では思いもよらぬ情報が飛び込んできた。
ヤブイヌ、カナダヤマアラシ、メキシコウサギ、トナカイの4種が亡くなってしまい、空のままとなっていたのだ。奇しくも展示箇所は北園の隣接した一帯で丸ごとそうなって居た訳だが、原因はなんだったのだろうか。いずれも所有施設の少ないレアキャラ達である。メキシコウサギに至っては東山のみであるため、日本から居なくなってしまったという事だ。
ヤブイヌは幸い他園で見た事があるが、トナカイは迫力のある動物なだけに、実際に見てみたかったものだ。
そして個人的に特に残念なのがカナダヤマアラシだ。というのも、今年になって私はヤマアラシに多くの種がある事を知った。私が知る、そして一般によく知られたヤマアラシはアフリカのものだが、アメリカにも別系統のヤマアラシが居るという。
きっかけはインスタグラムの海外の記事だったのだが、チクチクのナマケモノのような風貌に衝撃を受けた。自分がパッと見て何かわからない哺乳類がまだ居たなんて、と。タグにある英単語から種名っぽいものを選んで片っ端から検索し、それがヤマアラシだと行き着いた。尤も、ヤマアラシとアメリカヤマアラシで科を違えるのでそこは気を付けたい。
日本で見られるアメリカヤマアラシ科はこのカナダヤマアラシだけのようなので、他園に居る個体が健在の内に見に行くとしよう。

最後に

飼育種数日本一という触れ込みに違わず、他ではなかなか見ない動物が多く、期待通りの動物園であった。ただ亡くなってしまったという動物達が居たスペースが空いたままになっている様子は物寂しく、残念である。
希少種ばかりそうなっている点を考えると、希少故のデータの少なさなのだろうか。もしくはその一帯を担当していた飼育員が退職したのか?などという裏側を考えてみたり。
ペース配分ミスによる見落としを作ってしまったり、鳥インフルエンザの弊害を食らったりと、100%を満喫できた訳ではないが、また来る口実にもなったとポジティブに捉えよう。
また訪れた際には当記事で思い返しつつ、新たに記事を書くこととなるだろうから、その時にまた。

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