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一組を語る

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2024年3月の記事一覧

一組を語る(第3回)

学生指揮者3年目にして、ホルストの名曲「軍楽隊のための第一組曲」の指揮を担当する機会をいただいた。その際に調べたことや、合奏を通して思ったこと、独自の解釈などを、ここにアーカイブとして残しておく。 今回は、第二楽章「インテルメッツォ」について言及する。 全体外観ホルストの手稿譜の表紙に「各楽章は、同一のフレーズで構成されているため、この組曲は休みなしに通して演奏されることを望む」とある。 「同一のフレーズ」とはどういうことか。それは登場する主題をシャコンヌ主題と並べてみ

一組を語る(第2回)

学生指揮者3年目にして、ホルストの名曲「軍楽隊のための第一組曲」の指揮を担当する機会をいただいた。その際に調べたことや、合奏を通して思ったこと、独自の解釈などを、ここにアーカイブとして残しておく。 今回は、第一楽章「シャコンヌ」について言及する。 全体外観第一楽章では「シャコンヌ」という古い形式を用いている。ホルストが一組を作曲した当時に研究していた、イギリスの作曲家「H.パーセル」の影響か。「シャコンヌ」とは、3拍子の舞曲であり、バスあるいは和声を基にした変奏のこと。「

一組を語る(第1回)

学生指揮者3年目にして、ホルストの名曲「軍楽隊のための第一組曲」の指揮を担当する機会をいただいた。その際に調べたことや、合奏を通して思ったこと、独自の解釈などを、ここにアーカイブとして残しておく。 今回は、作曲の経緯や、管楽合奏の歴史、様々な楽譜の版について言及する。 作曲の経緯1909年作曲。作曲の経緯や初演についての記録はなく、詳細は不明。グスターヴ・ホルストの娘イモジェンは、父グスターヴの伝記を記しているが、そこにはこの曲についての記述がほとんどない。ホルスト自身は