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【ミニチュア入門】染料と顔料について

色を塗るのに使われるものとして、インクや絵の具などがあります。色を発するもとになるものは「染料(せんりょう)」と「顔料(がんりょう)」に大別できます。今回は「染料」と「顔料」をおぼえましょう。

染料と顔料の違い

染料と顔料の違いは何でしょうか?

染料…水や油・溶剤に溶ける発色成分。
顔料…水や油・溶剤に溶けない発色成分。

…になります。

ざっくり言えば、水などに溶ける色の成分が染料、水に溶けない色の成分が顔料になります。

溶ける色の成分である染料は、布などを染めるのに適しています。繊維の中まで色が浸透しやすいからです。

サインペンやマーカーで紙に字などを書くとします。紙の裏面に書いた文字や絵が裏写りした経験はないでしょうか?染料タイプのサインペンやマーカーでおこりやすい現象です。

裏写りしないタイプのサインペンやマーカーは、顔料タイプになります。顔料だと紙の表面に付着するので、裏写りしにくくなります。(厳密に言えば、紙質や紙の厚さなども影響しますけどね。)

インターネット上では、水性マーカーが裏写りしないものとして紹介され、油性のマーカーが裏写りするものとして解説されているサイトもありますが、油性か水性はあまり影響しません。油性顔料マーカーなら裏写りしにくいですし、水性でも染料系のマーカーなら裏写りします。

ガラスや金属、プラスチックなど染み込まない素材に色を塗る場合は顔料タイプの塗料が適しています。

ちなみに顔料は水や油に溶けないので、顔料マーカーを使う場合は、よくマーカーを振ってから使用しましょう。酢と油に分離しているドレッシングをサラダにかける前によく振るのと同じイメージです。

マーカーによっては、インクタンク部分に攪拌(かくはん)用の小型のパチンコ玉のような金属ボールが内蔵されていて、振るとカチャカチャと音を立てるタイプもありますね。

インクジェットプリンターに注意!

みなさまのご家庭にはインクジェット式のプリンターは置いてあるでしょうか?最近は、年賀状印刷する家庭も減って、家庭用のプリンターの所持率が低下しているそうです。もし、家庭用のプリンターを持ってらっしゃる方でも、搭載されたインクが「染料インク」か「顔料インク」か認識されている方はあまり多くはないかもしれません。

ミニチュア製作では、ラベルシールや転写シールに印刷したり、専用の布に印刷したりと、家庭用のプリンターが活躍する場面が少なくありません。

ここで注意したいのが、印刷する用紙などによっては、染料か顔料かが問題になるケースです。

少し例を挙げてみましょう。以下のケースだと、顔料インクのプリンターでは、うまく印刷できません。

顔料インクは非対応となっています。

以下のケースでは、逆に染料インクのプリンターでは、うまく印刷できません。

顔料インク専用となっていますね。

インクジェットプリンターの用紙を購入する場合は、所持しているプリンターのインクが染料タイプか顔料タイプなのかを把握しておかないといけません。

逆にプリンターを購入するときも、使いたい用紙がどのインクに対応しているのか?を考えないといけないでしょう。

最近は、染料・顔料のどちらも対応できる用紙が増えていますが、インクのタイプを知っておいて損はありません。

ちなみにエプソンの家庭用プリンターであれば、型番の先頭に「EP」がつく機種は染料インクタイプ、「PX」がつく機種が顔料インクタイプのプリンターになります。また、機種によっては黒のインクは顔料、カラーインクは染料と併用しているタイプもあります。

紅茶染めに向くのは顔料タイプ

紙や布にアンティークな風合いを出すために、紅茶で染める「紅茶染め」という手法があります。たとえばミニチュアの古地図を作りたい場合、プリンターでミニチュアの地図を印刷して、紅茶を塗ったり浸したりして風合いをつけると味のあるミニチュア古地図ができあがります。

しかし、冒頭で水に溶けるのが「染料」と解説しました。染料インクで印刷したものは、紅茶染めに向きません。水溶性なので、印刷した文字や図が紅茶に溶けてしまいます。こういった使い方ならば、顔料インクのプリンターが適しています。

「染料」と「顔料」の違いを意識すると、ミニチュア工作(塗装)の幅がひろがると思います。

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