ツバメの巣とインコの卵
駅の近くの歯医者さん。
そこにツバメの巣ができていた。
ちょうど親鳥がヒナにご飯をあげている最中だった。
母と「かわいいねぇ」なんて言いながら、母の実家で毎年やってくるツバメを思い出した。
私が母の実家に住んでいた時は、門扉を開けたすぐ上に巣を作っていた。
さらに昔は、家の中の土間に巣を作っていて、朝家の人が扉を開けるまで待っていたんだとか。
(開けてよ!と急かしたらしい)
ヒナが親鳥にアピールして、一生懸命口を開けている姿を私は飽きずに見ていた。
ヒナが巣立った瞬間も覚えている。
一度飛ぼうとして地面に落ちたヒナがいた。
「あーー」と私がちょっと落ち込んでいると、おばあちゃんが「そのまま見とき。」と私に言った。
すると、体制を立て直したヒナは、目一杯翼を上下させて立派に飛んでいった。
あんなドラマチックな場面はなかなか見ることができない。おばあちゃんに感謝だ。
現在の自宅にも8年ほど前にツバメが巣を作ったことがあった。人が近づくと全然近づいてこないので、時々玄関の扉をそっと開けて様子を見る。
母と妹とニコニコ見守っていた。
次の年もやって来た時はめちゃくちゃうれしかった。
その次の年もやって来た。が、事件が起きる。
聞こえてたはずのヒナの声が聞こえない。
母が気になって巣を見ると空だった。
ヘビに食べられてしまったのか……。
その年に大きな台風が来て、ツバメの巣は壊れてしまった。
それから何年かして、我が家にインコが迷い込んできた。メスが1羽。
オスがいなくても卵を産むことができ、うちのインコちゃんは時々卵を産む。
しかしかなり体力を要するので、産むたびに私たち家族はソワソワする。
卵を温めている健気な姿を見て、きっとインコちゃんもツバメのようにヒナを育てたいんだろうな。
家の中と外の立派な親鳥を見て、私は今日も1日を過す。