母の日にカーネーションを

職場近くのドン・キホーテに
カーネーションが売っていた。
異動前は花屋さんだったから、劣るかな?
と思いつつ、一番かわいいのを選んだ。
カーネーションはピンクや赤で
本当に母の日にぴったりだ。

私の母は天然ほわんほわんである。
たまに(いつも?)空気が読めてないところがある。
それは手相にも現れてる。

生命線と頭脳線が5ミリ以上離れているのがKY線
母にはこれがはっきりある。
オバマ元大統領にもあり、周りに流されない強さを
持っている人とも言えるらしい

母の天然・KYエピソードはたくさんあるが、
代表的なのが1つある。

家の給湯器が壊れて、
某ガス会社さんがいらっしゃった時。
母は出かけていて私が応対した。

スタッフさんが名刺を渡した。
そこには名前と顔写真があり、ふと顔写真に目がいく。名刺に写真を載せるパターンなんだ。なんて思っていると、
「あっ、それ入社当時の写真なんです。
10年も前なんで顔変わってるんですけど…」
とスタッフさんが話した。
私は「いえいえ、すぐわかりますよ!」と答えた。
(もちろん本心でそう思っていた)

しばらくすると母が出先から帰ってきた。
私は「名刺いただいたから、渡しとくね」と
母にスタッフさんの名刺を渡した。
すると母の視線は名刺の顔写真の方へ。
あからさまに“違和感がある!”って表情をしていた。
この時点で既に失礼な態度である。

母の表情に気づいたスタッフさんが、
「それ、10年前の写真なんです〜。」
と先程私にした説明をもう1度した。
母は納得した表情を浮かべ、

「ほんとだー!うすーい!」

とひとこと。
まるで子どもが大発見をしたかのような発言。
母にとっては、違和感を払拭できてうれしかったのだろう。だがしかし、気づいたことに対して発言するかどうか一旦考えないのだろうか?
もしかしたら悩んでるかもしれないのに…

私は思わず「こら!」と怒っていた。
ここで怒るのもまた失礼な気もするが、
完全スルーというわけにもいかない。
苦肉の策だったが、母はキョトン顔、効いていない…
スタッフさんも苦笑いで場の空気は最悪だったが、スタッフさんがすぐ切り替えてくれた。

後日、妹にこの話をすると、妹も母に説教をした。
しかし母は、
「だって、写真と実物が全然違ったんだもん。
10年前って聞いて納得したから〜!」
と全く反省のそぶりなし。
母には敵わないわ……と半分諦める姉妹だった。

それでも母は母。
生まれつき耳が悪く、何を考えているかわからない私を諦めずに育ててくれたし、
父が亡くなってうつ病になったけど、
持ち前の明るさで持ち直したように見える。

もしかしたらオバマ元大統領のように、周りに流されない強さを持っているのかもしれない。
そんな母に毎年カーネーションを私は手渡しする。
年に1回の照れくさい儀式のようなものを
私は大切にしたい。

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