俺たちはゲームがしたいんじゃない、ゲームをしなくちゃならないんだ。

本当はやめたほうがいいとわかってるのに、「ここまでやったんだから途中でやめたら勿体ないよなぁ」なんて踏ん切りが付けられずにズルズルと損を重ねる人間心理、これを「コンコルド効果」と呼ぶらしい。ギャンブルやソシャゲのガチャなんかはこれに該当する場合が多い。損切りって意外と難しい。


~ここからしばらく読み飛ばしていいゾーン~

ご存じの方もいるだろうが、コンコルド効果の語源である「コンコルド」とは実在した旅客機のこと。鳥のくちばしのように折れ曲がった先端部が印象深い、音速すら周回遅れにする驚異のスピード「マッハ2」を誇った機体である。

コンコルド(concordo)はフランス語で「調和」や「協調」の意。国の垣根を超えて複数の企業が共同開発したことから来てるのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。なんならフランス語とか知らないし聞いた事ない。フランス語ってどこの言葉?

記録によるとコンコルドは、ロンドン=ニューヨーク間を3時間弱で航行したらしい。これは同区間における”超音速旅客機を除いた”最速記録の5時間弱(2020年時点)より2時間も早いということになる。2時間早く着けるということは、つまり2時間も余裕ができるということです(孝太郎構文)

でもロンドンとかニューヨークとか言われてもピンと来ないなーと思って色々考えたんですけど、中学校の理科の授業レベルの知識で言えば、雷がピカって光ってからゴロゴロって音が聞こえてくるまでがマッハ1の速度なわけでしょ? つまり雷が光った瞬間にその場所からコンコルドが飛んできたとして、雷の音が聞こえるよりも早くコンコルドは頭上を通過していくってことか。え、それマジ?速すぎんだろ。
サラマンダーよりずっとはやい!

そんなスーパー旅客機とも呼ぶべきコンコルドが、何故冒頭のような不名誉な現象の語源になってしまったのか。そこには、ロマンを追い求めすぎたが故に発生した経営的問題が関係している。
マッハ2という現実離れした速度を実現するだけあって、コンコルドにかかる燃費や維持費は莫大だった。ただでさえ金がかかるのに、その上コンコルドは定員数も少なく、単純に一航行あたりの収益性が低い。当然、乗客一人あたりが支払う運賃も高く、ファーストクラス並みかそれ以上の金額を払わないと乗れなかったんだとか。

他にも騒音や環境問題、そしてオイルショック等の事情が重なって、「250機売れれば採算ライン」と目論まれたコンコルドも、実際に製造・販売に至ったのは20機にも満たなかった。10年以上の期間を費やして開発されたにも関わらず、販売開始から一年を置かずに製造を終了。開発会社は無事倒産。なんとも切ない幕切れである。

しかし困ったのは、コンコルドを導入した航空会社も同様。韋駄天の称号を引っ提げて鳴り物入りで入団したコンコルドくんだが、その速さこそ前評判通りではあったものの、逆に言えば良いところは速さだけ。数字を稼げないくせに飯代ばかりかかって、その上ギャーギャー五月蠅いし大切な備品(オゾン層)も破壊してしまうという大問題児。史上最悪の大外れドラフト一位だったのである。
しかしそれらの問題点は前々から懸念されていたこと。某野球掲示板なら「金塊」「あへあへマッハマン」「アレ」「コン川コル児www」「新井が悪いよ新井が」と総スカンを喰らっていたところだろう。

首脳陣はコンコルド選手に早めに見切りを付け、早めに戦力外通告をするべきだった。しかしあろうことかコンコルド選手は20年もの間スタメンに起用され続け、そして案の定赤字を垂れ流し続けた。
そんな無理が祟ったか、2000年代に入って早々、コンコルド選手は墜落事故という挽回不可能な不祥事を起こしてしまう。これがトドメとなり、首脳陣もようやくコンコルドを手放すことを決意。コンコルド選手は2003年に長い長い現役生活を終え、良くも悪くも人々の記憶に刻まれたのである。

ちなみにコンコルドの名誉のために言っておくと、乗り心地に関してはそれほど悪くなかったらしい。もちろん騒音と離陸時のGは相当だったらしいけど。

~読み飛ばしゾーン終わり~


さんざっぱらWiki程度の知識をひけらかして気持ち良くなったところで話を変えよう。
ぼくの行きつけのゲーセンではmaimaiの正面に三国志大戦が設置されてるのだが、ぼくはあのmaimai・三国志大戦、そしてその隣のマクバで形成されたスペースを死のエリアと勝手に呼んでいる。
maimaiは物理的にうるさくて耳が死ぬし、マクバはお猿さんが騒いでて心が死ぬし、三国志大戦に至ってはプレイしてる人たちの目が死んでる。あのゲームやってて心から笑ってる人見た事ない

先日なんかは、プレイ中の友人から「なかなかにつまらん」という「決定的につまらないわけでないけれど、特段面白いわけでもない」という心境を表す絶妙なワードも飛び出てきた。日本らしい詫び寂びの込められた、なんとも風情のある表現である。

しかし思い返してみれば自分も同じ穴の狢。毎週あの洗濯機みたいな筐体に100円を投げ入れては、決まって「二度とやらねえよこんなゲーム」と言い捨てて帰っている。あのゲームも心から笑ってる人なんて……いやいるわ。レベル13+のSSS+埋めをニコニコしながらやるおじさんいるわ。いっつも楽しそうだわ。なんなんだあの人、情緒壊れてんのか

片道一時間以上かけて毎週末ゲーセンに来る全自動maimaiマシーンはともかく、我々ゲーセンの民は所詮ゲームという名のコンコルドに踊らされているに過ぎない。これまで投げ捨ててきた数多の100円玉に意味を見出そうと、これからも何の意味もない100円玉を注ぎ続けるのである。我が事ながら愚かしい。

そろそろ30代も中盤になってきて、体力の低下も生え際の後退も隠せなくなってきた。ゲーセンなんて行かず、もうちょっと年相応な趣味でも探してみるか。などと考えながら毎晩switchの電源を付けてる。昨日はマリオストーリーをクリアした。クッパ思ったより弱かったな。
さーて、次は何のゲームやろうかな。でもモンハンもだんだん飽きてきたしな。うーん、とりあえず暇だしゲーセン行くか

そうして男は今夜もコンコルドに無為な100円玉を突っ込むのであった。
誰か助けてくれ。

それができりゃあ苦労しない

おわり


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