第147回往復書簡
牧野伊三夫 → 石田千さんへ
これまで何度も延期になっていた京都のnowakiでの個展がはじまった。
予約のみで三名ずつ入廊。作品を段ボールにつめて送り、みにちゃんと筒井君ご夫婦に展示をお願いする。
以下、会場に掲出の文章。
作品について
ここ数年、目の前にある現実の色や形を忠実に描くのではなく、自由に構成したり、着彩したりするにはどうしたらよいかということばかり考えている。もうデッサンする段階から、そのことを意識して描写をして、さらにカンバスのなかで、あれやこれやと実験をしてみる。写実的に再現することが面白くなくなったからであるが、自分の都合にばかり従って現実を無視しすぎると、どこかアマくなってしまう。現実と妄想、具象と抽象、物質と感情、エトセトラ……。頃合いというものがあるのだろうが、それがわからない。つまり私が絵を描くということは、そうしたことの間でもがいたり、ボンヤリと無力になったりすることなのだろう。どこか日々の生活と似ているなと思う。
(9月19日月曜日)
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