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電車の中で寝てるふりを何十分もした話

ネイルから帰りの電車、午後10時を回っていた。
4人席に座ることができた私は、電車の中で寝ちゃおうと考えたのだった。

出発までに向かいにおそらく大学生の男女が座る。
構わず寝ちゃえと目をつぶった。

「この子かわいいね。」
「誰だろう?」
そんな会話が聞こえてきた。
その日私はみぃちゃんの缶バッチをつけているトートバッグを持っていた。
私のバッグを見てるのかな?

ちなみにこの缶バッチ。
かわいいよねぇ〜〜

私が寝ている(前段階である)のをいいことに、じっと缶バッチに書いているローマ字を読んだようだ。
「峯岸みなみ……やって!」
「え?峯岸みなみってあの坊主になった?」
こらこらこらこら!起きて注意したいけど、盗み聞きしてたのがバレる…!
「結婚したよね?ほらテツヤとかタツヤとかって人と…!」
東海オンエアのてつやさんですよ!と思いつつ寝たフリを続ける。
でも推しのみぃちゃんが“かわいい”認定されているということがうれしかった。

そこからどんどん話が派生していく。
どうやらマッチングアプリで知り合って、今回初めて会ったようだった。
お2人の話がおもしろくてどんどん寝れなくなる。

そんなに話が盛り上がってるなら、付き合っちゃえよ!もし、ここで私が起きたら会話のジャマになりそうだなぁ…。眠いのに寝れない…。
そうこう考えて実に30分くらい経っていた。

片方が途中で降りた。
「じゃあ!バイバイ!」
私も心の中でバイバイ!幸せにね!とエールを送っていた。
セットしたアラームがバイブレーションで知らせる。私はそれで起きた演技をした。
向かいにはもうお1人乗っているが、会話はない。
私はぼーっと外を見ているふりをした。

寝れなかったけど何かよかったな。

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