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続 笠置シヅ子は釧路に来ていた

1.1952年にも来ていた?

 1953年に笠置シヅ子が服部良一、淡谷のり子、渡辺はま子らと釧路公演に来ていたことを明らかにしたが、その前年にも来ていた可能性があることが分かった。札幌市図書・情報館で道新の過去記事を調べていたところ、1952年4月14日付の紙面に「芸能人続々と来演 絢爛豪華な春の訪れ」という見出しを見つけた。「雪に埋もれた半年の間にも、モンブラン氏、ジョワ女史の演奏会や人気絶頂のスウィング歌手江利チエミの公演など芸能人の来道は断続的に行われてきたが、春の訪れとともにこれが活発になり、いま予定されているものだけでも百数十名の多数にのぼっている」と始まり、「六月には笠置シズ子と堺駿二の一行、小畑実とその楽団と相変わらずの公演が続く」と報じている。
 

2.札幌では

 1952年6月の道新札幌版を追うと、笠置シヅ子の札幌公演の広告がすぐに見つかった。20日付の広告に「矢つぎ早やの豪華実演 早くも全市に話題沸騰! ウキウキワクワクブギの女王! 笠置シズ子公演 一行34名空前の熱演! 22日から3日間! 猛獣使いの少女同時 前売百円 大映劇場」とある。21日付、22日付、23日付、24日付にも同公演の広告が載っている。10時30分、12時30分、15時50分、19時10分の1日4回公演であった。
 1日4回公演はハードだが、いったい何分歌ったのか。同時上演した映画『猛獣使いの少女』は96分の上映時間だった。10時30分のつぎが12時30分なので、ひとつの公演は最大120分である。客の入れ替えの時間を考えないとしても、笠置シヅ子の持ち時間は24分である。数曲歌っておしまいという公演だったのだろう。

北海道新聞札幌版1952年6月20日付


3.釧路では

 札幌公演の前後に釧路でも公演した可能性がある。釧路市中央図書館に6月の道新釧路版を調べてもらえないかと依頼したところ、8日付と19日付に広告が載っていると返事をもらった。
 8日付の広告には「ブギの女王 笠置シヅ子来る 久々の豪華実演19日一日限り(昼夜二回) 本日前売開始!! 当日三百五十円のところ昼間前売二百三十円 夜間前売二百八十円 市内有名諸店にあり 前売券御利用下さい 釧路劇場」とある。
 「久々」と言っているからには、以前にも笠置シヅ子が釧路に来ていたことになる。「何年ぶり」と書いていないのは残念だが、はじめての来釧ではないことは確認できた。

北海道新聞釧路版1952年6月8日付

 19日付の広告には、大きく「笠置シヅ子 愈々明19日大公演」とあるほか、「唄って踊って!!踊って唄う 爆発するブギ百万弗の殿堂 服部リズムシスターズ 映画でお馴染の山本照子 山本和子 小川静子 司会復話術名和太郎 唄う西村正美」「益田隆舞踊団 江藤薫 都美子 花岡弓 南洋子 羽金葵 吉田甫」など共演者の名も載っている。昼の部は12時、夜の部は14時開場だった。

北海道新聞釧路版1952年6月19日付
釧路劇場 『くしろ写真帳』(北海道新聞社、2020年)より

 『十條製紙釧路工場 三十年のあゆみ』によれば、1952年に十條製紙の娯楽場に笠置シヅ子が来演したという。日付は不明だが、19日の釧路劇場公演の前後に十條製紙にも行ったのだろう。

 現在のところ、1952年の笠置シヅ子の動きは、6月19日に釧路、22日から24日に札幌で公演したとしか分からない。道立図書館のマイクロフィルムは2024年11月30日まで利用制限されている。解除され次第、旭川版や函館版なども調べてみたい。

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