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「EU離脱」の撤回は可能なのか

イギリスの将来はどうなるかっちゅう話です。これをまじめに論じだすと、学術論文が1本書けそうな労力を要するのでやりませんが。

なので、極めて雑に書かせてもらうと、めっちゃ不安。

メイ首相が先週末、EU離脱に向けて交渉を開始しましたが、初日とはいえ、「なにそれ、何の足しにもならんわ」、というレベルの内容でした。

もし私がメイ首相の知り合いであるならば、「意地をはらずに、Brexitは無かった事にして、頭下げてEUにとどまったら?」、と言いたいくらいです。

では、はたしてEU離脱を撤回することはできるのか、という点ですが、この問いは言いかえると、「いったん発動したArticle 50 は引き下げられるのか」という問題です。

Article 50というのは、リスボン条約の第50条を指します。これには、EUから離脱する際の規定が記されています。Article 50によると、通達から離脱までの猶予期間は、2年以内とされています。

イギリス、と言うか、メイ首相は、選挙前の3月にArticle 50をすでに発動し、EUから離脱する旨をEU側に通達しました。

なにしてくれてんの、メイさん。

手続き上は撤回できないが

イギリスの現政権ならびにイギリス最高裁の見方では、Article 50は「撤回できない」としています。

ただしこれは、「手続き上」、さし戻しできないということであって、「法的に」撤回不可能かというと、実はこれは微妙です。

というのも、過去にArticle 50が発動された前例がないので、法的拘束力や、撤回した場合の罰則があるのか不明。(たぶんない)

そして、かつてArticle 50 の執筆にあたった人達(各国の外交官)のなかには、「Article 50は、まず使われることはなかろうという前提で書いた」と言いだす人とか、そればかりか、「Article 50は撤回できる」と断言する元外交官もいます。

イギリスはどこへ行くのか

今の段階では、EUのトゥスク理事会議長は、「ドアは閉ざされてないよー、戻ってくる気があるならどうぞー」と、ほのめかせています。

一方で、「たわけが、Article 50を発動した以上、もう遅いわ」と、けんもほろろな意見も当然あります。

個人的には、とどまる余地のあるうちに、イギリス政府が態度を変えてくれることを祈りますが、現状では、これは非常に可能性が薄い。

で、このままEU離脱に向けて突っ走るとどうなるか。
これは、悲観論・楽観論、いろいろあります。もちろん、「EU離脱したほうがイギリスのためにはいいんだ!」と固持する離脱派も根強くいます。

でも、長期的視野に立った場合、政治・経済、ビジネス、社会面での影響は計り知れません。

いろんな問題やひずみは、各分野で既に出てきています。
私が属する、イギリスの研究分野・大学業界も例外ではありません。これについては、そのうち書きます。