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【経済本100冊】Vol.1:『1分間資本論』(著:斎藤孝)のあらすじ

経済本100冊読破タイトル作成

こんにちは!メンタルブロック解除人こと心理カウンセラーの大和です。

こちらでは、「数字に疎い心理オタクが、経済関連の本を100冊読むとどうなるか?」と言う企画で、読破した経済関連の本を紹介して行きます。
既に経済に詳しい方もそうでない方も、今後の本選びの参考にして頂ければと思います。

今回ご紹介するのは、斎藤孝さんの『1分間資本論』です。

1分間資本論


基本情報

タイトル:『1分間資本論』
著者名:齋藤孝
初版発行年月:2019年3月
ページ数(大体):約190pg
難易度所感〈五段階〉:★★ ややカンタン


大和の適当あらすじ

カール・マルクスの『資本論』のポイントが短時間で理解できる解説本。


全体の感想

難解で長大な資本論の要点をサクッと押さえられる良書。経済に疎い僕でもかなり読みやすく、理解しやすかった。マルクスと言うと、共産革命の影響で、過激なイロモノみたいなイメージが僕の中で勝手にあったけど、『資本論』自体は非常に論理的で、資本主義の矛盾点を冷静に分析していると言う印象。どこかしら、「働かざる者食うべからず」的な、労働を賛美するような価値観がベースにあるのかな~~と思いました。なので、一見合理的な分析に見えるけれども、どこかしらそう言った道徳的バイアスもかかっている気はします。

最近だと、格差社会の仕組みを説いた、ピケティの『21世紀の資本』がベストセラーになったみたいですが、結構マルクスの資本論でも格差社会のメカニズムがスッキリ理解できるので、こっちから入ってもいいと思います。そして簡潔に「ワンポント→解説」と言う流れで、非常に読みやすく噛み砕いてくれた斎藤孝さんの力量に軽く脱帽しました。


大和の学びポイント


< 学びポイントまとめ >

★商品価値は労働量で決まる。
★貨幣は全商品と交換できる商品である。
★売りベースの交換から買いベースの交換になることで剰余価値が生まれる。
★「貨幣→商品」の交換は簡単だが、「商品→貨幣」の交換は簡単では無い。
★お金を貯める人≠お金を増やす人
★お金自体は中立であり、お金に色はない。
★貨幣は労働価値の尺度である。
★資本家は価値を増やす為にお金を使う。
★労働力は、剰余価値を生み出す特殊な商品である。
★労働者は労働力以外に売れる商品を持たないので弱い。
★資本主義社会では物価が下がって賃金も下がって行く。
★国家は農民を鞭打って酷使して、労働者に仕立てあげた。
★少数の資本家がその他大勢の資本家を滅ぼす。
★資本主義的私有の最期を告げる鐘が鳴る。


< 各詳細 >

★商品価値は労働量で決まる
・・・「労働価値説」と呼ばれる考えで、「労働は尊い」と言う考えがベースにある。商品と言うものは人間の生産活動によって生み出されるものであり、また金(きん)とか石炭等のような素材でも、人間が掘り起こして使いやすく加工されたと言う意味では、人間によって生産されたものとみなすことができる。だから商品や財貨の価値の中には、抽象的にではあるが、人間の労働量による価値も含まれている。

 但し、所謂人件費が付加価値として商品価格に反映されていると言うよりも、もっと広い意味で、「商品=労働の象徴」と言うような考え方だと思われる。


★貨幣は全商品と交換できる商品である。
・・・「貨幣商品」と呼ばれる考えである。商品には、商品そのものを利用できると言う「使用価値」と、他の商品と交換できると言う「交換価値」の二つの価値があるが、あらゆる商品と交換可能な商品こそが貨幣であり、貨幣商品を媒介することで、売りたい商品と買いたい商品を交換することが可能になる。

 ちなみにここで言う「貨幣」と言うのは、何もお札とか硬貨のみを意味するものでは無く、あらゆる商品の交換を結び付けてくれるものであれば、それが「貨幣」になる。例えば、古代においては亜麻布(あまふ)や塩が貨幣商品として扱われ、物と物の交換(物々交換)を仲立ちした。

 貨幣商品となる商品には当然、他の商品とは違った条件が必要になり、それが「質がどれも同質で均一であること」と、「量を計りやすく、表しやすいこと」と、「容易に分割したり合体したりできること」である。なので自然にその条件を満たす金や銀が、歴史上貨幣としての役目を果たすようになったと言う。

 しかしながら、金貨や銀貨は使用している内に摩滅して来る。摩滅すると規定重量よりも軽くなるが、国家が「たとえすり減った1ポンド金貨でも1ポンド金貨として通用しますよ」と太鼓判を押せば、重さ通りでなくても一定の価値が保たれる。これを更に延長して考えて行くと、相対的にはほとんど価値の無い紙切れでさえも、国家が「1ポンドとして通用しますよ」と保証すれば、1ポンドの貨幣商品として通用するようになる。つまり「国家紙幣」の誕生である。こうして、経済が発展して行くと共に、金や銀の貨幣商品の価値は実体から分離して、単なる記号として通用して行くようになり、貨幣商品の価値が抽象的で見え辛くなって行くのである。


★売りベースの交換から買いベースの交換になることで剰余価値が生まれる。
・・・より正確に表現すると、「商品→貨幣→商品」の交換から、「貨幣→商品→貨幣」の交換になることで剰余価値が生まれると言うことだが、まどろっこしいので買いベースの交換にこそ剰余価値があると言う風に僕は超訳した。先ず売りベースと言うのはどう言うことかと言うと、先ず手元に商品があって、それを売ることでお金を得て、そのお金で欲しい商品を買うと言う経済活動である。これが「売りをもって始まり、買いをもって終わる」と言う商品流通である。

 で、労働サービスも一つの商品とみなすことができるから、一般労働者の経済活動はこの売りベースの経済活動とみなせる。つまり働く(労働サービスを提供する)ことでお金を得て、そのお金で商品を買うと言うこと。

 これに対して、資本家は買いベースの経済活動を営む。これは、先ず手元にお金(資本)があって、それで商品を購入し、購入した商品を更に売って再びお金を手にすると言うことである。株投資で考えると分かりやすいと僕は思うが、例えば株を購入して、その株を更に売って再びお金を手にすると言うことがそうだが、株が売る段階で値上がりしていれば、その値上がり分の利益(剰余価値)を手にすることができる(勿論値下がりして損するリスクもある)。つまり等価交換の経済では無く、流通を通して生まれた剰余価値を手にして、更にその価値を増やして行こうとする経済活動であり、この投資活動によって「貨幣が資本になる」と言うことになるのである。


★「貨幣→商品」の交換は簡単だが、「商品→貨幣」の交換は簡単では無い。
・・・これは普段の経済活動の中で大体の人が肌身に感じていることであり、感覚的にも分かりやすいと思う。お金で商品を購入することは簡単にできるけれども、商品を売って貨幣を手にすると言う商売活動は中々難しい。何故なら、商売となると必ずライバルが存在して、その競争に勝たないと商品は売れないからである。


★お金を貯める人≠お金を増やす人
・・・『資本論』では、お金を貯める人と増やす人はタイプが違うと断じている。お金を貯めることは「貨幣退蔵」と呼ばれるが、所謂一般消費者・一般労働者は貨幣退蔵者である。

 対して、お金を増やす人は「資本家」にカテゴライズされる。「お金を増やす」と一口に言っても、意味合いが色々とあるが、一般消費者・労働者のような「貨幣退蔵者」は、勤勉に働いたり節約したりすることで、お金を貯め、手元のお金を増やそうとする。つまり、労働力を多く売って少なく買うと言うことが、貨幣退蔵者の経済学である。

 しかし資本家は勤勉とか節約以上に、積極的に投資をすることでお金を増やそうとするので、そこが貨幣退蔵者と異なる点である。勿論現代では一般消費者もプチ投資したりすることがあると思うが、経済活動の重点が専ら投資であり、欲しい商品やら安定の為と言うよりも、リスクを省みずにガンガンお金を増やす為の投資に身を投じる人を資本家であると考えると分かりやすいと思う。



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