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イースターの意味を考える

イギリスの春と言えば、イースター(復活祭)です。
移動祝日なので年によって日は異なります。今年は、本日4月16日がイースターにあたります。

イギリスでは、クリスマスに次ぐ商業イベントになっており、小売業界ではイースターにちなんで(というか、便乗して)いろいろ売っています。

卵やウサギの形をしたチョコレートや飾りはもちろん、最近では、クリスマスツリーならぬ「イースター・ツリー」なるものまで出てきました。

あと、「クリスマス・クラッカー」ならぬ「イースター・クラッカー」とかもでてきて、クリスマス・グッズの二番煎じのオンパレードです。

大人向けには、ビールやワインなんかがスーパーで安売りになってたりします。イースターとは全く関係ないんですけど、イギリス人は休みとなれば飲まずにはいられないようです。

なんでみんな、そんなに買ったり食ったり飲んだりしたがるんでしょうか。伝統的な祝日がどんどん商業化されていくのを見るのは、ちょっと複雑な気持ちです。

イースター(復活祭)とは

そもそも、イースターはイエス・キリストの復活を祝う日です。
「復活」を祝う以上、キリストが十字架にかかって犠牲の死を遂げた、という背景を知る必要があります。

そして、イエス・キリストがなぜ十字架上の死を遂げたか、というと、それは私たち人類すべての罪を償うためである、というキリスト教の教えを理解する必要があります。

これはキリスト教の根幹に関わってくるので、日本ではなかなか浸透しないかもしれません。

実際、本来の意味や由来など度外視して便乗するのが得意な日本ですが、イースターは今いち盛り上がらないようですね。

春先といえば、日本は花見もあるしゴールデンウィークもあるし、キリストの贖罪などという重いテーマを考えずとも、ただお祭り騒ぎできる機会があるからでしょうか。

イースターに比べると、キリストの誕生日を祝うクリスマスは日本でも浸透しやすかったんだと思います。誕生日は誰の誕生日でもとりあえず祝いますから。

イギリスでも、「とりあえず連休だしラッキー」くらいに思っている人が最近は多いような気がします。

ときに、イギリス国営放送BBCが、「キリスト教における大切な行事が、ちまたでは商業化されている現状をどう思いますか」とイギリス国教会の司祭にインタビューしていました。

さぞかし憂えているであろうと思われ、批判的なコメントをするんだろうと思いきや、
「たしかに過度の消費文化はよくないが、この休日を機に、人々が他者に寛容にふるまい、家族との時間をもてるなら決して悪いことではない。クリスマスやイースターの伝統が廃れずに受け継がれれば、その本来の意味を知るきっかけになると期待する」と応えていました。

聖職者だけあって差しさわりがないというか、寛大かつ長期的な見解です。さすがだな、と感じた次第です。