日記(6/13)


二階堂奥歯の「八本脚の蝶」を長い時間をかけて読み通しました。
最近他人の日記ばかり読んでいる気がします。どれも死の直前の。


日記はその性質上、全てのページが遺書だ、と思います。だって僕たちが明日も日記を書ける保証なんてどこにもないのだから。


幸い(幸い?)僕は自殺を試みたことも、願ったこともありません。
ただ、小学校から高校にかけての通学中、車や電車に轢かれる妄想をよくしていました。それは自殺願望とは全く異質なものです。
今の僕が表現しても良いのであれば、あれは「言い訳」を外部に求める妄想でした。


ハッキリと覚えているのは、高校のとき、部活の練習に向かうため、列車をホームで待っていたときの記憶です。
その日は、選抜メンバーを決めるためのタイム測定がありました。(具体的な部活名はなんとなく隠しています)
選抜に入りたいという熱意はないわけではありませんでした。いつも通りのタイムを出せば、それなりに可能性も開けていました。
そんな道中に、「今電車に飛び込んだら、脚を骨折したりしないかな」と考えていました。

それは端的に、そのタイム測定がしんどかったからです。
今も昔も僕はしんどいことから逃げたくて仕方ありません。でも、「アイツ逃げ出したんだ」と思われることは、しんどいことと同じくらい嫌です。

だから、逃げる方法はいくらでもあった中で、僕が考えていたのはいつも、
「ああいうことがあったからアイツが出来ないのはしょうがない、でも本当はアイツはできるやつだよ」と言われる方法を探すことでした。



結局電車に飛びこむことは一度もありませんでした。電車に飛び込んだら、どうやら脚を折るだけじゃ済まない、ということを知ったからかもしれません。ホームドアが設置されたからかもしれません。ポケモンの厳選に夢中だったからかもしれません。
とにかく飛びこみませんでした。

逃げなかった、とも言えます。


っていうのが高校までです。
大学に入り、逃げてもバレなければダサくないということに気づいた僕は、バレないように逃げまくり、結果的に全部バレて究極のダサダサ人間に成り果てましたとさ。とっぴんぱらりのぷー。びじがじびじがじ。



果てかどうかは分かりませんが。


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