韓国のそうめん「ククス」、ヒョンビンが作った北朝鮮の味噌ククス(『愛の不時着』について#5)
ドラマ『愛の不時着』について、5回目です。
第1話で、パラグライダー中の事故で北朝鮮に不時着してしまった韓国人女性セリ(ソン・イェジン)。非武装地帯を走り抜け、韓国にもどれたと喜んだのも束の間、彼女の目の前には、見たこともない暮らしぶりの村人たち。牛と荷車で荷物を運び、配給券で食べ物を手に入れる。列をつくって行進しながら登校する子どもたち。ここは北朝鮮!
凍りつくセリでしたが、軍部に知られず無事に韓国へ帰る作戦を実行するため、最初に彼女を発見したリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)大尉の婚約者としてこの村で暮らすことになります。ドラマで描かれている北朝鮮の素朴な日常生活と、そこになじんでいる南町(韓国)の文化が、私たち韓国人の興味を強く引きました。
リ・ジョンヒョクの手作り料理シーン
tvN公式サイトより
http://program.tving.com/tvn/cloy
セリのためにジョンヒョクが手料理で「ククス」を作るシーンは、とてもやさしく穏やかで、女性ファンの胸をときめかせました。セリは警戒して口をつけませんでしたが、ククスは韓国でもよく食べるそうめんのことです。
ジョンヒョクが作ったククスは韓国のククスとは麺の色が少し違います。スープは韓国でも地方によって違いますが、ジョンヒョクは味噌を溶かして入れていました。調べてみると「ナンセデンチャンククス」という、北朝鮮でよく食べるククスだとわかりました。「ナンセ」は北朝鮮の方言で野菜、「デンチャン」はお味噌なので、野菜味噌そうめんになります。
麺は小麦粉ではなくとうもろこし粉を使うので、ジョンヒョクのククスも黄色みが強かったのです。とうもろこし粉は小麦粉よりコシがしっかりしていて、意外と美味しいのだとか。とうもろこし粉の麺なのでそうめんより太く、日本の味噌ラーメンに似ているかもしれませんね。
ソウルには北朝鮮の料理専門店があり、そこに行けば「ナンセデンチャンククス」が食べられるそうですよ。
韓国の一般的なククスは煮干しだしのスープで好みの野菜炒めをのせ、ヤンニョン(万能の合わせ調味料)で味付けをします。のせる野菜炒めは家庭やお店によって違いますが、市場の屋台などではヤンニョンで味付けだけをしたシンプルなのもあります。野菜をたくさんのせたものは「チャンチククス」、シンプルなものは「ククス」と呼びます。夏には氷を入れて冷やしても美味しいです。
子どもの頃から、母がチャンチククスをよく作ってくれたので、私はチャンチククスを外で食べたことがありません。家では人参、ズッキーニをフライパンで軽く炒めたもの、卵焼き、たくあん、そして醤油と砂糖で炒めた韓国四角蒲鉾を入れるのが定番です。とても美味しいです。ホームパーティーのメニューにもとてもいいと思います。
《北朝鮮料理が食べられるソウルの食堂》
ヌンラ食堂「北朝鮮伝統料理研究院」
서울 종로구 돈화문로5길 42
Donhwamun-ro 5-gil, Jongno-gu, Seoul
09:30〜21:30