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2023年12月16日(土)でXのスペースで話す内容です

※スライドのみデータは下記で閲覧できます.
https://speakerdeck.com/hq_vasis/di-reiyazhuang-tai-qian-yi-tu-destatic-system-dynamic-systemwoshuo-ming

1.  ゲームの状態遷移図(プレーで表記)

バレーボールでは,タッチ(ヒットとコンタクト)ごとに局面(状態)が変わります.
それゆえ,プレー(レセプション,ディグ,セット,スパイク)でシンプルな状態遷移図を描くことが出来ます.ただ,ネット際の矢印が複雑(-_-;)

2.  ゲームの状態遷移図(ルールで表記)

バレーボールでは,ルール上,基本的には「ヒット」しか存在しません.唯一の例外が,「コンタクト(ブロック)」になります.1st Hit, 2nd Hit, 3rd Hit で状態遷移図を描くと,かなりシンプルになりました(笑)
(ルールブックには,hit と contact しか存在しません)
これを使って,System(チーム戦術)を考えています.


3.  Static System の事例(表紙)


以下,バレーボールにおけるStatic System の事例をお話しします.

4.  Static System の事例1

一番有名なチームプレーです.
いわゆる「レセプション・アタック」ですね.
サイン・プレーが成立するのは,レセプションが精度よく「Aパス」になったときだけだと考えられます.

5.  Static System の事例2

レセプション・アタックと,ほぼ,同じシチュエーション.
フリーボールを,「Aパス」でセッターに配球できれば,サイン・プレーのような戦術を発動できます.
Static System は,この2種類しか発見できませんでした.

6.  Dynamic System の事例(表紙)

以下,バレーボールにおけるDynamic System の事例をお話しします.

7.  Dynamic System の事例1

”1st Hit” を高く上げて,上がったボールの状況に適応する形で,自己組織的に協調活動を創り出すような攻撃戦術です.
シンクロ攻撃,ツー・アタック or フェイク・セット,...,など,最近のバレーボールで見られるチーム戦術です.
ゲームモデル,プレー指針により,選手たちが,その場で協調活動を創り出します.もちろん,サイン・プレー(パターン)などは作りようがありません.プレー指針は,

  • "1st Hit" は,高く,ネットに近づけない.

  • スパイカーは,異なるスロットに飛び込む.

くらいであると考えられます.近年のバレーでは,レセプションで,セッターにピンポイントで配球することが難しくなっているので,レセプション・アタックでも,このシステムが利用されることが多くなってきています.

8.  Dynamic System の事例2

相手の攻撃に対して,ブロック&ディグが動的に連携して,自己組織的に協調活動を創り出すような攻撃戦術です.守備は相手の攻撃に適応する以外にないので,昔から,Dynamic System だったと考えられます.ただ,時代によって,ゲームモデル,プレー指針は変化していると思います.
事例1 の攻撃戦術と 事例2 の守備戦術は,"1st Hit" で切り替わっているのが見て取れ,「"1st Hit" をどうするか⁉」 が重要になってきそうです.ポジティブ・トランジション(守備から攻撃への切り替え)の概念は,この周辺を考察することで見えてきそうです.

9.  Dynamic System の事例3

ハイセットが上がったときは,スパイカー以外は,スパイク・カバーのために,適切なポジショニング,姿勢になると思います.これも,状況に応じてチームが適応しているので,Dynamic System の一種だと考えられます.ボールをプレーする権利は自チームにあるのですが,スパイカー以外はネガティブ・トランジション(攻撃から守備への切り替え)が発生しています.

10.  まとめ

頑張って探してみたのですが,Static System の事例は,「レセプション・アタック」と「フリーボールからの攻撃」くらいしか見つけられませんでした.現代のバレーボールでは,簡単にレセプションをコントロールすることは難しく,ほとんどのチーム戦術は Dynamic System になるのかなと考えています.


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