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ひなたフェスという賭けはアイドルに新時代をもたらすかもしれないー「持続可能なアイドル」という挑戦【ひなたフェスは世界を変えられるか?その1】

どうも。ひなたフェスのチケットを2日分入手できると思っておらず、喜びと同時に旅費を確保できるのか?という焦りもあるみなと4648です。
今回から連載をスタートします。題して「ひなたフェスは世界を変えられるか?」です。この連載ではひなたフェス2024を宮崎で開催する意味、日向坂・宮崎双方にとってのメリット、運営、メンバー、そしておひさまが何をすべきかということを考えていきます。
その道のプロではないので主張の妥当性については担保しかねますが、一応アマチュアに毛が生えたくらいには知識はありますし論じる資格はあると自負しています。本連載を読み終わる頃には皆様に「いつもと違うライブ・フェスへの関わり方をしてみよう」と思っていただけるよう努力いたします。疑問点や修正すべき点がありましたらご指摘いただければと思います。尤も、Note初心者かつ日常生活が忙しいため返信が遅くなることはご容赦ください。
前置きはこれくらいにして本論に入っていきたいと思います。今回はこのシリーズの核となるトピックを概観します。


なぜ無謀な挑戦をするのか?

2024年9月7日・8日に開催される「ひなたフェス2024」。日向坂46史上初の単独でのフェス主催(出演者はおそらく日向坂関係者のみでしょう)で、およそ4年前から関係の深い「日本のひなた」宮崎県での開催ということもあり、運営だけでなくメンバーもおひさまも熱が入ったプロジェクトです。6月21日〜23日に生放送された「日向坂46時間TV」もひなたフェスを宣伝し盛り上げることが大きなミッションでした。

日向坂46は結成された年から宮崎との関係を深めてきた

ひなたサンマリンスタジアム宮崎を埋める」。日向坂が掲げた目標はあまりにも無謀です。成功ラインを自ら上げに行くことは、紅白落選により「国民的アイドル」の地位に疑問を抱かれかねない現状ではメディアや世論に評価される可能性を高める一方で、日向坂をよく思わない人たちのおもちゃになる可能性をそれ以上に高めてしまいます。周年ライブでもステージバックの売り出しがなくなるなど、集客力やおひさまの輪の広がりを心配する声さえあるなかで、この目標は野心的と言えるでしょう。

それだけでなく、ひなたフェスのチームはスペシャルサイトで「このフェスに対して単なるライブイベントに留めない、新たな意義を見出すようになりました。」「私たちがこれからもエンタテイメント活動をしていくためにも、宮崎、ひいては地球を取り巻く環境にももっと目を向けなければならないのだと感じています。」と集客にとどまらない挑戦をしていくと宣言しました。

つまり今回の挑戦は、おひさまが盛り上がるため、日向坂の名前をより多くの人に知ってもらうためだけでなく、新たなビジネスモデルへの挑戦という目的をもあわせもつ、まさに賭けのようなものになりつつあるのです。このフェスに失敗は許されない、成功しかないのです。

宮崎のメリット

ではなぜ宮崎はそんな賭けを受け入れるのか。それはフェスが成功すれば宮崎にとってもメリットが大きいからです。年間を通した観光需要の平準化、観光業の「稼ぐ力」の向上、シティプロモーションや「持続可能な観光」の先進事例の仲間入りなど、観光都市として果たしたい目標がたくさんあります。2019年の宮崎訪問は「ひなた」のご縁からの温かいお誘いでしたが、今回はポストコロナ・オーバーツーリズム時代の観光の起爆剤としての期待という打算的な意味合いも強いと考えられます。

宮崎と日向坂の関係は「ひなたの同志」からビジネスパートナーへ

日向坂の狙い

対して日向坂はなぜフェスに賭けるか。その意図は日向坂46が抱える問題に対する解決策としての期待に集約されるでしょう。

問題の一つは、秋元康氏の仕事量からこれ以上シングル・アルバムのリリース頻度を上げることができないことにあると考えています。他のエンターテイメントに埋没しない話題作りとして日向坂独自の取り組みが必要であり、その目玉としてひなたフェスの定例化を考えているのではないでしょうか。

二つ目は、秋元康氏・SONYに頼らないマネタイズです。公式ページには「このフェスに関わるものを全て東京から持ち込むのではなく宮崎の皆さんと一緒に創り上げていきたい」とあります。一見地方創生に配慮した一文に見えますが、これだけ大きな挑戦にも関わらずソニー・ミュージックレーベルズやY&N Brothersはいつも通り「協力」に過ぎない点を見逃せません。後援・協力に宮崎の関係機関が並ぶことからも、「宮崎と稼ぐ」決意が表れていると読めます。運営もいつものホットスタッフ・プロモーションではなくキョードー西日本になっており、ある種SONY頼み・秋元康頼みからの脱却をも試しているのではないでしょうか。(そうであれば問題が噴出しているライブエグザムはなぜ外さなかったのか?となりますが…)もちろんSeed&Flower内部の資金の流れが明らかでないので、この取り組みが「日向坂が稼いだものを次の活動を生み出す力として利用する」というサイクルにつながるかは断言できない点です。

三つ目は、独自性の発揮と社会的評価の獲得です。AKB48が「会いに行けるアイドル」の大衆化とアイドル文化のアジアへの輸出、乃木坂46がAKB48モデルの洗練とメディアの劇場化、欅坂46が「笑わないアイドル」の確立と大人数アイドル文化の欧米への進出といった社会へのインパクトを残したのとは対照的に、日向坂46は現状数多あるアイドルグループの一つに過ぎません。私は、Seed&Flowerがこの現状に対して、「東京発アイドルによる地域創生・環境配慮型エンタテイメントの確立」という業界の地殻変動を狙おうとしているのではないかと考えます。しかし、この試みは「秋元康型アイドルのアンチテーゼ」であり、一歩間違えると世間からの批判を受けること必至だと思うのです。

以上はあくまでも筆者の私見です。

世間に評価されるためにはビジネスモデルの変革が必要

ひなたフェスが「秋元康型アイドルのアンチテーゼ」になっていると考えるのは、オフィシャルサイトで謳われている「フェスを行うということでかかってしまう環境負荷を少しでも抑えたい」という部分です。日向坂46はAKBグループがアイドル界に定着させた「大量消費主義のビジネスモデル」という流れのなかに存在しています。今回のフェスで旗の一つとして掲げる環境配慮は、CDを「握手券」付きで売ることで稼ぐモデルに真っ向から対立します。CDケースを再生プラスチックに変えたり紙のスリーブにするといった変化や、CD多売主義そのものを見直すといった過程がなければ、環境配慮という主張は見かけだけで中身のないグリーンウォッシュであるという批判を免れません。ひなたフェスを通してSeed&Flowerはビジネスモデルの根幹という本来禁忌であるはずの領域に自ら手を伸ばそうとしているのです。

そもそもSeed&Flowerがこうした発言を求められることを認識できているのか?が疑問

またおひさまにとっては、過剰な稼働や長期間の冬眠など極端な活動状況が繰り返されているなどの現状を見て、メンバーやスタッフの権利や意見が個人として尊重されているのか?という点にも注目しています。こうした点もSDGsに関わりますが、「ひなたフェスにおけるSDGsの取り組み」には作り手に対する言及がなく、SDGsの都合のいい面だけを見ていないか?と問いたくなります。

今、世界はエンタテイメント・観光を含め持続可能な社会を追求した取り組みを進めています。その本質は将来世代のためだけでなく、今を生きるすべての人をも幸せで満たされた生活をもたらそうというものです。大量消費主義に基づいたビジネスモデルを確立してきたJ-POPアイドルがその先頭を走るならば、必ずや業界のお手本となることでしょう。しかし、日向坂が単体でそれを成し得るのかは大きな疑問があります。

SONYは寝ぼけている場合ではない

Seed&Flowerはこのような危ない賭けを宮崎とやろうとしているにもかかわらず、SONYは勝手にしやがれと言わんばかりに不干渉を決め込んでいるように見えます。それではいけない。NGTの問題がAKSを滅ぼしたように、日向坂の賭けが波紋を呼ぶことになればSONYに対する失望を招くのです。

そもそも、ひなたフェスはSONYにとっても悪い話ではないはずです。今や世界のスタンダードになっているSDGsに配慮した「持続可能なエンタテイメントづくり」の先進モデルづくりを勝手に関連企業がやってくれるのですから。必要なインフラ整備のために自社製品を売り込みSDGsウォッシュと非難されそうな部分への対策を助言、炎上対策の要員を出向等で手配する。この程度の労力で手柄として世界に誇れる可能性があるのに、それをみすみす見逃そうとしているのです。さしづめ「#SONY起きろ」といったところでしょうか。

ひなたフェス成功は日向坂をエポックメーカーにする

私はひなたフェスという賭けに賛成です。一見危険ですがこのままの路線を維持しても日向坂46として大幅な支持拡大は見込めず、覇権アイドル不在の戦国時代を乃木坂46が一応制した後もくすぶる新たなアイドルに飲み込まれる可能性が高いです。また、こうした「社会的正義」を掲げられるアイドルは現状他になく、「誰ひとり置いていかない」グループづくりをメンバーがしてきた日向坂だからこそ成し遂げられる可能性があります。万が一失敗してもグループの本質が変わらない限りおひさまは離れないだろうし、何度でも立ち上がる力があると信じています。
ひなたフェスが成功すれば、東京中心の規模の経済を前提に成り立っているアイドルのビジネスモデルを、地方とつながる地産地消・環境配慮型の持続可能なビジネスモデルへと大きく変革するきっかけになります。このことは社会に誇れる大きな成果となり、日向坂46は業界の新時代を牽引する存在になることでしょう。

AKBグループの選抜方式の変化は支店を「ご当地アイドル化」していると言えよう。

ひなたフェスは世界を変えられるのか?

この連載のタイトルは「ひなたフェスは世界を変えられるのか?」という挑戦的なものにしました。その理由としては、上記のようにひなたフェスが成功すれば世界を少し変えられるはずだ、という確固たる自信がある一方で、その実現は難しいと考えるからです。そもそもこのフェスを行うこと自体がアイドル界に一石を投じるものだと信じますが、それにとどまらずアイドルのビジネスモデルに変化をもたらし、果ては日本の地方、そして世界を変える可能性を秘めていると思います。腐ってもSONYの傘下ですから、本気になれば「日向坂モデル」の構築さえもできるはずです。一方で、その方策を誤るとSDGsウォッシュとの非難を受けるなどマイナスプロモーションになり、炎上という悪夢を呼び起こすかもしれません。

そこで、この連載で私は、ひなたフェスが掲げる目標の本質の追及や世界から失笑されないための方策の提案をしていきます。その道のプロではないので穴の多い議論になるかと思いますが、皆様がひなたフェスをおひさまという立場を超え社会を生きる一個人として考えるきっかけになれば幸いです。

次回予告

第2回となる次回は「宮崎はなぜひなたフェスを受け入れたのか?」を考察していきます。全何回になるかも未定の何も決まっていない連載ですが、興味を持っていただけましたらお付き合いいただけますと幸いです。

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