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日本文化の押し売りはやめて欲しい

先週のG20サミットに先立って、日欧の間で経済連携協定(EPA)が大枠合意されましたが、今回の話題はそれではなく、そのニュースの写真についてです。

「だるまを手に笑顔の岸田外相とマルムストローム欧州委員」(日経新聞)ってやつ。

で、その写真には、その説明どおり、岸田外相とマルムストローム欧州委員が、それぞれ、白いだるまと、たぶん欧州旗の色に合わせたつもりの青いだるまを持って、写真におさまっていました。

べつにいいんですけど。。。まぁ、日本の文化ってことでしょうし。

でも、それって、だるまが日本でどういうふうに使われてるか、その意味をしらない外国人には、まったく不可解な写真です。

写真は「欧州委員会提供・共同」となっていましたが、私が見た範囲では、その写真を使っていたのは日本のメディアだけで、BBCも Guardian も ロイター通信(英語版)も使用していませんでした。

あぁ良かった。イギリス人から、「あの奇妙な写真はなんだ」と不思議がられずに済みます。

どこかズレている日本文化アピール

国際的な会談の際、相手国の代表にちょっとしたプレゼントをする、いわゆる Diplomatic gift というのは、外交上の慣習となっています。

大抵は、贈る相手にちなんだものとか、または、自国の文化やお国柄を象徴するものとかが贈られます。

たまに突飛なものを贈る政治家もいますが、ふつうは無難に置物や絵画、小物なんかが多いみたいです。だから、べつに日本政府がだるまを贈ってもいいんですけど。

岸田外相のお付きの秘書は、写真撮影用だけのために、わざわざ前もってだるまを2つ用意して、遠路はるばる持って行ったんでしょうか。「やっぱEUだから、だるまは青がいいよなー」とか言って。

なんだか妙な仕事ですね。
それも仕事のうちなのかもしれませんが、日本の官僚は、そんなことよりもっと労力を注ぐことがあるだろうが、と思ってしまいます。

日本政府の「日本すごい」アピールといい、東京オリンピックの「おもてなし」コンセプトの押し売りといい、個人的にはすごく気持ち悪いんですけど、それって私だけなんでしょうか。

日本人って、「場の空気を読む」のが上手で、そういう「察する」態度が良しとされるんじゃないんですか?

しかしながら、実際の国際社会においては、異文化に属する相手がどう感じるかを考える理解力・想像力にむしろ欠けていて、ハズしまくっている日本人がけっこう多いような気がします。