夜驚症

幼い頃、私は夜中に突然飛び起きて喚きながら走り回る、いわゆる夜驚症でした。
今でこそしっかりした病名がありますがその当時は情報を得る手段も少なく、両親は精神疾患を疑い専門医の受診を検討していた様です。
夜中に走り回り泣き叫ぶ意味不明な言動を繰り返す、など。本人には意識は無いが視覚はハッキリしているようで家中を走り回っても転んだり体の何処かをぶつけたりする事はありませんでした。
その頃の意識の戻り方は嗚咽して泣いている自分に気付き、どうして泣いているのか自分でも分からないまま、呼吸が整い静かに通常の睡眠に戻る。という様な感じでした。

おそらく4歳頃から始まりピークは7才前後で徐々に回数が減り最後に症状が出たのは小学5年生か6年生の夏休みでした。親戚の姉と徹夜で夏休みの課題を行い早朝に飛び上がる様に身体を起こし、泣き喚き走り回った後に父親の前で土下座をして父に向かい「ごめんなさい」と何度も懸命に謝っていました。驚いた父の表情も自分が奇怪な行動をしている事もハッキリと自覚はあるのですが自分ではその行動を止める事は出来ませんでした。

途中から自覚があるという感覚は発症当初には無く後半になって現れた感覚でした。

その後の症状の出方は飛び起きて走り回る、奇怪な言動を取るなどは症状は同じだったのですが途中から意識があり、自分でおかしな行動をしている事を認識しているのに奇怪な行動を止める事が出来ないという、まるで夢の中で夢だと気付いている感覚に近いものになっていきました。
回を重ねる毎に徐々に意識が強くなり奇怪な行動を止める事が出来なくても声を発する事が出来る様になりました。「辞めたいんだけど止まらない」の様に自分の思いを言葉として発する事が出来るようになったのです。その後、中学生になると、全く症状は収まりその後も出た事はありません。
当時を振り返って見ると家庭が不安定だった事や私自身がイジメを受けていた事もあり精神的なストレスはかなり大きかった事は間違いありません。
でもそれだけが夜驚症の原因では無かったような気がしているのです。
それは・・・


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