見出し画像

ローバーミニの楽しさは理屈ではない。

地方に住んでいると生活をする上で車は必需品だが、都市部に住んでいると必要性がほとんどなくなる。日常は自転車で十分だし、遠出する場合も公共交通サービスを使ったほうが安上がりで、寝ていれば目的地に連れて行ってくれるので運転で疲れることもない。交通事故のリスクも下げることができるため、移動手段としての車の価値は激減する。

ということで、私も40代になるまで車を所有したことがなかったのだが、ある時、バイクレースにハマってしまい、サーキットにバイクを輸送する必要があったため、トランポとしてハイエースを購入した。車を買えば色々使うだろうと思っていたが、駐車場から車を出すのが面倒に感じてしまい、サーキットに行くとき以外にはほとんど使わなかった。

ところが、バイクレースを引退し、ハイエースを売ってローバーミニを購入してから、車の使用頻度が激増した。何か理由をつけてはミニで出かけるし、理由がないときも単にドライブする。ローバーミニはとにかく運転していて楽しいのだ。助手席に乗っているだけの妻も、楽しいらしい。車高が低く、ダイレクトな操作性から、ゴーカートのようなフィーリングと言われるミニだが、楽しさはそれだけではない気がする。一度もモデルチェンジされなかったくらい完成された唯一無二のデザインは、めちゃくちゃ好みだし、サイズが小さいのに必要十分な性能なのも愛おしい。エリザベス女王も乗っていたらしいが、世代やジェンダーを問わない車種だと思う。

私のミニは1998年製で、8万キロくらいの中古車を購入したのだが、塗装しなおしたり、整備したりしたら、当時の新車価格を納車価格が超えてしまった。納車後も故障もよくするし、何かとお金がかかる車だが、一生乗り続けたいと思っている。効率性や機能性から考えたら選ばない車だろうが、そんな人生は面白くない。非効率なものにこそお金はかけたいし、お金をかけるプロセスが楽しい。人生を豊かにするのは理屈ではないのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?