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アフリカンイラスト×エッセイ

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アフリカの人々の生き方・あり方について思うことを、絵とともに綴ります。今は西アフリカ・トーゴの衣食住にまつわることを中心に描いています。月1回ペースで更新中。
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#マーケット

彫刻オレンジ

トーゴのアベポゾで、とても美しいものを見た。 テーラーのEpifaniの家の近くの、車道から一歩入ると、砂と土の通りが広がる。人通りは少なく、ゆったりと穏やかな空気が流れる。そんな茶色い通りに、彼女は店を出していた。隆々とたくましいパイナップル、つやつやのアボカド、バナナ、マンゴーなどを売る場所として。 彼女の肌はアボカドに負けないくらい、つややかに太陽の光を跳ね返していた。 テーブルの中央には、スレンダーな鉄製のスタンド。まるで小さな帽子スタンドのように先が輪になって

かたち・活きる・並べ方

トーゴに来て、食材そのものよりもその「売り方・並べ方」に目がいくことがたびたびあった。例えば、主食のフフやパットに合わせるソースに欠かせない、唐辛子の「ペペ」。こちらの写真はアグー山という、標高1000メートルほどながらトーゴで一番高い山の上にある、村のひとつにて。形と色の少しずつ違うぺぺを、乾いたトウモロコシや木の棒できれいに区切り並べて売っている。 そうか、こんな風にすれば、わざわざ包装しなくても小分けで売ることができるんだ。色や形の混ざり具合のバランスが綺麗で、少し見

空気がたくさん入った服

トーゴの首都ロメにある、アベポゾという町で初めてドレスを仕立ててもらった。アフリカ専門のジャーナリスト、岩崎有一さんの長年の友人である、Epifaniにお願いをした。 ロメのマーケットで散々迷いながら生地を決め、(オランダ製でゴールドの部分はメタリックな光沢のある、大ぶりの花柄に決定)Epifaniの自宅兼テーラーの仕事場に持ち込む。まず、壁に貼ってあるスタイルの見本写真から、どの形にしたいかを選ぶ。(下記写真の右上)モデルはふくよかでナイスバディ、そして全身を覆うようなワ

私たちが日々、まとっているもの

初めてトーゴを訪れた時、行き交う人々の華やかさに目を奪われた。 男女ともに、面積いっぱいに広がるカラフルなプリント生地を、思い想いのスタイルで、全身を覆うようなボリューム感でまとっている。 ヘアスタイルも一人一人違っていて見飽きない。くりくりにねじれていたり、毛先だけ赤や青や金色に染まっていたり、後日写真をよくよく見返しても一体どうなっているのかさっぱり分からないようなスタイルも。(下記の写真の一番右の人とか。アップにしてみてください) 姿勢も見事。子どもの頃から頭の上に