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アフリカンイラスト×エッセイ

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アフリカの人々の生き方・あり方について思うことを、絵とともに綴ります。今は西アフリカ・トーゴの衣食住にまつわることを中心に描いています。月1回ペースで更新中。
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#アフリカンイラスト

誇りの音 布づくりの静と動ー動編ー

カラコロカラ、カラコロカラ。 とうてい無理だ、私には。 この気高き誇り、軽やかなスピード、阿吽のリズム、砂に吸い込まれる乾いた音、鮮やかさと力強さ、そしてえも言われぬ優しさと。 彼らの発するこの凄まじさ、絵と文章という二次元の世界で表現しつくすなんて、できっこない。 ほのかなオレンジ色のさらりとした砂土を、ぺたんこのサンダルでしゃりりと蹴りながら歩いていくと、スピード感のあるカラコロカラ、カラコロカラ、という音が近づいてくる。素朴な打楽器を打ち鳴らすような、幾重にも重なり

居場所のつくりかた

道端に、木陰を落とす木が一本。 それさえあれば、居場所ができる。 充分に。 初めてのトーゴで、車窓の流れゆく景色から目が離せなかった。道端にいる人々の、いでたちや生活のあり方があまりにむき出しだったから。 ケース1:カニと顎 アスファルトの道路沿い、女性たちが小さなカゴのようなものを3つ4つ地べたに並べて座っている。隣には何かが詰まった大きな麻袋。道沿いに点々と続く彼女たちの存在が気になって車を降りる。 ベナン人ガイドのキキさんが1人に声をかけ、麻袋の中身を見せてくれる

肋骨上げて

ヒトの肋骨は全部で24本・12組。 背骨から胸骨へとぐるりとつながり内臓を守っている。背骨の上から数えて一番下、腰のあたりにお腹に向かって伸びつつ途中で切れて浮いている肋骨が2組ある。それが、第11・12肋骨で浮遊肋(ふゆうろく)とも言う。 へえ。 「日本人は姿勢が悪く、ほとんどの人がこの途切れた骨の先が下の方を向いています。ここを上に向けるようにしてみましょう」 バレエ歴25年、大きな瞳で華奢な体つきの小暮美香先生のピラティスレッスン。ゆっくり呼吸しながらその末っ子のよ

ヤム、ヤム、ヤム!!

長くてごついヤムイモの山の中に、人がいる。 埋もれるように。 まぎれるように。 トーゴの首都ロメから内陸に向かって、車で2時間ほどの位置にある町、パリメ。この町はクラフトマンシップの溢れるエリアで、おっとりとした手描きの愛らしい看板がそこかしこに立ち並び、工芸品をつくる工房や染色工房などもある。 そして、パラソルが咲くひろびろとしたマーケットも。肉、魚、野菜、調味料、衣服、靴、雑貨、生活に必要なものはとにかくなんでも揃う。カテゴリーごとにエリアが緩やかに区切られていて、木

放課後ののどごし・色のさざめき

ゆるやかな眩しさの日差し、9月のトーゴ。 首都ロメから車で2時間ほどの町、パリメ。どこまでも続いていきそうな滑らかなアスファルトの上を、ブロロロ・・・とどこか牧歌的な音を響かせながらバイクタクシーが行き交う。車道の両脇には開放的な小さな店たちが並ぶ。フフなど日常ごはんを提供するレストラン、ビールやヤシの蒸留酒を出すバー、カラフルな生地屋、ミシンを踏むテイラー、スニーカー屋、八百屋、肉屋、雑貨屋、駄菓子屋、ヘアサロン、コスメティックショップ、バイクや車のパーツ屋、マッサージ店、