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「映画:フィッシュマンズ」

 初めてフィッシュマンズを知ったのは映画「人のセックスを笑うな」(2008)を観賞した時。
音楽がHAKASE-SUNであり、エンディングと劇中歌に「MY LIFE」と「いかれたBaby」のカヴァー。
映画そのものも面白かったが、劇中全ての音楽があまりにも素敵で・・・音楽の感想に『素敵』という言葉はあまり用いないのだが、この時は「何てキラキラした音楽なのだろう」と、映画館で胸がときめいた事を今でも覚えている。
迷わずサントラCDを購入。劇中曲だけでなく、「MY LIFE」と「いかれたBaby」もそこで初めて"フィッシュマンズ"というバンドの曲だということと同時に、ボーカルである佐藤伸二さんが、もうこの世にはいない人だということも知った。
そこからのめり込むようにフィッシュマンズを聴いて聴いて聴きまくった。

 そして2021年夏、フィッシュマンズのドキュメンタリー映画「映画:フィッシュマンズ」観賞。

——— “誰かの人生を変えるような音楽”という言葉がとても沁みた。
メンバーやミュージシャン仲間たちが佐藤さんとの出会いを、一目惚れや宝物の様だと言っていて、こんなにもフィッシュマンズの音楽が色褪せずにキラキラしているのは普遍的な魅力が詰まっているからなのだろう。デビューから34年経った今も瑞々しさがそこにあるような。
時々"このサウンド、フィッシュマンズっぽいな"って思った時はクレジットを確認するとHAKASE-SUNが担当していたり、某TV番組で「MAGIC LOVE」が流れていたりと、それらに気づいた瞬間がとても愛おしくてたまらなくなる。

劇中、UAさんが「すばらしくてNICE CHOICE」の♪〜あーやられそうだよ なんだかやられそうだよ もう溶けそうだよ〜♪を1フレーズだけ歌っていて、それが本当にとろけそうで、髄まで痺れた。
クラムボンの原田郁子さんのインタビューも素敵で、佐藤さんの高音をトビウオのようなファルセットと言っていて、何とも品のある詩的なその表現をいつか真似しようと思う。
172分という映画としてはかなり長い作品であったが、フィッシュマンズを語るには足りない時間であった。まだ観ていたい、まだまだ聴いていたい、ずっとこの魔法にかかっていたいような。
…叶うならば一度でいいから佐藤さんの声をライブで聴いてみたかった…

一生聴き続けていたい音楽の一つ、フィッシュマンズ。

34年分の13年前に出逢えてよかった。