見出し画像

神姫の洗浄と脱臭作業

ⅩⅩⅡ.神姫の洗浄と脱臭作業
久方ぶりの武装神姫の補修記事、後編は「武装神姫を洗浄し、脱臭すること」になります。
現在、KOTOBUKIYA様からプラキットとして武装神姫の新製品は発売されており、市場にも出回っています。
しかしながらその種類は豊富とは言い難く、アーケードゲームから武装神姫を知った方々には物足りない、あるいは自分の好きな神姫がいない、というのが現状です。
そのため、好きな神姫を買おうと思ったら、結局は中古市場に出回る旧MMS武装神姫を買い求めるしか方法はありません。

そうすると、次の問題が出てきます。
即ち、「汚れや臭いのついたフィギュアをどう処理したらよいか分からない」という問題です。

勿論、購入時にそうした諸注意は確認していると思いますが、汚れや臭いはないに越したことはありません。
そのため、洗浄や脱臭処理が必要になってくるのですね。
実際、ぼくの主催する武装神姫Discordにおいても、洗浄や脱臭の方法を求める声は度々ありました。

今回の記事はサーバーの参加者であるmeteor841氏にご協力頂いて作成しています。
氏は学生時代に極限閉鎖環境における生活の研究をされてたこともあるそうで、その際の知識と経験を貸して頂きました。

・洗浄処理
さて、まずは汚れを落とす洗浄作業についてです。
これは以前、軟質素材から染み出る可塑剤を落とす方法としてご紹介していますが、少し振り返ってみたいと思います。

手順としては以下の通りです。
・神姫をパーツごとに分解する(必要ならば)。
・細かいパーツをお茶パックのような目の細かいネットの中に入れる(必要ならば)。
・洗剤をぬるま湯に溶いて、漬け置きする。
・流水で洗い流す。

少し細かく見ていきましょう。
まずは分解です。
消臭目的の場合、細かいパーツの隙間や内部にも臭いの原因が付着している場合があります(煙草のヤニなどですね)。
そのため、出来ればパーツを分解して、洗剤や流水に晒してあげる必要があります。
その際、ネジを外しておくのはネジの錆を予防する観点からも大切な処置なので、出来たら分解しておくといいでしょう。
胴体部や脚部分解はプラスの精密ドライバがあればできると思いますが、ネジが既に錆びていたりネジ頭が舐めたりしていることもあると思います。
その場合はネジの交換も一緒にしてあげるといいでしょう。
(ネジ交換についてはこちらに詳しくまとめていますので割愛します)

さて、分解ができるとパーツは相当細かくなります。
これをそのまま流水に晒すと、誤って排水溝に流されてしまったり、紛失したりする原因になります。
そのため、お茶パックやネットのような目の細かい袋状の網に入れてやるといいでしょう。

また、MMS素体に使われているネジは部位ごとにほんのわずかに長さが異なります。
そのため、胸や太腿に長いネジを使ってしまうと、貫通したり白化の原因になったりします。
取り違えないように部位ごとに100均のチャック付きバッグに入れるか、あるいはネジを締め直す際にちょっと慎重に締めてあげるといいでしょう。
(基本的には、貫通や白化が起きないならばネジを取り違えても問題はありません)

次は洗剤です。
これはちょっと選ぶコツがあります。

まず洗剤は無香料のものを選ぶことです。
一番いいのは「界面活性剤」と「ph調整剤」以外は一切入っていない物です。

というのも、香り成分は洗浄には必要のない余計なものです。
神姫を構成しているABSは薬剤耐性が弱いので、なるべくなら香り成分はない物の方がいいです。

もしどうしても無香料の洗剤がないのであれば、最低限成分表にリモネン(レモンなどの柑橘系の香り成分)が入っていないことを確認してください。
リモネンは塗装に悪影響を与え、塗膜を溶かす恐れがあります。

洗剤が用意出来たら、温めのお風呂程度のぬるま湯に洗剤を合わせます。
ぼくも分量は適当ですが、食器を洗う程度の感覚で使っています。
これを三十分から一時間程度漬け置き、流水に晒すかお湯を取り換えつつ洗剤を流します。

この時も出来たら桶に取るなどして、パーツを直接流水に当てない方が流されてロストする悲劇を防げます。
ネットに入れている場合はネットごと水に晒してください。

洗剤を流し終えたら、よく水気をふき取ります。
この時点で組み立てる場合には、拭き取り後に十五分程度自然乾燥の時間をとると、より良いと思います。
水気が残っていると、錆の原因になりますので。

また、この後脱臭処理も行うのであれば、パーツはまだ組み立てずにバラしておいた方が都合が良いです(理由は後述)。

・脱臭処理
さて、いよいよ脱臭処理です。
手順としては以下の通りです。
・大きめのポリ袋の中に分解した神姫のパーツと脱臭剤を入れる。
・数日おき、脱臭剤が変色したり体積が減ってきたら脱臭剤を取り換える。
・臭いがなくなるまで、延々交換を繰り返す。

作業自体は非常に単純ですが、幾つか注意点もあります。
順に見ていきましょう。

まずは袋に脱臭対象のパーツを入れます。
ゴミ袋のようにある程度大きさのある物の方が良いですし、外気とは遮断されている方が良いので、45Lのごみ袋を二重にして使いといいでしょう。

その際のパーツですが、なるべく空気と接する面積が大きい方が良いです。
その方がパーツについている臭い成分が空気中に移動し、脱臭剤がそれを集めやすくなりますので。
分解状態の方が都合が良いというのはそのためですね。

また、ここでも分解されたパーツは紛失しやすいので、洗濯ネットのようなものに入れたり、ふたを開けたタッパーの中にすべてのパーツを並べておいたりという工夫があるといいでしょう。
加えて、パーツの下にも空気が循環する方が効果が出ますので、タッパーに直接並べるよりはスポンジやスノコ状の下敷きがあるとより高い効果が見込めます。

そして肝心の脱臭剤です。
ここでも香料を含まない無香料型のものを選んでください。
容器も、何度か袋を開けて交換することになりますので、倒れて脱臭剤がこぼれないような容器のものがより良いでしょう。
前述のとおり、薬剤耐性の弱いABSには、余計な化学成分を触れさせないことが重要です。
当然ですが、脱臭対象のパーツと脱臭剤が直接触れるのは厳禁です。

脱臭剤の大きさは、一般的なトイレ用脱臭剤の倍以上の容量を確保してください。
以上の条件が満たされている製品であれば100均のものでも大丈夫です。

外箱やブリスターも臭うようであれば、箱を開けて、ブリスターもばらばらにして一緒に袋の中に入れてください。
この時も、なるべく空気に触れる面積を多くするよう心がけましょう。

そして、最初は45Lのゴミ袋に"特大 630g"の脱臭剤を2つ入れる、というのを目安に準備するといいでしょう。

準備ができたら、袋の口を閉じて直射日光の当たらないところに置き、一週間程度おきます。
もし一週間を待たずに脱臭剤が変色して体積が半分ほどになったら次々に交換し、必要なら追加もしてください。

脱臭作業は対象パーツの臭いの程度にもよりますが、購入時に煙草のヤニでベタベタだった神姫も、2~4か月繰り返すことで無臭状態まで解消できるそうです。
どうしても脱臭作業は時間がかかりますので、そこだけは覚悟が必要でしょう。

いかがでしたでしょうか。
もし臭いの原因が煙草のヤニなど、特定できる場合は薬品で処理することで短時間で快復できるかもしれません。
ただし、繰り返しになりますがABSパーツは薬品耐性が弱いので、この記事で学習している初心者の方にはお勧めできません。
そのため、どうしても時間がかかることを覚悟して頂くことになります。

しかし、この処置をすることで、皆様のお手元の神姫との関係がより良いものになることを願って筆を置きたいと思います。
この記事を読んでくださった方が良き神姫ライフを送れますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?