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ハイヒールやめたら?:モートン病と他の理由5つ

ハイヒールをやめた方がいい理由としてもっとも重要と思われるのが、モートン病予防のためです。

モートン病とは、抹消神経障害のひとつで、足の裏のしびれや足指のつけねの痛みを伴います。

特に、中高年の女性に多く、イギリスのデータによると、2004年から2014年の10年間で、115%増加している疾患です。その最たる原因が、ハイヒールです。なぜ中高年の女性に多いかというと、

  • ハイヒールを履くと、歩く時の足先や足首(および脚全体)の可動幅が限られるので、筋肉が衰えやすい。

  • そういう状態で、長年にわたって足を圧迫してきた。

  • 中高年になると、加齢による足の筋肉の衰えも始まる。

などが要因です。どのような靴、またどれくらいの高さがよくないかは、ケースバイケースですが、NHS (イギリスの国保サービス)は、5センチ以上のヒールは「非常に問題が多い」としています。

合わない靴が主な原因なので、もちろん男性にも見られますが、モートン病の症状がある女性の数は、男性よりも10倍以上にのぼると言われています。

中敷きをしけば若干は緩和される場合もあるようですが、一番良いのは、ハイヒールや幅の狭い靴を履かないことです。

ハイヒールの問題は他にもある

1. 足がむくんで太くなる

ハイヒールを履くと、足が痩せるというのは誤解です。それは、履いたときに一見そう見える、というだけであって、長期的にみると、むしろ足を太くします。

先に書いたように、歩く時の足(および脚)の可動幅が限られる点も一つの要因ですが、それに加えて起こる問題がむくみです。

ハイヒールを長時間履くと、足が痛いだけなく、むくみがひどくなる、という人も多いんじゃないかと思います。リンパの流れが悪くなるので、結果的には足太の原因になります。

2. 姿勢が悪くなる

「ヒールを履くと、しゃきっとして姿勢がよくなる」ような気がしますが、これも一過性のものに過ぎません。ヒールが高すぎる靴を履くと、猫背や反り腰になりがちですし、それが原因で腰や骨盤がゆがみやすくなるとも言われています。

また、ハイヒールを履いて服装はキメまくっているのに、歩くときに膝がまがっている女性がとても多いです。

3. 体の他の部分にも悪影響

上記の理由から、モートン病のような足の疾患だけでなく、ひざ痛や腰痛の原因にもなります。

4. 危険である

足をひねったり、つまづいたり、という事故やケガのリスクが上がります。また、それを避けるべくバランスをとろうとするので、体の余計な部分に力がかかります。

それに、他人の足をピンヒールで踏んだりして、ひとに迷惑をかけることにもなりかねません。

昔、私が日本で企業勤めをしていた頃、男性の同僚が、「ハイヒールって、ほぼ凶器じゃん。満員電車では絶対近寄らんわ」と言っていました。

まぁ、ハイヒールを痴漢よけの目的で履いているんなら別ですが。でも逆に、ハイヒール・フェチみたいな変態もいるので、やめたほうが無難なんじゃないですか?

ハイヒールはとくにお洒落でもない

モートン病予防以外で、ハイヒールを履かない方がいい理由の5つ目は、先が三角にとんがったピンヒールは、よほど改まったパーティーでもない限り、ちょっと場違いな感じがするからです。

場合によっては、オシャレどころか、むしろアカ抜けない印象を与えます。そもそも、ハイヒールを履いたらそれでお洒落と思っている時点でお洒落ではありません。

「ハイヒールってオシャレでハイソ(ほとんど死語ですね)」などと思い込んでいる女性も今だにいるようですが、そういう昭和的な発想は捨てましょう。

卑近な例をとると、うちの大学のアドミの職員のなかに、なんというか、服装に「妙な気合い」が入っている50代のアメリカ人女性がいます。

その日も、彼女はいつものように先がとんがったピンヒールを履いていました。学部事務局のカウンターにもたれて何やら話し込んでいる彼女を背後から見ていた女子学生の二人組が「今どきオフィスで、あの靴はないよねぇ」とくすくす笑っていました。

それを後ろで聞いていて、若い子はキツイなぁ、と思いましたが、確かに、オシャレに見せようとする必死さが、人から見ると、むしろイタいと思われることがあります。

まぁ、お洒落なんてものは、とどのつまりが自己満足と思い込みの世界ですから、基本的には好きな恰好をすればいいと思いますが。

でも、ハイヒールで体に負担をかけるくらいなら、その労力は、自然な姿勢で美しい立ち居振るまいが出来るようにする事へと注いだ方がいいです。

とはいえ、かかとが全くないペタンコ靴が必ずしも良いというわけでもありません。それはそれで、アキレス腱への負担があります。

高さ数センチの太いかかとのある靴が、一番安定して歩きやすいんではないでしょうか。今はいろんな素材のものがあり、デザインも多様です。

私は、幅広の革靴でゴム製のかかと(というか靴底の厚み)が2-3センチのものを愛用しています。ラクですよ。

仕事で講義をする時は2時間(修士課程の講義は3時間)立ちっぱなしですが、足に気を取られずに集中できるというのは本当に助かります。