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アイリペイントの方法

Ⅸ,アイリペイント
今回はアイペイントを一から新しく描き直す方法(アイリペイント)です。
これは元々のアイペイントに頼らず、自由にアイペイントを描く方法なので、技術的な難易度は今までの加工より高いです。
もっとも、基本的な技術はアイカラーの変更の項で触れているので、その応用は各位で出来ると思います。
よって今回は、瞳部分にグラデーションをかける方法を解説したいと思います。

必要な道具
・筆
・塗料
・パレット
・筆洗
・トップコート
・綿棒
・薄め液

あると便利なもの
・ドットペン
・爪楊枝
・デザインナイフ
・猫の手(持ち手)
・猫の手スタンド
・ひっつき虫、両面テープ

基本的にはアイカラーの変更に使ったものと同じです。
今回もランサメントのフェイスを見本に作業していきます。
フェイスパーツが小さくて作業しづらい時などはひっつき虫などで持ち手を付けてやると、多少作業がしやすくなります。

手順
1,元のアイペイントを落とす。

綿棒に薄め液をつけて、軽くこすってアイペイントを落とします。
元のアイペイント部分には若干の造形が残りますので、もし気になるようでしたら紙やすり等で段差をならしてやるといいと思います。
特に、元のアイプリントと大きさが違うものを描きたい場合、そうした処理をした方が自然な仕上がりになります。

2,下書き
フェイスパーツにいきなり描き始めるのは失敗の元ですが、濃い色で下書きをすると、淡い色などを使う場合はそれがはっきりと残ってしまうので、パーツの色に近い色を薄めて使ってやると良いでしょう。
今回使うのはブロンズイエロー(黄土色)です。

色が薄い方が後々に線が目立たないようになりますが、水分量が多すぎると乾きにくく、線も滲んで細い線を書くのが難しくなります。
写真の線は水分が多すぎなので、線の外側に絵の具が残って中心部分には残っていません。
実際に線を書く前に、筆先をティッシュに軽くちょんちょんとつけて、余計な水分を取ってから描いてやるといいでしょう。
また、実際に線を書く前に何か別の物に描いてみて水分量が適切かどうか見てみるというのも手です。
慣れた方は大体の場合、左手親指の爪に試し書きの線を引かれます。

絵の具の濃度は、線を一回書いて色がしっかり残るくらいだと濃すぎです。
何度か重ねて線を描いて、重なった部分が残る、くらいの濃度で描きます。

大まかな位置が決まったら、輪郭線の部分だけ少し濃い色を使って色を乗せてやります。
今回使ったのはバーントシェンナ(茶色)です。
これも薄めに、何度か線を重ねて書いています。

3,白目の部分に色を乗せる。
まずは最も薄い色である白を乗せていきます。
瞳の部分にも色を乗せてしまっても構いませんが、下書きが薄い色だと見えにくくなってしまうので注意です。
今回は下書きを薄くしてあるので白目の部分のみ乗せています。

今回はちゃんと水で溶いてから塗っています。
濃度が濃すぎてベタ塗りになっていると、塗料の厚みででこぼこになってしまいますし、ナイフや爪楊枝で削るときも塊で剥がれ落ちてしまい、落としたくない部分の塗料まで落ちてしまうようになります。
色を乗せた時に水玉ができてしまうようでは筆に水分が多すぎる状態ですので、適宜ティッシュ等で筆の水分を取りながら進めましょう。

4,瞳部分に色を乗せる。
瞳部分に色を乗せるときも、前回触れたように薄い色から順に載せていくのが基本になります。
グラデーションをかける場合は、薄い色の線を何度も重ねて色の変化を作ることになりますので、最初は下地作りくらいの気持ちで塗ってやりましょう。

4~5回に分けて色を乗せていくと、こういうグラデーションが作れます。
始めのうちは上の方まで色を乗せ、徐々に下側だけ重ねていくと自然なグラデーションになります。
また、完全に乾く前に色を乗せようとすると、絵の具を含んだ水分を筆が吸い取ってしまって、きれいに色が乗らないことがあります。
時間をかけ、しっかり乾いてから次の筆を乗せるようにしましょう。

次に、黄緑に青をわずかずつ足して、濃い緑を作って乗せていきます。
模様の線も、少しずつはっきりさせていきます。

概ねのイメージはこの段階で決まって来たかと思います。
瞳の色はもう何回か加筆していますが、この辺りは行ったり来たりしながら進むので、明確に手順を分ける意味はあまりありません。
気に入るまで直しながら進めていきます。

5,アイラインや眉を描き加える。
バーントシェンナに黒を足し、元々の眉の色に近い色を混色して目の輪郭線をはっきりさせていきます。
下書きにはみ出した線もここで整えることができます。
ついでに白目にはみ出した線なども自然な感じになるように手を加えていきます。

眉と同じ色で眉頭を少し延長し、眉と瞳の間にも少しだけ筆を加えます。
まだ麿眉のようになっているので、デザインナイフで線を細くしていきます。

大分麿眉から遠ざかりました。
眉も釣り気味だったのがマイルドな印象に。
ハイライトを打つときは若干塗料を濃い目にしています。
ハイライトを何度もズレずに打つのは大変なので、ここは一度で済むようにします。

6,仕上げ
最後に瞳の大きさを少しだけ調整。
内側の白目を描き加えています。
ここでもハイライトと同じように少し濃い目の白で、何度も塗り重ねないで済むようにしています。

7,完成
髪パーツと併せて、完成形を確認します。
実際には作業中にも何度も髪パーツを合わせ、バランスを確認しながら進めています。

実作業時間は片目で2時間くらいでしょうか。
両目を一度にやると、確実に一日作業になります。
最後はトップコートを吹いて作業終了です。

前回のアイカラーの変更から比べると、随分と時間を使います。
これはグラデーション塗装の技法を使っているからで、アイカラーの変更同様に濃い目の塗料で描いていく場合はもっと短時間でできると思います。
描きたい表情に合わせてどちらの技法を使うかを選んでやるといいと思います。

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