第165回往復書簡 乳房
牧野伊三夫 → 石田千さんへ
小倉で正月を過ごし、一ヵ月ぶりに東京へ戻ってきた翌朝、目覚めて半分夢になかにいるときに、くすんだ緑色の乳房が暗がりにボンヤリとある映像が頭に浮かび、ずっと見ていた。乳房はガラスのような半透明の物質で出来ていたが、背景の黒い闇となんともいえぬ色調のハーモニーがあり、なんともいえず美しかった。そのうちカンバスに描きたくなり、寒かったが、起きてパジャマのままスケッチをとった。そしてまた、布団に入って寝る。
(1月30日月曜日)
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