みなみしま

横浜美術館/東京芸大修了/これぽーと主宰/旅する批評誌「ロカスト」編集部/美術手帖、文…

みなみしま

横浜美術館/東京芸大修了/これぽーと主宰/旅する批評誌「ロカスト」編集部/美術手帖、文春オンラインなど寄稿。

マガジン

  • 800

    校閲に主眼をおいた展覧会レビュー集

記事一覧

自分で企画すること①これぽーと

2020年からスタートしたのが、全国の美術館の常設展・コレクション展に訪れてレビューする「これぽーと」というメディアです。執筆者をツイッターで募り、これまでに120本…

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いつかの日記

スーパーで真鯛が600円で売っていたので、買って帰る。アルミホイルの油をしいて、焼いて食べる。ほうれん草とベーコンの炒め物に目玉焼きを載せた副菜もおいしい。食後は…

みなみしま
4週間前
2

憂鬱なあなたへ 第1回 モランディの虚像

モランディの絵を見ていると、何か喪われているという感覚を覚える。不思議なことだ。そこに描かれているものよりも、そこに描かれていないものが目に入ってくる。ただ、そ…

みなみしま
1か月前
10

みなさんの雪の日の思い出

はじめまして。おいしい午乳(ごにゅう)と申します。いつもみなみしまさんの活動を陰ながら応援させて頂いております。私の雪の日の思い出なのですが、小6の頃くらいのこと…

みなみしま
2か月前
5

水玉の坊と道の出会い

水玉の坊が歩いていると、舗装されていない道に出会った。 彼は、「姉妹がいる」とだけ言って、去ってしまった。ひとり残された水玉の坊は、履いていたサンダルにぽつりぽ…

みなみしま
3か月前
3

24時間アートラジオについて

12月29日正午から30日正午まで、みなみしまのツイッターのスペース上で開催される「24時間アートラジオ」の公式サイトです。(随時更新) まずは、当日は以下よりラジオを…

みなみしま
4か月前
2

豊島美術館と心臓音のアーカイブ2016

ようやく山を越え、下りの中腹まで来たところで、視界が開けた。海まではるか遠く見渡せる場所に豊島美術館は立っているとは到底言い難い。それは緑爽やかな地面に埋まって…

みなみしま
5か月前
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日記:11月18日

恵比寿でナディッフを物色。布施くんの『涙のカタログ』を立ち読み。そうか、これはカタログだったのか(「カタログ」とは何たるかはあとがきで言及されている)。お茶する…

みなみしま
5か月前

20231027

Kindle unlimitedで科学書と地政学の新書を読む。ぼくには電子書籍の方が読むのが捗るタイプの本があって、科学系と政治系はそれにあてはまる。文章ではなく、情報を入手す…

みなみしま
6か月前
3

日記20231009

午前は毛布に包まり過ぎる。肌寒い。お昼は食べずに新宿の紀伊国屋へ。今野真二『「鬱屈」の時代を読む』、「新潮」最新号を買う。新潮は宮﨑 裕助さんの東浩紀論(『存在…

みなみしま
6か月前
3

20231005

眠いが起きる。「卒論指導」の連絡は来ていない。最近、ツイッターでの反応がなんとなく薄い気がするけど、個人的な発信の問題かもしれない。出勤。退勤。これぽーとの編…

みなみしま
7か月前
3

中谷優希「ふわふわの毛をむしる」展レビュー完成/完成までのプロセス公開

タイトル:交差する身体たちに手をのばして 執筆者:pegさん  絵画のまえで私は目だけになる。画家が立っていた場所にいて、彼らの視線を追体験するように目に意識を集中…

みなみしま
9か月前
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夏休みをとる

なんとなくツイッターを眺めていたら、知り合いも関わっている前衛写真の展覧会が新潟市美術館に巡回していて、まだ見れていなかったので、交通費などを調べ始めた。そした…

みなみしま
9か月前
8

自由に書いてみた。あと書籍化の呼び掛けです。

最近は〆切に追われたり、追い越されてたりしている文章の内容を考えるばかりで、煮詰まってきたので、なんの目的もなく書いてみたい。 ツイッターが鳥からXになった…

みなみしま
9か月前
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新企画800―原稿と編集「さばかれえぬ私へ」展のレビュー

今回は第一弾として、レビューへの最初の編集を終えた原稿を公開します。以下のリンクよりご覧ください。 つづく。 文責:みなみしま

みなみしま
9か月前
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日記抄2023

6月30日 仕事。帰りにジャケットを新調。回転寿司で鮪の10貫盛り食べる。次号のアートコレクターズのレビュー初稿、編集者よりコメント返ってくる。漫画美術史シリーズ、南…

みなみしま
10か月前
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自分で企画すること①これぽーと

自分で企画すること①これぽーと

2020年からスタートしたのが、全国の美術館の常設展・コレクション展に訪れてレビューする「これぽーと」というメディアです。執筆者をツイッターで募り、これまでに120本以上のレビューが掲載されています。日本では、美術館もメディアも企画展を中心にまわる構造があるなかで、本来、美術館の中核にあるはずのコレクションの収集と保存、研究を踏まえた、それらの成果としての常設展やコレクション展にフォーカスしようと

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いつかの日記

スーパーで真鯛が600円で売っていたので、買って帰る。アルミホイルの油をしいて、焼いて食べる。ほうれん草とベーコンの炒め物に目玉焼きを載せた副菜もおいしい。食後は、ベッドに横になると眠くなってしまうので、足踏みをしながら、体を起こす。デスクのうえの郵便物をかき分けて、スペースを作り、パソコンをおいて、デスクトップに接続する。ツイッターのタイムラインでの告知が錯綜しているので、整理する。昨日買ってき

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憂鬱なあなたへ 第1回 モランディの虚像

憂鬱なあなたへ 第1回 モランディの虚像

モランディの絵を見ていると、何か喪われているという感覚を覚える。不思議なことだ。そこに描かれているものよりも、そこに描かれていないものが目に入ってくる。ただ、それは無とは似て非なるものである。何かが喪われているという感覚は、何かで満ちていることの裏返しでもあるからだ。つまり見えないものが詰まっていることの発見が、喪失感によって明らかとなる。この充填の感覚は、彫刻史の伝統から引き出されてくるものだ。

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みなさんの雪の日の思い出

みなさんの雪の日の思い出

はじめまして。おいしい午乳(ごにゅう)と申します。いつもみなみしまさんの活動を陰ながら応援させて頂いております。私の雪の日の思い出なのですが、小6の頃くらいのことだったように思うのですが、お正月の三ヶ日に近所の氏神様にお詣りに行ったら、沢山のおみくじが結ばれた寒椿の根元のところに、何故か蝉の死骸が転がっていたという出来事がありました。雪の白さと、椿の紅、そこに添えられた灰色の蝉の死骸。なんとも言え

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水玉の坊と道の出会い

水玉の坊と道の出会い

水玉の坊が歩いていると、舗装されていない道に出会った。

彼は、「姉妹がいる」とだけ言って、去ってしまった。ひとり残された水玉の坊は、履いていたサンダルにぽつりぽつりと落ちては跳ねる、泥水をじっと見つめていた。どこから降ってきたものだろう。傘をさしていないから、雨が降っていたとしたら、その雨の雫に違いない。

雨は降っていない。さっきまであったあの道は、すっかり乾ききった黄色い大地に変わっていた。

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24時間アートラジオについて

24時間アートラジオについて

12月29日正午から30日正午まで、みなみしまのツイッターのスペース上で開催される「24時間アートラジオ」の公式サイトです。(随時更新)

まずは、当日は以下よりラジオをお聞きください。通知登録をすると、開始とともに通知されるのでは、分かりやすいです。

https://twitter.com/i/spaces/1eaKbgonAmjGX?s=20

次は番組表です。

★リスナーの皆様の声を募集

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豊島美術館と心臓音のアーカイブ2016

豊島美術館と心臓音のアーカイブ2016

ようやく山を越え、下りの中腹まで来たところで、視界が開けた。海まではるか遠く見渡せる場所に豊島美術館は立っているとは到底言い難い。それは緑爽やかな地面に埋まっている。エントランスからは風の通る林の中に慎ましい豪族らの古墳のような、乳白色の流線体が見えるだけである。この豊島美術館も横尾館と同様に一般に建築と呼ばれる類のものではないだろう。モダニズム建築とも強烈な個性を持つ作家による芸術作品とも異なる

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日記:11月18日

恵比寿でナディッフを物色。布施くんの『涙のカタログ』を立ち読み。そうか、これはカタログだったのか(「カタログ」とは何たるかはあとがきで言及されている)。お茶する方いたら、とツイートしたら、多摩美の森川さんが来るとのこと。六本木で南谷理加「黙劇」展を見てから、合流。星乃珈琲店で2時間ほど話す。今年は美学校にも通っているらしい。ちょうどぼくも12月に美学校のゲスト講師をする予定だったので、昨今の美術批

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20231027

20231027

Kindle unlimitedで科学書と地政学の新書を読む。ぼくには電子書籍の方が読むのが捗るタイプの本があって、科学系と政治系はそれにあてはまる。文章ではなく、情報を入手することに特化して読んでいるからだと思う。文体やレトリックを読むのに、電子書籍は向いていない。そこにあるのは、どこまでいっても「情報」としか言いようのないテキストだからだ。もちろん、優良な科学書にも政治思想の本にも、情報以上の

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日記20231009

日記20231009

午前は毛布に包まり過ぎる。肌寒い。お昼は食べずに新宿の紀伊国屋へ。今野真二『「鬱屈」の時代を読む』、「新潮」最新号を買う。新潮は宮﨑 裕助さんの東浩紀論(『存在論的、郵便的』、『訂正可能性の哲学』)を読む。恵比寿に移動。アトレのつばめグリルが空いていたので、久しぶりにハンブルグハンバーグを食べる。その後、東京都写真美術館で「風景論以後」とコレクション展を見る。風景映画、特に「略称・連続射殺魔」がよ

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20231005

20231005

眠いが起きる。「卒論指導」の連絡は来ていない。最近、ツイッターでの反応がなんとなく薄い気がするけど、個人的な発信の問題かもしれない。出勤。退勤。これぽーとの編集を進める。ほか原稿類は編集者の返信待ちなので、一瞬の〆切ありの宿題はない状態。「アート・ジャーナリズムの夜」の書籍化が遅れに遅れているので、ちまちまと原稿を進める。ほかインプットと新しい企画を考えたい。来年は美術館の紀要に書くことが見えて

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中谷優希「ふわふわの毛をむしる」展レビュー完成/完成までのプロセス公開

中谷優希「ふわふわの毛をむしる」展レビュー完成/完成までのプロセス公開

タイトル:交差する身体たちに手をのばして
執筆者:pegさん

 絵画のまえで私は目だけになる。画家が立っていた場所にいて、彼らの視線を追体験するように目に意識を集中させていると、私は身体のことをすっかり忘れてしまうのだ。
 中谷優希の個展「ふわふわの毛をむしる」を見た。大きく開いたガラス戸からは気持ちのいい風が吹き込み、併設のカフェからはコーヒーのいい匂いが漂ってくる。床に敷かれたゴザの上にはク

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夏休みをとる

夏休みをとる

なんとなくツイッターを眺めていたら、知り合いも関わっている前衛写真の展覧会が新潟市美術館に巡回していて、まだ見れていなかったので、交通費などを調べ始めた。そしたら、東京からだと1万円ほどで行けることが少し意外で、さくっと夏休みをとって行ってみることにした。

新潟といえば、海というイメージがある。小学生の頃は、祖母の実家が新潟にあったから、お墓参りのついでに柏崎あたりで海水浴をするのが夏休みの旅行

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自由に書いてみた。あと書籍化の呼び掛けです。

自由に書いてみた。あと書籍化の呼び掛けです。

最近は〆切に追われたり、追い越されてたりしている文章の内容を考えるばかりで、煮詰まってきたので、なんの目的もなく書いてみたい。



ツイッターが鳥からXになった。どうでもいいと思った。なぜなら、自分がツイッターであって、ツイッターはツイッターではないから。ツイートしようとして、ものすごく理解されなさそうだったので、やめる。昔、ある批評家が、インターネットがデータベースではないのです。データベー

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新企画800―原稿と編集「さばかれえぬ私へ」展のレビュー

新企画800―原稿と編集「さばかれえぬ私へ」展のレビュー

今回は第一弾として、レビューへの最初の編集を終えた原稿を公開します。以下のリンクよりご覧ください。

つづく。
文責:みなみしま

日記抄2023

日記抄2023

6月30日
仕事。帰りにジャケットを新調。回転寿司で鮪の10貫盛り食べる。次号のアートコレクターズのレビュー初稿、編集者よりコメント返ってくる。漫画美術史シリーズ、南方熊楠をブックオフで買い、読了。

7月1日
朝イチで洗濯物。ホットサンドを作る。午後は下北沢で古着物色、カラフルなシャツ購入。紀伊国屋書店で成相さんの新刊など購入。ワタリウム地下でのKOURYOU個展トーク配信される。ハロービーでの

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