ミントのラブダイアリー1 10話
私は、「吉田 一成」と書かれた封筒を見て絶句した。大焦りでまだ電気をつけてすらいない薄暗い部屋にドタバタと入って、こども新聞をぶちまけてしまったりしながらなんとか落ち着き、封筒を中に入った手紙を切らないように気をつけながら開封した。
中には、ひまわりの花びら4、5枚を押し花のようにして作ったしおりと、手紙が入っていた。内容を私は小さな声で読んでいった。まとめるとこうだ。
「ずっと来なかったことや、返信をしばらく出せなかったことは申し訳なく思っている。福島浩太は多分ミントのことが好きなんだと思う。」
そこまで読んで、私は一旦落ち着くため手紙を閉じた。浩太が自分のことを好きっていうことに虫唾が走る。もう一度、手紙を開く。何度も何度も考え直したのか、消しゴムの跡がいっぱいある、き線だけの地味なレターセット。でも、なぜだかそれがすごく暖かく感じる。
「夏休み明けから2日目には必ず行く。だから待ってて」
「その時には図書室にいる。来てくれてもいいし、来なくてもいい。あの場所は自分たち以外誰も、福島さんなんか特に、寄りつかない場所だから大丈夫」
「また行くから待ってて」
それで手紙は終わった。
私は、手紙を閉じ、机にしまった。
つづく
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