第138回往復書簡 紙とパン、18時半
石田千 → 牧野伊三夫さんへ
期日前投票をして、すこしとおくのスーパーマーケットで買い出しをした。ここは、半月にいちど、買いにくる。
紅茶、ビスケット、マーマレード、きんつば、ドライフルーツ、ワイン、チーズ。
いつもは、除菌消毒最優先に買う。ここに来る日は、うれしくなるものを買う。半月にいちどの、ぜいたくの日。だいたい、お会計は一万円。
きょうも、だいたいいつもとおなじものを買って、えっちらおっちらお会計に進んだ。合計は、一万三千円ほどだった。いつもの三割、物価が高くなったとわかった。数字が苦手で、きょうまで、なかなか実感がつかめなかった。
このごろになってようやく、値上げの方法もいろいろあると知った。
いつものパンやさんでは、バゲットと食パンの値上げがあった。ベーグルは、ひとまわりちいさくなって、生地がふかふかに感じる。小麦粉の高騰は、大打撃というから、作りかたも工夫されているかもしれない。まえのもおいしかったけど、いまのもおいしい。たいへんな努力と思う。
それから、経済問題が発生するとかならず話題になるトイレットペーパー、それから毎日たくさん使うようになってしまったペーパータオルの紙質が変わった。トイレのほうは不便がないけど、手を拭く紙は、うすくなってこまったなあ。そう思っていたら、つぎに買ったおなじペーパータオルは、また紙質がかわって、使いやすくなっていた。いったんがくんと落ちて、改良された。現場のかたがたは、たいへんな努力をなさっている。
みなさんご尽力いただいているのだから、不平不服はいえない。けれど、そうやって、いわずにいることも、なんだかおそろしい。
とにもかくにも、無事に帰宅して、好物が食べられて、牧野さんの旅だよりが読める。昨夜、小沢信男さんのご本を読み終え、今夜からは、大竹聡さんのずぶろくの四季。
表紙の絵は、牧野さんのお仕事。男のひとの、まえのめりの肩が、大竹さんにそっくり。大竹さん、お元気かなあ。
おちこちの便りの届く夏休み 金町
(7月15日金曜日)
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