「星を継ぐもの」を読んだ。
皆さんこんにちは、趣味で物書きをしているくせに読書量は極端に少ない不埒者ことマタさんです。いるよね、人の話聞かないくせに自分のことばっかりベラベラ喋るやつ。それの文章版が私です。
今回は、そんなダメ男が珍しく本を読んだから感想を述べる回です。ネタバレは極力避けます。みんなにも読んでほしいので。
ご紹介するのはこちら。ジェイムズ・パトリック・ホーガン著の「巨人たちの星シリーズ」第一弾、「星を継ぐもの」。
この本を知ったきっかけは「メタルギアライジング」。作中で月に関する話題になった際「赤い宇宙服の死体でも探しに行くのか?」的なオシャレなセリフが飛び出したもんだから気になって調べてみたところ、元ネタがこの「星を継ぐもの」だったってワケ。好奇心の赴くままに電子書籍で即購入した。ちなみにメタルギアライジングはプレイしてません。プレイ動画観ました。
いざ読み始めてみたはいいものの、如何せんラノベかエロ小説程度しか読まない男には少々……と言うには余りあるほどに難解だった。なんせハードSFというジャンルはこの世に実在する物理法則や科学技術を基にして描かれる作品群。今を代表するなろう系や異世界転生系といったご都合主義とは対極を為すものである。ちなみにぼくは物理法則とか全く知らんからファンタジーばかり書いている。愚かなり。
4ページに1つのペースで知らん単語出てくるし、わけわからん科学的知識を「太陽は東から登って西に沈みますよね」くらいのテンションでポンポン出してくるしで、高2で化学が一切理解できず、一年間ずっと赤点を叩き出し続けた男にはハードルが高すぎた。何だよ中間子力学理論って。光子力の方がまだわかりやすいわ。
読むのしんどいなぁ。でもせっかく買ったんだから読みたいよなぁ……という葛藤の末、センター試験数ⅡB・11点の男は思い付いた。
そうだ、高く設定されたハードルを飛び越える必要はない。下を潜り抜けちゃえばいいじゃないかと。つまるところ、よくわかんねぇ部分はなんとなくで読み飛ばす。これにて全てが解決したことにした。逆転の発想である。逆転裁判やってて良かった。
余談だけど競技用のハードルって一般男子で高さ1メートル前後あるらしいよ。高過ぎじゃね?普通に考えて潜るだろ。
というわけで、以下はそんなバカによる「星を継ぐもの」あらすじ紹介である。
~星を継ぐもの、バカのあらすじ~
舞台は2020年代後半と、奇しくも現代に程近い。だけど半世紀前の人々はテクノロジーの発展がより高速だと夢想していたらしく、作中で人類は既に月や火星や木星あたりにも基地を建造するに至っていた。
そんなかがくのちからってすげー世界においても、主人公のハントは群を抜いてめっちゃ頭良い。作中でこいつが言ってる事8割くらい理解できんくらい頭良い。ハントはニュートリノの働きを利用しためっちゃすごい解析機を開発したんだけど、その機械が最先端の宇宙研究をしているめっちゃすごい会社の目に留まって、ハントはその会社にヘッドハンティングされた。
めっちゃすごい会社のめっちゃ偉い人曰く、「月の裏側で見つかった『赤い宇宙服を着た死体(チャーリーと命名)』を、お前の作っためっちゃすごい機械で解析してほしい。ちなみにチャーリーは5万年前に死んだことがわかってるから」とのこと。
これにはハント驚愕。なんせ5万年前といえば、ネアンデルタール人とかクロマニョン人といった類人猿たちが木や石を手に地上を這いずり回っていた時代。そんな時代に地球人類が月に至ったとは到底考えづらい。
ハントはチャーリーを地球外生命体だと考えていたけど、生物の進化を専門に研究してる学者は、チャーリーは地球人だと断言しその科学的根拠も示した。他にも色んな部門の専門家たちが、それぞれの専門分野からの見解を投げ合うものだから、学者たちはもはや何が正解で何が間違いなのかわからない泥沼に嵌っていく。
だけどめっちゃ頭の良いハントは、そういった専門的な知識の一つ一つをパズルのピースみたいに組み合わせて、少しずつ少しずつ正解に近付いていく。そして遂に、ハントは全ての謎に矛盾しないひとつの仮説に辿り着いた。
果たしてチャーリーとは何者なのか。そして「星を継ぐもの」とは何を意味するのだろうか。
~バカのあらすじおわり~
たった一つの遺体と言えど、チャーリーにまつわる謎はめちゃくちゃ多い。チャーリーはどうして死に至ったのか。5万年も前にどうやって月に行ったのか。そもそも地球人なのか。そうでなければ何を起源にするどこから来た生命体なのか。その謎を解明しようとすればするほどに次々と別の謎が生まれ、謎と謎が絡まってポケットに突っ込んでた有線イヤホンみたいになっていく。
そのこんがらがった糸を新たな発見によってひとつずつ解いていき、そして最終的にそれら全てが解かれた瞬間の快感は筆舌に尽くしがたいものだった。読みながら「ほ~~~~~~~~~~~ん?」ってクソデカ感嘆詞を口にしてたら、ヨッメに「頭おかしくなった?」って心配された。頭は元からおかしいです。
本作で特に見事だったのは、「月の裏側の謎」「火星・木星間に存在する小惑星帯」「人類の進化におけるミッシングリング」という現実に即したそれぞれの事象を、チャーリーという架空の存在によって結び付け、ひと繋ぎの壮大な物語として描き切った点にあると思う。豊富な知識と想像力によってしか成し得ない業であり、これには敬服するしかなかった。
約500ページとボリュームが多いことに加え、内容も難解ゆえ読むのに体力が必要だったもんで、最初の方は5ページから10ページくらいずつ小分けに読み進めてた。でも読んでるうちに加速度的に面白くなっていって、最終的には眠い目をこすりながら300ページくらい一気読みしてしまった。おかげで寝不足です。こいつ毎日寝不足だな。
ハードSFということで読み手を選ぶ作品かもしれないけど、とにかく一度は読んでほしいなと思っている。この興奮を誰かにおすそ分けしたい。そんな衝動が抑えきれず、思わずアマゾンで文庫版ポチッて実家に送った。
まさか父親に本をプレゼントするような日が来るとは思わんかった。俺も大人になったということか。
古臭くて肩肘張ってると感じるような作品でも、食わず嫌いせずに試してみるのが大事だと改めて感じた。名作は面白いから名作として語り継がれてるんだね。次は「白鯨」あたり読んでみようかな。
とは言え冒頭でも触れた通り、「星を継ぐもの」はあくまでも「巨人たちの星」シリーズの第一弾に過ぎない。続編である「ガニメデの優しい巨人」も勢いでポチッたので、ぼちぼち読み進めていこうと思ってる。というか買ったはいいけど積んでる本他にもあるわ。どうしよう。
それらも読み終わったらまた感想書くと思うんで、みんなも興味があれば「星を継ぐもの」読んでみてください。
おわり
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