【感想】『すずめの戸締まり』に乗れない理由

テレビ放送版を見ました。
劇場で観て以来、ちゃんと通して見るのは二回目です。
以下、ツイートのまとめです。

『すずめの戸締まり』について雑感。
3.11の慰霊としてはよくできてるんじゃないかな、と久しぶりに見た感想として率直に思った。これによって慰められた人はけっこういるんだろうな。

ただ、このどうしても乗り切れない感じ……一体なんだろうとずっと考えている……

ちょっと粗っぽいよね、とは思う。エンタメを重視したということなのか、すずめと草太が色んなところを旅しながら地震を鎮めるためにダッシュするあのスピード感は面白いと思う人には面白いのかもしれない。自分にはどうしても一つ一つの話が雑になってる感じがした。

でも、あのテーマでやるにはあの粗さは致命的なんじゃないかという気がしないでもない。3.11を振り返る、慰霊する、ということを、そんなドタバタの勢いでやるべきだろうか?

3.11という極めて重い現実を扱うにはあの作風は軽快すぎていないか。テーマと描き方が食い違っていないか。どうしても考えてしまう。

違和感の正体はこれなのかなー。

これが12話かけてじっくり描くアニメだったら手放しで称賛したかもしれない、などと思った。

嫌な言い方をすれば、3.11をさっさと精算して先に進みたい人には良かったのかもしれない。自分には無理。スピード感のあるエンタメで、軽快に処理するには、3.11は重すぎる。

みんなはやく未来に行きたいのかもね。辛い過去ははやく記憶の奥に仕舞ってしまいたいのかもね。そういう感情を掬い取って作られたのが『すずめの戸締まり』という映画なのかもしれない。

でも、繰り返すけど、自分には無理。さっさと精算して未来に進むにはあの出来事はあまりにも犠牲者が多すぎたし、失われたものが大きすぎた。

重苦しければいいというもんでもないんだけどね。それは人によるのかもしれない。あれで慰められた人を軽いと非難するつもりはない。自分はあれでは精算できない、というだけ。

未来を見るのはいいのよ。でも、忘れてはいけないこともあるのよ。何度でも思い出さなきゃいけないこともあると思うんだよ。自分にとっては3.11はそういうものかなぁ。



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