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平凡な30代主婦が夫の実家で突然豹変…女性の生きづらさを描く問題作(映画『82年生まれ、キム・ジヨン』について#3)

本日(2020年10日9日)から映画館で公開された『82年生まれ、キム・ジヨン』について。3回目は映画のあらすじとキャストを紹介します。

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写真はすべて公式HP(http://klockworx-asia.com/kimjiyoung1982/)から

 話題の同名ベストセラー小説が原作の映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が日本でも公開されました。韓国で2016年に発売され社会現象となった原作は、2019年10月、韓国での映画公開を前にして再び注目を集めました。主演は実力俳優チョン・ユミとコン・ユ、監督はキム・ドヨン。この映画はキム・ドヨン監督の長編映画デビュー作として第56回「百想芸術大賞」で新人監督賞を受賞しています。

 1982年生まれのキム・ジヨン(チョン・ユミ)は、大学の先輩にあたるデヒョン(コン・ユ)と結婚して2歳の子どもを持つ母。平凡な30代女性である彼女は、育児と家事に追われる日々を過ごします。お正月の日、夫の実家で休まず家事を手伝っていたジヨンが、やっと自分の実家に帰ろうとします。そのとき夫の姉夫婦が訪れ、義理の母親は引き続きジヨンにもてなしを頼みます。そんな義理の母に対し、突然ジヨンは自分の母親が憑依して、嫁への配慮が足りないなど心にある本音を発します。そんな風に始まった映画は、ジヨンの産後うつや育児、再就職の厳しい現状など、現在の彼女が抱えている問題を中心に過去の回想シーンもくり返しながら展開していきます。

<登場人物>
ジヨン役チョン・ユミ

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映画『トカニ 幼き瞳の告発』『新感染 ファイナル・エクスプレス』、ドラマ『恋愛の発見』などを通じて自然でリアルな演技で愛されている女優。今を生きる平凡な30代女性ジヨンを演じ、少しずつ変わっていくジヨンの複雑な感情を精細に表現しています。56回大鐘賞主演女優賞受賞。

デヒョン役コン・ユ

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映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』、ドラマ『トッケビ』など主演の作品が大ヒットしている人気俳優。平凡な会社員であるジヨンの夫を自然に演じ、親近感あふれる人物を作り上げました。妻に対する深い真心や配慮を、緻密な感情表現でこなしています。

ミスク役キム・ミギョン

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ドラマ『相続者たち』『サイコだけど大丈夫』など数多くの作品に出演している劇団出身の演技派女優。ジヨンのよき理解者でもある母親ミスクを情感たっぷりで演じています。

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 韓国では原作は20~30代のファンが多かったですが、映画は50~60代の観客が多かったようです。ジヨンの母親であるミスクの人生が心に響き、共感する人が多かったと思います。映画は原作よりフェミニズム傾向が柔らかくなり、最後にジヨンに希望を与えることで、原作より前に進める女性を描いています。主演のチョン・ユミの自然な演技はよかったですが、ジヨンの周りの人がみんなやさしく描かれていて大きな葛藤を誘発する人物がいないので、ジヨンが憑依に至るまでの心境がわかりにくいところがあります。また、さまざまな問題だけを提示して去るような登場人物が多かったのは少し物足りない感じがします。それらの数々のエピソードは原作を読んでから映画を見ると理解しやすいと思います。


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