未だに低い美容室の社会的地位...
確かに美容業界(美容室)は、世間的に見て、労働環境が劣悪、保険等も加入していない(したくても経済的に出来ない)、数ある国家資格の中でも年間平均所得金額がトップクラスで悪く、企業としての社会的地位も低い、というのが定説でした。
もしかしたら、このご時世にも関わらず、一昔前のように、社内でのイジメや暴力的な言動は日常茶飯事…。というイメージまで根強く残っているかもしれません。
美容業界に限ったことではないと思いますが、もちろん、未だにそういった社風のある美容室が多く実在するのも事実ではあるでしょう。
しかしながらその一方で、時代の風潮もあってか、経済的にゆとりがあろうとなかろうと、実際は雇用保険も社会保険もきちんと加入し、十分な休日に加え、有給やボーナスも与えている美容室が多いのも事実です。
本望でなくとも、そうでもしないと美容専門学校サイドから生徒の紹介を断られ、新卒入社を獲得できなくなりつつある背景もあります。
兎にも角にも本来助成金というのは、そういった、基本的に法令をきちんと守りつつ、従業員の労働環境向上を積極的に図っている、或いは図ろうとする企業に対する国からの報奨金ですが、助成金を申請・受給したことがない、制度そのものを具体的に知らないという経営者が圧倒的に多く、その結果、美容室における実際の助成金受給率も極めて低いのというのも現状です。
第2章:「そもそも助成金とは」
1. 売上げ以外の大きなキャッシュ
そもそも助成金とは、国や地方自治体から支給される事業支援金のことです。融資とは異なり、審査もなく、原則として返済する必要がありません。
毎年変わらずにある制度や新しくできる制度、或いは今回の新型コロナウィルス感染症拡大に伴う雇用調整助成金(同助成金自体は元々あった制度ですが、通例に比べ、受給対象者をより幅広くできるよう、規定が緩和変更されています。)のように、臨時の制度など、助成金にはたくさんの種類があります。
新しい雇用の創出や高齢者の雇用の安定、男性・女性への育休支援などを目的とした雇用関連の助成金は、どんな企業でも対象になりやすく、その他、研究開発型の助成金などを合わせ、厚生労働省が事業者に対して様々な助成金を設けています。
それぞれの目的に応じた条件を満たし、所定の様式に沿って申請を行うことで、ほとんどの場合、支給されます。
国が設けているこの助成金制度は、その原資が事業主から納付される雇用保険料ですので、雇用保険を納税している企業には申請する資格があり、また、何らかの助成金をコンスタントに受給できる可能性が高いのです。