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「今でしょ!」腹を決める

★人工股関節全置換手術 =2= 要件を満たす

今回は少し長くなります。

手術前のことは今回でまとめきってしまおうと考えています。

=宣告=

「したがって手術要件を満たしています」
と、主治医に告げられたとき、安どしたような悲しいような気持になりました。最初からその病院を選んだ時点で「手術する」と決めていたのに。

病院を決めるにあたりいろいろな人の意見を聞きました。

まず選択肢として都立の総合病院がありました。それから大学の附属病院、さらに全国にネットワークのある病院。でもなんとなく今回は「大きすぎない病院で受けたい」という気持ちがどこかにありました。

「今手術を受けたいというときに待ち時間なく受けて休職期間を短くしたい」「入院が長引いたとき早く出ていけという異常な圧迫を受けたくない」ということ。

幸い身近なところになんと、人工股関節を扱う会社で働いている人が身内にいる、家族が人工股関節にした人がいる、ということはちらっと書きましたが、アドバイスとしてもらったことは
 ・手術件数が多い病院は経験と信用があるとみていい
 ・リハビリ施設がある病院がいい
加えて、人工股関節「屋さん」(友人のプライバシーに関するので企業名は聞いていないので曖昧)口コミでいくつかの病院をピックアップしてくれて、わたしはその中でも最も「メジャーそうじゃない」、でも執刀医が近くの大学病院から来てくれくれているという病院を選びました。「リハビリの面倒をすごくよく見てくれるよ」という評判も決め手でした。

で、病院に予約電話をしたら、思ったよりずっと早く予約が取れました。そして一回目の診察でレントゲンとCTをとってもらい、そこで冒頭の
「手術要件を満たしています」
という宣言を受けました。
 ・もともと骨盤の大腿骨頂を受け止める皿が浅い
 ・軟骨がすり減ってほぼない
 ・滑り落ちたり外れることを防ぐため、骨盤と大腿骨それぞれが変形している
 ・大腿骨頂に空洞ができて影があり、ひびが入っている
 ・放置しているとここが陥没し骨折する場合もある
 ・日常生活に支障をきたすレベルで痛みがある

「で、手術日ですが早ければ来週・・・はもう埋まっているので再来週でもできますよ」

「ちょ!!!それはちょっと・・・心と仕事の引継ぎの準備ができません(汗)」

「それもそうですね。じゃあその次の月だと・・・一週目か三週目でどうですか?」

もうあれよあれよです。一応三週目に予約をして、ふらふらしながら職場に行き、そして手術の日程を話したりしました。そして前回書いたように一か月ほどの余裕の中で、いろいろな引継ぎの準備をしました。

=手術のリスク=

これは一般的じゃないと思うのですが我が家の場合
「受験生の子どもを長くて2~3ケ月留守番させることになる」
という難関がありました。実家に声をかけたり、娘たちにいろいろ言い聞かせたり、料理の本を見せたり、パパの小言の聞き流し方を伝授したり。

その夫ですが、本来手術の説明というのを夫婦で受けるはずだったのですが、仕事の都合がどうしてもつかなくて、わたしひとりで手術のリスクなどの説明を受けることになりました。以下がそのリスクです。

 ・術後感染(1~3%)
 ・坐骨神経痛
 ・エコノミークラス症候群
 ・術中骨折(1.7%)
 ・術中出血
 ・脚長差
 ・人工股関節そのものの違和感

術後感染というのは、つまり中にある骨をいったん身体から出してまた戻すわけで、体内に雑菌などが入ってしまうことのリスクです。じゃぶじゃぶ洗いまくる他に、抗生物質を点滴したりして防ぐそうです。

坐骨神経痛は大腿骨を体外に出すときに、この神経に触れてしまう確率が高く、たいていのひとは一週間から一か月の間に痛みが引くが、場合によって慢性化してしまうという説明でした。

エコノミークラス症候群は、術後じーっとしていなければならないわけですが、手術直後は両足、やがて悪いほうの足を枕で固定した状態を三日間続けます。この間、足先をポンプでマッサージし続けることで血栓ができることを防ぐわけですが、うまくいかない場合もごく稀に発生するとのことでした。

術中骨折ですが、大腿骨の球状の骨頂が人工の球体になるのですが、この球体、魔法ステッキの柄の根元のダイヤモンドみたいな作りになっているわけです。待ち針の頭ともいえますが。その棒なり針なりの部分を大腿骨の中の空洞にカンカン打ち付けて固定していくわけですが、このときごく時々、骨の空洞との太さが合わなかったり、打ちつける力に負けたりして骨折してしまう場合があるとか。

正直これは、ほかのリスクに比べて命にかかわることじゃないのかもしれないにも関わらず、聞いた中ではもっとも恐ろしく感じました。おそらく映像および痛みに想像がつきすぎるせいだと思います。

術中出血についてですが、これはわたしは自分の人生経験上、けっこう出血しやすいタイプだと感じていました。帝王切開でも輸血直前だったし。帝王切開の際自己輸血のための血液のストックをしたので、ここでもするのかたずねたところ、この病院では自己輸血はしないとのことでした。どうしてもということなら血液センターのある病院で自分でストックの手続きを・・・と説明されかかりましたが、そこまでこだわりがあるわけでもなく、献血などしてるのだから、もらうときはもらおうと思い、深くは聞きませんでした。

脚長差ですが、わたしの場合すでに左足が少し長い状態になっていました。軟骨が削れていたせいもあるし、筋肉が萎縮して若干骨盤が傾いていたせいもあります。これを手術時に左右同じ長さになるよう調整してくれるわけですが、正しい長さになったにもかかわらず、違和感を感じて歩行に困難を感じたりする場合があるとか。インソールを入れるなどで調整できるとのことでした。

人工股関節そのものの違和感をごく稀に感じる人がいるそうです。わたしの場合幸いなことにこれについては全くありませんでした。むしろ本当に手術したのかというくらい、馴染んでいました。切った痛みがあったので、したんだなとは思いました。

★人工股関節全置換手術 =2= 手術前に必要なこと

=ダイエット=

さて、わたしにとって以上のリスクを減らすのにとても重要なことがありました。それがダイエットです。まあ多くの人は必要ないかもしれませんが、もしかしたら股関節に負担がかかって痛みが増している人が多いとすれば、ぜひチャレンジされるといいかと思います。

少なくともわたしは病院でのリハビリを超スピードで乗り越えてきました!

実は手術を遅らせるのに「心の準備が」といっていましたが、わたしは手術するのにあたり、最低5kg、最高10kg体重を減らす覚悟をしていました。それは執刀医ではない院内の主治医が「5kgでも減ったらリハビリも今の足の痛みも楽ですよ」と言ったのも大きかったですが、こういう機会でもなきゃダイエットなんかしやしない。それがわたしでした。

これは別にこれだけで記事にできるくらい語ることがありますが、わたしの場合、この体形に至るまでの紆余曲折には、だいぶメンタル面での事情を抱えていて、それが自分のダイエットへの情熱も奪っているし、いわゆる停滞期を乗り越える情熱も奪っているし、実際のところ何度も体調を壊して挫折しているので、本当に「別に困ってないならハイリスクってだけでただ太ってるのも個性でいいじゃん」という境地で生きていたのです。

ところが手術しなきゃいけない状況になってしまった。

股関節を手術しなければいけないことは、多少体重にかかわるとしてもそれが主原因ではないという、しかし手術のリスク軽減や、術後のリハビリの進行状況をよくするためにはダイエットは必須だという。

しかし、わたしはなんと今年、長年愛煙家だった時代にピリオドを打つという、わたし史上最強の偉業を成し遂げていたため、ダイエットくらいちょーらくしょー!って感じの「根拠ない自信」にあふれていました。実はこの「根拠ない自信」が手術にも踏み込ませたし、リハビリの覚悟にも結び付いていくのですが、これまでの人生どちらかというと「根拠ない自己否定感」に悩んで生きてきた部分も大きかったわたしには、これは大きな変化でした。

で、心に決めてみたものの、なんと我が家の体重計は電池を入れても正常に動くようになっていなかった。そこでダイエットサイトに登録して、そのアプリと連動している体重計を購入してみたところ、なんとびっくり!

思っていたより4kgも重かった!!

つまりわたしは5kgではなく9kgダイエットしないといけないという計算なのです。無茶だ。無茶すぎる。仕方なく目標値を余分な4kg+2kgの6kg減に置いて、この手術までの一か月を過ごすことにしました。

やったこと。

 ・炭水化物は普通以上には食べない
 ・間食は19時まで
 ・とりあえずあまり飲まない
 ・アプリに食べたものを記録する
 ・アプリに睡眠時間を記録する
 ・アプリに体重を記録する
 ・公開できる範囲で公開する(Facebook友人限定)
 ・睡眠障害で通っていたクリニックで催眠療法を受ける

これだけやってなんとか手術の朝、目標値に達しました!!!

今これを書いている現在、思ったより4kg重かったところより9kg減となっております。術後一か月で-3kgというのは想像よりゆっくりペースですが、やっぱり「根拠のない自信」によって、ダイエットが続いていることそれだけでも自分を褒めたい!

術後のことについては、リハビリの項で書きます。

=どこ切る?事前調べ=

わたしの場合「わたしは後ろから切ります」と、執刀医がスパンと言ったので「お任せします」と答えてしまいましたが、まさにその執刀医が「人工股関節全置換術」と、紙に書いてくれ、

「あなたはインターネットをしますか?よく調べて心と体の準備をしたらいいですよ」

と、言われたとき「アプローチ」が前・横・後ろとあることを知りました。

この事前に調べるということは確かに重要です。医師との信頼関係を築いていくうえで疑問点が明らかにできるという良さもあるし、怖さを越えることもできるし、職場や家族に説明をするときに理解してもらうためには情報が必要です。

アプローチというのはどこを切って患部にどうあたっていくのかのことをいうようです。

★前方アプローチ

★側方アプローチ

★後方アプローチ(も含めて選べる病院もある)

執刀医がなぜ「わたしの場合はほとんど後方を切る」とおっしゃったのか、後でこういうレポートを書くならもっとつっこんで聞いておけばよかったなとちょっと思っていますが、わたしの場合年齢的に再手術が必要な可能性が高いこと、肥満体系なことを考えると、もうそれだけで後方が最適なのかな?という気もします。医者じゃないからわかりませんが。

これは脱臼や切り痕に関することなので、ぜひ皆様、根掘り葉掘り聞かれるといいと思います。

わたしは「フラダンス?激しくないなら大丈夫です」「アクアビクス?おおいにやってください」のふたつで、あっさり「それでいいです」という基準でした。それと「早い人で2週間で退院です」という例があること。

しかし自分は「普通は1か月くらいかな」に該当すると思っていました。なんせ重いので術後の自分を支えるのも一苦労だと覚悟しておりましたから。

=術前の一年間=

結果的に手術を受けたわたしですが、できれば手術しないでいたかった面もありました。

経済的負担も大きいし、行動半径が限られるから人間関係も変わってしまうし(外国に行くお友達を見送れなかったり、行きたかったイベントを逃したり)、なんせ身体が不安です。

わたしは転びやすくなってからポールウォーキング用の二本杖を通勤に使っていました。実はこれは結果的にリハビリ時の「歩くコツをつかむ」のにすごく役立った面があります。これがなければもっと早く手術せざるを得ないというか、歩行困難でしたから。インターネットで情報を得るというのは本当に大事なことですね。

しかしわたしは札幌出身なので、授業でスキーを経験するなど、こういうタイプの杖にそもそも慣れていたというのも大きいかもしれません。多くの人は一度や二度は講習会を経て利用しているようです。

わたしは動画はいっぱい見ました。

本来は転びやすい身体をフォローする目的ではなく、運動をしっかりするための用品ですので、この動画のようにできないと自覚がある場合は「限界」の合図ともいえるかもしれません。

わたしはフラを習っているのですが、現在はお休み中です。

当然フラは杖なしで踊ります。踊るときは楽しいし、膝を落として踊るので大丈夫なのですが、帰り道、30分ほど歩いて帰るのですがこれがもう杖ありでも痛くて歩けない!

ただこのポールウォーキングのおかげで、日常では歩き続けられていたことはわたしの強味だったことは確かです。

これからのリハビリで正しい姿勢を意識して階段などもクリアして腿の筋肉をつけていくためにも重要かもしれません。まず早くフラに復帰したいです。(今横歩きが苦手でフラには致命傷!)

アクアビクス水中ウォーキングも、わたしにはよかったです。

家族で通っていたので娘たちと一緒に時間を過ごせたのもあるし、仕事のストレス発散にもなったし、筋力アップといかずとも維持はできたし、なんといっても股関節の可動域を維持できたのは大きいです。といっても水中に限ってという面もありますが。

ただフラにしろ、ポールウォーキングにしろアクアビクスにしろ、体重が落ちるということはなかったです。太る要素はほかにあったのでしょう。

うまく言えませんがそんなに極端に飲食についても変化させているわけではないので(ちょっとは気をつけていますが)「ちょっとの違いがものすごく体に変化を与える体質」であり、しかも「そのちょっとのツボが極端に小さいのでそこに当たらないとほとんどの努力が無駄になる体質」なのが残念なところです。

なんでこんなに一生懸命ここを強調しているかといえばこれです。

わたしは別に人よりすごくだらしないから太ってたわけじゃないのよ!

ここをどうしても協調しておきたいと思います。体重が減っている今でもそう思います。ただそう断言できるけど「なぜそう言えるかというと」というところにまだ至りません。

実は古い友人にダイエットの先輩がいるので、今度彼女と深く語り合って、「これかー!?」というのをまとめてみたいと思います。楽しみです。

なんにせよ手術には「自分のことが好き」な状態で向かうことが大事だと思います。ちょっと食べ物に気をつける、ちょっとタバコやお酒をひかえてみる、ちょっと家族に優しくするし優しくしてもらう、ちょっと違う運動をしてみる、ちょっとカラオケで高得点を追及してみる。

なんでもいいので、自分のことに心を向ける作業をされるといいかなと思います。

催眠療法という方法をダイエットと睡眠障害の解消に取り入れたのも、友人の成功体験もありましたが、自分をいたわりたい欲求が最高潮に達していたからです。

蛇足ですが、そういうとき、おかしな占い、おかしな宗教に頼りたくなる隙間に入られるとものすごく自分も家族も大変なので、それだけは、気をつけましょう。

自分の経験をもとに思いのまま書いていきたいと思います。 現在「人工股関節全置換手術を受けました」(無料)と 「ハーフムーン」(詩集・有料・全51編1000円)を書いています。リハビリ中につき体調がすぐれないときは無理しないでいこうと思います。