第85回往復書簡 足立山(日記と手紙)
牧野伊三夫 → 石田千さんへ
ある建築
先月、足の向くまま玉川上水から残堀川づたいに歩いていたら、昭和記念公園の森にたどりついた。ひと休みして、そこからさらに歩いていくと、もうそこがどこであるのか分からなくなった。足も疲れてきたことだし、そうろそろ家に帰ろうと、空の太陽をたよりに折り返すと、通りぞいにトタン壁の面白い建物があり、スケッチを二枚描いた。
そのあと、五日市街道へ出て、家の方角に歩いているつもりだったのだが、ふと見ると向こうに奥多摩の山影が近づいていて、反対方向にすすんでいたことに気づいた。
(7月5日月曜日)
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