見出し画像

ガンジー自伝を読んで

きっかけをくれた「コテンラジオ」

歴史超弱者のわたし。(高校受験では、初代総理大臣すら答えられませんでした笑)
歴史を諦めたまま社会人になってしまったところ、
日経新聞のリスキリングの記事に掲載されていた"コテンラジオ"に出会う。
歴史キュレーションバラエティと名乗る番組の通り
喫茶店で隣の会話を聞いているような感覚で聴ける気軽さ。
ひとりの人物にフォーカスすると、尊敬すべき所、実はダメダメな一面も知って、愛着が湧く。そして、周辺情報(時代背景や文化)も知りたくなる。
ガンジーの回、おすすめです!

ガンジーと宗教、哲学

ラジオでも語られているガンジーの凄さは、武力や恐怖心による扇動をせずに世の中を大きく変えたという点。また自己抑制に生涯を通じて取り組んだ人物であった点。この2つに興味を持ち、ガンジーの自伝を読むこととした。

ガンジー自伝は、有名な「塩の行進」など、会議派としての政治活動や独立運動における偉業については書かれていない。
政治活動など公然となっていることは、自伝として書くに値しないと自ら語っている。

ガンジーが行き着いた「真実」について、それを実行するために行ってきた自己改革と試みた「実験」を中心に書かれている。

注釈がかなり多く、読み進めるのには根気が必要。私は途中で、インドの歴史や哲学、バガヴァッドギータの解説本などをちょこちょこ挟みながら、読み終えるまで結局5ヶ月もかかった。

読み進める中で感じたのは、ガンジーが宗教から多くの指針を得ていること。ガンジー自身は、敬虔なヒンドゥ教徒の母に育てられた商業カーストの人物であるが、偏見なく多様な宗教の聖典や文献を読んでいる。

なかでもインド古典『バガヴァッドギーター』は愛読していたとのこと。インドでは宗教と哲学の境はあまりなく、ギーターもヒンドゥー教の聖典であり、かつインドが誇る哲学書でもある。
自伝では直接的に語られないが、ここでは「梵我一如」と「カルマ」の思想に着目したい。

梵我一如とは、
ブラフマン(梵=宇宙全体の根源)
アートマン(我=意識、個の根源)

は同一であるという思想。
姿形は異なっても、もとを辿れば全ては同じところに行き着く。海と波のように、全体と個の関係性に見えるが、波は海の一部であり、やがて海に戻る。
アートマンは自分自身の内面だけにあり、それを知り自分の意識に目を向けることで、世の中と自分が同じであることに気がつける。梵我一如を理解することができる。

外見や社会的地位に囚われず、物事の内面を静かに見つめること。私とあなたは同じ、だから争い憎しみ合う必要はないのだというメッセージにも感じます。

◎インド哲学やヒンドゥの知識がなくても分かりやすい解説書


"五感や欲望に支配されずに、正しく行動すること"
なるほどとは思うけれど、実践はなかなか難しい。
とくに性欲に関して、ガンジーは人生の終盤までコントロールの難しさを感じていたよう。
私自身もそれに共感してしまう。セックスレスに悩んでいると、自分にこんな欲があったのかと絶望する。しかも難しいのは、食欲や睡眠欲と違って、相手との信頼関係と合意があって成り立つものだから。
でも、ただ悩むのではなく、自己抑制の必要性を感じているだけでも良かったのかなと思う。
"肉体にとらわれず自己の本質(アートマン)を見つめる"ことができたら、いつか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?