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【読書の思い出】天使の卵ーエンジェルスエッグ

「天使の卵ーエンジェルスエッグ」村山由佳

私が日常的に本を読むようになったきっかけはこのあたりかなと思っている。
中学3年だったか、2年だったか…
何がきっかけだったか忘れたが、
「ソフィーの世界」が読みたい、それを大学生の兄が持っているということで、
実家から離れて生活する兄に送ってくれと頼んだところ、
「オススメ」と称して、この「天使の卵」も同封されていた。

肝心の「ソフィーの世界」は最後まで読むことができなかったが、
こちらの「天使の卵」は最後まで一気に読んで、
最後は号泣した覚えがある。

そして、思ったものだ。

「お兄ちゃん、こんな恋愛小説読むんや…」

私には年の離れた兄が二人いる。
長兄はおっとりしていて、いつも私に優しかったが、
この、本を勧めてくれた次兄は
私にとって、いつも無口で不機嫌で何考えているかわからない、逆らってはいけない人、だった。

その兄が、「天使の卵」を妹に勧めてくれたのだ。
何やら恥ずかしいような想いもしたが、
ずっと遠い存在だった次兄の一面を垣間見たような気がして、
本ってすごいな、とはっきり思ったわけではないが、
何やら感激した覚えがある。

本一冊、感動を共有しただけで、その後感想を述べ合うほど
打ち解けたわけではなかったが、
その後20年以上も私の中に、この「天使の卵」は兄が紹介してくれたもの、
と残っているぐらいのインパクトだった。
気難しい兄は気難しい存在のままだが、
普段、距離を感じているからこそ、
部分、部分でこういう思い出が私の脳裏に焼き付く。

これがきっかけだったのかは分からないが、
私が読書を思うとき、
ここがスタート地点だったように思うのだ。

あれがなくても、もしかしたらいずれ本を読む習慣がついていたかもしれない。
それは分からない。
けれど、その出来事は確かに私の思い出の中に残っている。


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