美プラのレビュー その3

美プラのレビュー その3
アルカナディア

美プラの簡易レビュー第3回はKOTOBUKIYAのアルカナディアを扱います。
例によって、『美プラに興味はあるけど、何を買ったらいいか分からない』という方の手がかりになれば、という目的になります。
特にキットの魅力を伝える、と言うよりは、どんな遊び方に向いているか、ということに焦点を絞っていますので、このレビューを読んでもっとキットの魅力を知りたい!となった方は他のレビューを探してみることをお勧めします。

さて、それではまずは基本のデータと評価項目の簡易レビューから参ります。

ブランド名
アルカナディア
(評価試験用にルミティアを使用)

メーカー
KOTOBUKIYA

入手性(買いやすさ)
○⁻

拡張性(組み換えしやすさ)
○⁻

布服(布服着用のしやすさ)

小物(社外製品の小物との組み合わせやすさ)

特にファンタジー系の小物との親和性は高い。

価格(手に取りやすい価格帯か)
○⁻
7000円台から購入出来るが、大型のキットは10000円程度で、高価な部類。

組立てやすさ
○⁺
メガミデバイスやFAガールと同程度。

体形
L or 特殊
メガミデバイスよりもだいぶ大きい、FAガールよりも上。
馬型下半身のような、非人間型のキットもあり、今後もラインナップが増える予定。

可動

前後屈も対応していて、膝も二重関節。
とてもよく動く部類。

各部軸径

それでは、詳細に見ていきましょう。
アルカナディアは異世界ファンタジーをテーマにした美プラのブランドで、シリーズとして翼や角、獣耳などの付属品にとても力が入っている他、ケンタウルスのような非人間型の大型下半身を有するキットも発売され、今後の開発ラインナップにはラミアのような蛇型下半身も予定されています。
この辺りの挑戦的なラインナップは美プラ戦国時代と言われる昨今においても唯一無二であると言えます。
また、付属する武器類も剣や槍、あるいは杖のようなファンタジー色が強く、スタンドベースにも魔法陣のようなデザインが取り入れられているなど、細部においても徹底されています。

入手性においても、中古市場まで見れば悪いものではありませんし、再販もそれなりにある印象です。
といっても、どうしてもこのキットが欲しい!と言う場合にはやはり予約や発売日に買いに行く程度のことをしておく必要はあるかもしれません。

構造としてはKOTOBUKIYAが展開している他の美プラブランド、FAガールやメガミデバイスの構造が基礎にあるという感じで、共通規格であるマシニーカ規格こそ不採用ですが、その流れはしっかり汲んでいるという印象です。
そのため、組みにくさはあまり感じませんでしたし、マシニーカ規格の美プラを組んだことのある方なら抵抗なく組むことが出来ると思います。

体形的には身長が高く、恵体で手足も太ましい傾向にあります。

素体は装飾の入った衣装まで込みの構造で、フラットな素体にすることは難しいでしょう。
そのため、布服の着用には不向きなキットであると言えます。
専用の素体を別に用意するような工夫は必要だと思いますが、アルカナディアはかなり頭身の高いブランドなので、素材ちゃんのような布服専用素体を作るにしても、頭身は小さくなってしまうと思います。

手首は軟質(PVC)なので、他シリーズやリーメントなどの小物を持たせるにも相性が良いと言えます。
その一方でファンタジー色の強いブランドなので、メーカーであるKOTOBUKIYAから発売しているMSGなどの機械系のパーツとは相性が良いとは言えません。
エクスアーマーなどの中世的な外装パーツや、スカルマサカーやサムライソード、ナイトマスターソードと言ったファンタジー的なパーツを選ぶ必要があり、拡張性が高いとは言えません。
加えて、シリーズ内でのパーツの組み換えや拡張がやりやすいキットではないので、単体としての完成度を追求するカスタムやブンドド遊びに向いていると言えます。
例外として、耳パーツの規格はシリーズ内で共通なので、馬耳しか付属していないエレーナに、他のキットの人耳をつけるなどのカスタムは可能です。

総評としては、大変真面目にファンタジー世界の幻想的な生き物を美プラで表現しようとしているブランドです。
生物的なディティールのパーツほとんどですが、各パーツもよく練り込まれて作られていますし、ケンタウロス娘であるエレーナに人耳パーツが同梱していないなど、ブランドとしても大分解像度が高めです。
その一方で、他キットの人耳を流用可能にしてある仕様は、大変すばらしい配慮だなぁ、と感心しました。
また、ハンドパーツにも細かいディティールが入っているキットもあり、そういう趣の好きな方には大変よく刺さるブランドであると言えます。

一方で、拡張性はさほど高くありません。
頭部交換用の首ジョイントこそキットに同梱されており、FAガール対応の5mmボールとメガミデバイス対応の6mmボールジョイントはありますが、その他の各部はほとんど加工が必要で、そのまま流用するのは難しいと言えますし、恵体で体格が良いプロポーションなので、ジョイント径は同じでも手足の外径やプロポーションを整えるのは難しいと言えます。

ただ、ケンタウロス娘やラミア娘などの非人型の美プラを追随して販売する程に野心的なブランドは、今後も恐らく現れないでしょう。
そういう意味では大変にお勧めできる、と言うより唯一無二のブランドですので、そうした趣を好む方は是非手に取ってみて頂きたいブランドです。

いかがでしたでしょうか。
個人的にはルミティアとエレーナを組んでみて、こういうコンセプトの作り込み方は好感が持てる、と思ったブランドでした。
ブランドの方針を活かすのであればファンタジー系の小物や武装と会褪せるのが鉄板だと思いますが、ケンタウロス娘のエレーナに敢えてガトリングのような大型機械装備を積むというのも、浪漫があって大変よろしいのではないかと思います。

今回の解説は若干ぼく個人の思想強めでしたが、遊び方から選ぶ美プラ、という方針で、一か月ばかり続けていく予定ですので、ご興味おありの方は引き続きよろしくお願いいたします。



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