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アフリカンイラスト×エッセイ

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アフリカの人々の生き方・あり方について思うことを、絵とともに綴ります。今は西アフリカ・トーゴの衣食住にまつわることを中心に描いています。月1回ペースで更新中。
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#旅

誇りの音 布づくりの静と動ー動編ー

カラコロカラ、カラコロカラ。 とうてい無理だ、私には。 この気高き誇り、軽やかなスピード、阿吽のリズム、砂に吸い込まれる乾いた音、鮮やかさと力強さ、そしてえも言われぬ優しさと。 彼らの発するこの凄まじさ、絵と文章という二次元の世界で表現しつくすなんて、できっこない。 ほのかなオレンジ色のさらりとした砂土を、ぺたんこのサンダルでしゃりりと蹴りながら歩いていくと、スピード感のあるカラコロカラ、カラコロカラ、という音が近づいてくる。素朴な打楽器を打ち鳴らすような、幾重にも重なり

居場所のつくりかた

道端に、木陰を落とす木が一本。 それさえあれば、居場所ができる。 充分に。 初めてのトーゴで、車窓の流れゆく景色から目が離せなかった。道端にいる人々の、いでたちや生活のあり方があまりにむき出しだったから。 ケース1:カニと顎 アスファルトの道路沿い、女性たちが小さなカゴのようなものを3つ4つ地べたに並べて座っている。隣には何かが詰まった大きな麻袋。道沿いに点々と続く彼女たちの存在が気になって車を降りる。 ベナン人ガイドのキキさんが1人に声をかけ、麻袋の中身を見せてくれる

彫刻オレンジ

トーゴのアベポゾで、とても美しいものを見た。 テーラーのEpifaniの家の近くの、車道から一歩入ると、砂と土の通りが広がる。人通りは少なく、ゆったりと穏やかな空気が流れる。そんな茶色い通りに、彼女は店を出していた。隆々とたくましいパイナップル、つやつやのアボカド、バナナ、マンゴーなどを売る場所として。 彼女の肌はアボカドに負けないくらい、つややかに太陽の光を跳ね返していた。 テーブルの中央には、スレンダーな鉄製のスタンド。まるで小さな帽子スタンドのように先が輪になって