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興味を解いてあげる作業 下

一昨日僕は「羊の人類史」という本を読んでいた。

そこで「羊の剪毛作業についての歴史背景」を学んでいた。さらには、剪毛作業に必要な道具である「ハサミ」の文化的タブーも同時に学ぶ事が出来た。
普通に考えると、
最初は「羊」について学んでいたのにいつの間にか「ハサミ」についても学べていただなんて
少し驚くだろう。

ハサミという道具には「死」に直結する意味合いが込められていると語り継がれてきた事で、今日でも日本からイギリスにいたるまで「ハサミをプレゼントする」行為自体が縁起の悪いものとなっているみたいだ。

しかし長い歴史の中には
ハサミは時に幸運をもたらすものとしても認識されていた事があった。
「中世では悪霊を追い払う為にハサミが新生児のゆりかごに押し込められたりドアの敷居の下や壁の後ろに置かれたりした」そうだ。

こんな知識は普通に生活していると中々手に入るものではない。今振り返れば僕のテンションは上がりっぱなしだったような気がする。

その文を読んだ時に僕は文中にある「敷居」という言葉に注目し、Googleで調べてみた。
普段から聴く言葉だったが今まで明確な意味を押さえられていなかったからだ。

調べてみると「敷居」とは
障子や門の溝やレールがついた水平材のコトだった。写真を見るとすぐに理解できた。
神社に訪れて門を越える際に大きく跨ぐあの横長の棒のことだ。

そして我々はよく「敷居が高い」という言葉を使う。最近では「身分に合わない」と感じた時や自己謙遜の際によく用いられている言葉だが元々は実は、大きく跨がなければならないあの横長の棒を跨ぎづらいという心理的な比喩として用いられていた言葉だったのだ。
「義理を欠くようなことや迷惑をかけてしまった相手の家の玄関の敷居を跨ぐのには抵抗がある」などといった「申し訳なさ」のニュアンスが含まれている表現なのである。

僕は非常に驚いている。
まさか最初は「羊の剪毛」について学んでいたのにいつの間にか「敷居が高い」の本来の意味を学べるだなんて。



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