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「海外で話題!」は話半分

日本のトレンド系ニュースやブログ記事の決まり文句に、「いま海外で話題!」「欧米で話題沸騰中!」とかいうのがあります。

こういう使い古された表現を、クリシェ (cliché) といいます。語源はフランス語ですが、英語でもそのままの綴りで使います。

この手のクリシェが散々使われまくった最近の例はポケモンGoでしょうか。

恥を忍んで言うと、私はこの夏、ポケモンがメディアで取り上げられるまで、「ポケモン」って「ポケット・モンキー」の略だと誤解しており、「あの黄色い小動物はどう見ても猿には見えない。製作者の技量が疑われるところである」と思っていました。

なんのことはない、疑われるべきは私の一般常識のほうだったわけですが、弁明させてもらうと、私の周りでは、ポケモンGoをしている人を見たこともなければ、話題にのぼったことすら一度足りともありません。

「海外で話題」といわれるようなものは、大半はそんなものなんじゃないでしょうか。

本当に「海外で話題」になっているのか

「海外で話題」と言うとインパクトがあるので、メディアにおいてこの表現が多用されるんでしょうが、ミニマリズムだろうが、ポケモンだろうが、目玉焼きの作り方だろうが、なんにせよ、まぁ誰かがどこかで話題にすることくらいあるでしょう。

だからといって、それが世界の潮流であるわけではありません。
むしろ、こういう決まり文句で始まる記事は、ハッタリをきかせただけのものが多いです(当記事をのぞく)。

「海外で話題」という表現が、安直極まりないと思う理由をいくつかあげると、

  • 「海外」での評判なので、日本にいる者には現地の実情の調べようがない。

  • そもそも、どの国でどれだけ話題になっているのか定かでない。

  • 海外で話題になってるからといって、それがどやっちゅーねん。

この「海外で話題」を「海外で大流行」と書くと、実はそんなに流行していない場合、現地にいる人間から「そんなの流行ってないぞ!」というツッコミが入る恐れがあるので、「話題になっている」で、とどめてるんだと思います。

書き手が、ていよく自分に逃げ道をあたえるための表現だとも言えます。

しょせんは物を売る常套句

「海外で話題」である(らしい)モノ・コトだけに、何かを買わそうとするトレンド系の記事に多く見受けられるので、この常套句に出くわしたら、「あ、また出てきたか」と用心したほうがいいと思います。

また、この手の情報は、書き手が自分の好きなように脚色したり、拡大解釈したり、歪曲したりしていることが多々あります。糖質制限とかは、この典型的な例です。

海外で話題になっていると主張するニュースが全く嘘だとは言いませんが、話半分くらいに聞き流しておいた方がいいです。

話題性や流行を追うと、物事の本質や、もっと他の大事な事象を見失いがちです。時代の趨勢や多数派が必ずしも正しいとは限らず、追随しないといけないわけではありません。

時には立ち止まって、情報を吟味することも必要かと思います。