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4つのアンシミュを比較してみた

UADのアンシミュを試してみたら思った以上に良さげだったので、FM3と、ついでにAmplitube 5とBIAS FX2も含めて比較音源を作ってみた。

動画の最後にも書いたように、答えは以下の通り。

Amp 1: Fractal Audio Systems FM3 DasMetall
Amp 2: UAD brainworx Diezel VH4
Amp 3: Amplitube 5 VHandcraft 4
Amp 4: BIAS FX2 '92 VH4

デフォルト設定とかすべて12時とかで比較してる動画多いけどそれってあんま意味ないと思うんで、TubeScreamerとヘッドの設定だけでできるだけ近づけました。
結果としてはかなり近づいたと思う。自分でもブラインドでは正確に当てられないと思う。各シミュレーターで微妙にEQが違うかもしれないけど、ツマミのほんの少しの差なのでそこはあまり重要な点ではない。

UAD

UADはbrainworxやSoftubeが開発していて、このVH4やHerbertを筆頭にかなりハイクオリティだった。ネイティブで使えるアンシミュでは最高峰ではなかろうか。私はIn The Boxマンだからほとんど生アンプでギター弾いたことないので正直よくわからんけど、UNISONで挿したときは歪みの立体感とかローの解像感が少し上がったような気がする。プラシーボ程度。
正直FM3はTSとヘッドいくつかしか使ってないので、売り払ってUADに移行したらコンパクトで無駄がなくて良くね?と思ったのがこの比較動画を作ったきっかけ。ライブもやらないし。Apollo Twinをフル活用できて、ニアゼロレイテンシーでモニターできるし、YouTubeで実機と比較してる動画見てもかなり良い線いってるっぽいし。メタル系ハイゲインアンプのクリーンチャンネルが使えるのも嬉しい。
ただ、付属のIRが結構箱鳴り感が強いというのか、普段使ってるOwnHammerと比べてフォーカスがボヤけてる感じ。単体だと生っぽくていいんだけど。キャビはバイパスできるけど、UADのIRローダーが出ていないため、DAWに挿したIRローダーを通してモニタリングすることになり、今度はレイテンシーが出るのでハードと同じようには使えない。これは盲点だったし致命的だった。その他の点ではとっても気に入った。純粋にアンプヘッドのクオリティのみを求めている人ならこれで十分だと思う。
UADは総じて「ミックスで使いやすい音が簡単に作れる」っていうタイプではなく、「良いところも悪いところもGUIも含めて実機を完全再現したので、あとは実機を扱うのと同じように使え」ってスタンス。デジタル実機と言うべきもの。

Amplitube 5

今回使ったのはVHandcraft 4という新しめのVH4モデリング。これも良い。ここまでFM3やUADに近付けるとは思わなかった。クリーンも良い。「Amplitubeはクリーン〜クランチが弱い」と言われていたがそれは昔のモデリングの話で、最近追加されたモデルは十分な品質と感じた。Amplitubeに限らず、アンシミュはソフトそのものの新旧ではなく、その中の各アンプモデルの新旧で比較しないと意味がない。Fractalだって昔のモデリングは微妙だったりするし。アンシミュの世界は日進月歩なので、どのソフトも新しいモデルになるほどクオリティが上がってる。だから「○○(ソフト)はクソ」みたいな議論は意味をなさない。

BIAS FX2

BIASはクソ ※個人的な感想です
歪み系がどのモデルもギャンギャンジリジリしてて実機っぽさはない。YouTubeで聞いた実機の音と全然違うんだもん。まあ実機に近ければ良いってもんでもないし、ギャンギャンジリジリしてるからすなわち悪い音ってわけでもないけど、全体的にピーキーすぎて万人にはおすすめできない。Amplitubeがデジタル臭かった時代にクリーン〜クランチの良さで導入したけど、今選ぶならAmplitubeかな。ソリッドでジャキッと突き抜ける音は得意なので、ベタベタに音圧を上げたい場合はあり。品質自体はみんな上がってるけど、このようにメーカーごとに目指すベクトルが全然違うので、そこがソフト選びのポイントになる。
ちなみに比較動画のBIASは他と揃えようとした結果、トレブルもプレゼンスも0、ベースは10みたいな極端なセッティングになってます。それでも隠しきれないギョリギョリ感がある。

FAS FM3

UADはIRローダーの件でダメだったので、結局初心に帰ってFM3を使っていくことにしました。宝の持ち腐れが嫌だっただけでFM3に不満があったわけでは全くない。ネイティブ系はレイテンシーの問題でリアンプ用以上にはならないし、何よりFASを持ってることによる「これ以上のものはないから悩まなくていい」とか「これでできないことはない」とかの精神安定剤的な効果が個人的には一番大きい。細かい差にこだわりすぎる時間ってもったいないので、何も考えずにFractalを使うのが一番良い。信仰とも言える。
正直TSとアンプヘッドのクオリティだけなら、現代の他のアンシミュと比較すれば大差ないと思う。実際に制作で使って気に入ってるのは、クセが強すぎるモデルがなくて、イメージ通りの「良い音」に素早くたどり着けるところ。tweakしようと思えばいくらでもできる一方で、そのままでも十分だし、tweakしても破綻しない。
他にも
・単品買いしてもいいレベルのエフェクターがてんこ盛り
・インプットがギターに最適化されている(※ただしFM3には可変インピーダンス機能はない)
・チューナーが正確で反応が速い
などなど、これで20万しないなら全然コスパいいのでは…とすら思う。
とは言え細かな不満もあるんだけど、ほとんど言いがかりみたいなものなので書き控える。あ、UAD Satelliteみたいに操作子なくしたDSPとソフトウェアだけの箱を10万くらいで売ってくれたらそっちの方がいいなぁ。

他にいろいろ聴いたり試したりした中ではHelix Native、Neural DSP、Overloud TH-Uとかが良さげでしたけど、とりあえず思い切ってFractal買ってその中で試行錯誤するのが一番時間もお金も節約になるとさえ思う。最後はモチベーションが上がるとか愛着を持てることの方が大事。

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