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第209回往復書簡 

牧野伊三夫 →  石田千さんへ

 年明け三日、小倉の鳥町食道街が火事で焼けた。
 ここにはかつて、赤ちゃん食堂があって、ハンバーク定食とチャンポンがうまかった。このごろは、耕治のチャーハンと中華そば、川淀の鰻を食べに行くのがたのしみだった。戦後の風情をそのまま残す材木を組んだこの小路の天井が好きで、僕はそれを見るためだけに、ここをよく歩いた。そこがなんといま、ブルーシートで覆われ、警官に見守られている。
                         小倉のアトリエにて

足立山、山ふたつ 2024年1月7日 鉛筆 A4

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