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ヘルシンキ出張中にPCR検査で陽性になって、領事レターで帰国した話

ヘルシンキに出張中、PCR検査で陽性になってホテルで隔離生活を送り、その後も陰性にならず大使館から「この人は陰性証明書を取るのが困難です」という領事レターというものをもらってようやく飛行機に乗ることができました。なかなか珍しい体験だったので以下にメモを記します。

帰国までのプロセス

当初は8月20日にヘルシンキを発つ飛行機に乗って帰る予定で、18日にPCR検査を受けました。その結果が陽性で18日の午後からホテルの部屋で隔離生活に入りました。症状は全くありませんでした。実は7月末に日本でコロナにかかっており、その時は微熱が数日続いた後に回復しました。回復した後もずっとウイルスを持っていたのかもしれません。とにかく隔離期間が終わった23日にもう一度PCR検査を受けたけどまたも陽性でした。

回復していても陰性証明が取得できない人は大使館に申し込むとその旨を記した領事レターというものを発行してもらえて、それを航空会社に見せると飛行機に乗せてもらえるという話を聞き、それで帰国を目指します。

まず必要なのは病院から回復証明書を出してもらうこと。そこで24日に病院に行き回復証明書を出してもらって大使館に申し込みました。ところが回復証明書に不備があり、これでは領事レターが発行できないという返事。再び病院にいって事情を話し、翌25日に新しい回復証明書を発行してもらうことになりました。25日、再発行してもらった回復証明書を大使館に送ります。しかし領事レターをもらうには回復証明書の後に受けたPCR検査で陽性であるという証明がいるということなので、26日に三度目のPCR検査を受けます。

ここで陰性が出ると領事レターは発行してもらえないのですが、30日の飛行機を予約したので帰国の便の出発72時間前以内という条件を満たしていません。なので陰性になるとさらにもう一度PCR検査を受けないといけなくなります。「陽性であってくれ」という変な祈りが通じて、結果は無事に陽性でした。

陽性証明書を大使館に送るも土日は大使館はお休みなのでそれが向こうに見られるのは29日月曜日の朝。領事レターの発行には2営業日を見てくれ、と言われているので危ないかなと思ってやきもきしましたが、月曜日の夕方には領事レターが届きました。文面は

在フィンランド日本国大使館は、久木田水生(PASSPORT NO. ×××××××××)については、当人から必要な情報を確認し、日本の権限ある当局から了承を得たうえで、当地を出発するまでに検査証明を取得することが困難な状況であることを確認する

というものでした。

翌30日、チェックインカウンターで領事レターと回復証明を提示して無事に飛行機に乗ることができました。

旅行代理店

今回のトラブルで感じたのは、旅行代理店を使っていてよかったということです。私は京都にいたときから使っているアートツーリストという会社に飛行機とホテルの手配をお願いしていました。最近はネットで飛行機のチケットもホテルも自分で割と簡単に探して予約できますが、トラブルの時に代理店がサポートしてくれるのは心強いです。フライトの変更(2回変更しました)とか、領事レターでの搭乗の可否を航空会社に問い合わせるのとか、代理店がさくさくやってくれたので助かりました(トルコ航空を使ったのですが、大使館からは日本への直行便があるフィンエアーと日本航空以外には領事レター保持者についての情報を通知していない、と言われました)。「たびれじ」も代理店が登録してくれてて、そこから領事レターについて情報を得ました。

旅行保険

旅行保険は大事ですね。これも旅行代理店がおすすめしてくれたものに入っていました。旅先での疾病・傷害に関してかかった費用を無制限にカバーしてくれる契約にしていたので、お金の面に関しては心配しないで済みました。今回費用はそれほど掛かっていないのですが、どれだけ滞在が長引いても、あるいは症状がでて病院で治療することになっても、お金の面では心配がないというのは気持ちの上でずいぶん楽でした。千円二千円の違いでこの安心感が買えるなら安いものです。ちなみに最終的にかかった費用は、ホテル10泊の延長がおよそ1971ユーロ、PCR検査は2回余分に受けたのが合わせて378ユーロ、病院で回復証明書をもらうのに92.5ユーロ、フライト変更の手数料が2回分で33000円、しめておおよそ40万円くらいでしょうか。

ホテル

大学の規程で研究費から出せる宿泊費用はヘルシンキだと一泊2万円ということだったので、そのぐらいのところを代理店に探してもらいヘルシンキ駅の隣のホリデイインに宿泊していました。PCR検査で陽性になったとホテルに告げたら朝食を部屋まで持ってきてくれました。それが一日の食事に十分なくらいたっぷり持ってきてくれたので、朝昼晩に分けて隔離期間の五日間の食事はそれだけでしのいでいました。食事はシンプルですがおいしかったです。毎日おなじものでも飽きませんでした。それと「必要なものがあったら何でも言ってください」と言ってくれてありがたかったです。部屋の清掃にも人が入ってこれないので、床を掃除するものを貸してほしいと頼んだら「箒がないから掃除機で良いですか」と言われて、業務用のごつい掃除機を貸してくれました。

レンタルWifiルーター

Global Wifiで、ヘルシンキで使えるWifiルーターを通信量無制限のプランでレンタルしていました。レンタル料金は当初は8日間で23910円でしたが、10日間延長して51460円になりました。延長分は保険が下りるのかはこれから交渉します。

ホテルのWifiがちょっと遅くて、しかもタブレットと携帯ではつなげなかったので、ルーター持って行っててよかったです。特に家族との連絡は携帯でLineの通話機能を使っていたので。

隔離中の暇つぶしにはNetflixを見ていました。『異世界おじさん』と『バックストリートガールズ』が面白かったです。あとはYouTubeでナイツとか笑い飯とか千鳥の漫才を見たり、ジャンプ+で『ハイキュー』10巻分無料を読んだりしていました。もともとインドア派なので部屋に閉じこもること自体はそれほど苦になりませんでした。ある人から「文豪缶詰プランですね」と言われましたが、インターネットがある限りオンライン会議とメールとNetflixからは逃げられないのです。

病院

ホテルから歩いて5分くらいのAavaというフィンランドでチェーン展開している病院を利用していました。朝早くから夜遅くまで開いていて、しかも土日も開いているので便利です。受付も医師も親切で愛想もよくて、コミュニケーションが苦手(英語だとなおさら)な自分としては助かりました。ちなみにヘルシンキはお店とか空港でも大抵の人が愛想がよかったです。

観光

一人で観光することにあまり楽しみを見出せないので、自主隔離期間が終わった後もほとんど観光はしませんでした。一人の外食は好きでないので食事はもっぱらスーパーでサラダとかパンとか買ってホテルで食べていました。でも散歩は好きなので街中を歩き回りました。街並みが綺麗で楽しめました。それほどたくさんヨーロッパの街を知っているわけではないですが、ヨーロッパは街並みが綺麗なところが多いですね。唯一、ホテルの近くのフィンランド国立博物館には立ち寄りました。入口の熊が恰好良かったです。

フィンランド国立博物館の入り口の熊


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