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南区でアートを楽しもう!~南まちなかアート~

 南区内各所でのアート作品の展示や体験など、身近にアートに触れ南区を楽しむイベント「南まちなかアート」。今回は下京区と合同で、令和5(2023)年3月に初めて南区にて開催しました。
 令和5(2023)年秋、南区のおとなり下京区に京都市立芸術大学が移転します。また、この3月には文化庁の京都移転が、4月には京都市立美術工芸高校(旧京都市立銅駝美術工芸高校)の移転があり、京都での文化・芸術に関するニュースが続きます。南区内でも文化を基軸としたまちづくりが展開されようとしています。
 「南まちなかアート」は気軽にアートが楽しめるイベントとして、区内各所で小学生から大学生、また福祉施設の利用者など多様な方々の作品展示、子ども向けのワークショップなどを行いました。
 令和5(2023)年3月に開催した、「南まちなかアート」の様子をお伝えします。

作品展示

◆芸大生のアートを楽しむ|ワコールスタディホール京都

染織専攻の学生の作品

 ワコールスタディホール京都では、土、漆、繊維などの素材に工芸技法を用いて独自の表現に取り組む5名の学生(京都市立芸術大学 美術学部工芸科)の作品を展示しました。時間帯によっては実際に作品を作った学生の解説を聞くこともでき、訪れた方々は学生と楽しそうにおしゃべりしながらアートに親しんでいました。

展示期間:3月7日(火)~20日(月)
場所:ワコールスタディホール京都

陶磁器専攻の学生の作品
漆工専攻の学生の作品
作品の解説をする学生と鑑賞する方々

◆フォトジェニックな空間とアートを楽しむ|九条湯

九条湯 唐破風の玄関
浴室に展示されたアンブレラアート

 廃業した銭湯をコワーケーションスペースとしてリニューアルした九条湯。唐破風の玄関やタイル張りの浴室など、当時の姿が感じられる素敵なスポットです。ここでは、アンブレラアートの展示が行われました。アンブレラアートは、京都市立塔南高校美術部の生徒や南区内に拠点を置く障がい福祉サービス事業所「若杉(社会福祉法人 京都ライフサポート協会)」、西寺育成苑(社会福祉法人 京都育成の会)の利用者の方々など皆さんが京都市交通局(市バス)の忘れ物傘に自由に絵を描いた作品です。浴室に飾られた作品は天窓からの光を透かしてキラキラと輝いていました。歴史ある建物にゆったりと流れる時間とのびのびとしたアートを楽しめる空間でした。
 
展示期間:3月7日(火)~21日(火)
場所:コワーケーションスペース九条湯

◆自由な表現を楽しむ|地下鉄「十条駅」

地下鉄「十条駅」に並ぶ「UTAU」のメンバーの作品

 地下鉄「十条駅」では、南区内に拠点を置く就労継続支援B型事業所「UTAU(うたう)」の利用者の方の作品が展示されました。「UTAU」はさまざまな病気や、障がいなどを抱えて就労に向き合う人々をサポートし、雇用を創り出すためにオープンしました。この事業所ではアート事業に取り組み、商品企画からデザイン、製造、販売まで一貫して行っています。カラフルな動物や宇宙、空を描いた作品など地下通路にずらりと並んだ10名の利用者が描いた22枚の絵はどれも自由に表現されており、力強さを感じることができました。普段はただ通り過ぎるだけの駅の通路が華やかに彩られ、駅の利用者を楽しませていました。

展示期間:3月7日(火)~26日(日)
場所:地下鉄十条駅

◆新しい視点で南区を楽しむ|地下鉄「九条駅」

南区SNSフォトコンテスト「#みなみなみっけ」応募作品を集めたパネル

 地下鉄「九条駅」では、南区SNSフォトコンテスト「#みなみなみっけ」応募作品が展示されました。令和元(2019)年度からこれまでに開催した南区SNSフォトコンテストに応募された写真を大きなパネルに集めた作品です。たくさんの写真を集めたパネルはまるでパッチワークのタペストリーのような迫力がありました。一枚一枚に撮影者それぞれの見つけた南区の素敵な風景が映っており、じっくり見ていると実際に自分も訪れてみたいと思わせるスポットをたくさん見つけることができました。

展示期間:3月7日(火)~26日(日)
場所:地下鉄九条駅

◆エネルギッシュな作品を楽しむ|上下水道局総合庁舎

上下水道局総合庁舎での展示の様子

 上下水道局総合庁舎では、南区内の小学生・園児による東寺写生会の作品と特別養護老人ホーム「ビバーラ十条」の利用者の方の作品が展示されました。
 東寺写生会の作品は、令和4(2022)年7月23日(土)に東寺境内で開催した「第52回 親と子の写生会と東寺拝観」に参加された約130名の南区内の小学生や園児の皆さんによって描かれたものです。写生会を通じて子どもたちに文化財の大切さを感じてもらうこのイベントは毎年行われていますが、新しくできたこの場所で展示するのは初めてのことでした。どの作品も画面いっぱいに東寺が描かれており、子どもたちが生き生きと東寺を描いた様子が伝わってくるような作品たちでした。

東寺写生会の作品

 特別養護老人ホーム「ビハーラ十条」の作品は、広告チラシを使って東寺・汽車・魚・ワニを表現した大作でした。それぞれのモチーフはよく見ると広告チラシを折って作った「箱」を組み合わせて形作られています。汽車の中にはぎっしりと折りたたまれた「箱」が詰まっています。これらの「箱」は利用者の方が毎日コツコツと作りあげたそうです。

特別養護老人ホーム「ビハーラ十条」利用者さんの作品

展示期間:3月7日(火)~21日(火)
場所:京都市上下水道局総合庁舎1階

子ども向けワークショップ

◆親子でトントンペインティング&トートバッグ作り

ワークショップにて子どもたちが思い思いに描いた作品

 「親子でトントンペインティング&トートバッグ作り」では、美術家の小牧徳満さんを講師にお迎えし、大きな布に子どもたちが絵を描き、その布を使ったトートバッグづくりを行う全2回のワークショップを開催しました。
 第1部「トントンペインティング」では、大きな布の上で子どもたちが思い思いに、絵の具を使って絵を描いていきました。たくさん用意された道具の中から好きな筆と絵の具を選んだ子どもたち。まだ絵が描かれていない場所を見つけて、絵を描いたり絵の具を塗ったり。和気あいあいとした雰囲気の中、楽しそうに筆を握る子どもたちの様子が印象的でした。だんだん布が絵で埋まってくると、絵の具が重なってくる場所も生まれてきます。偶然できたその重なり合いが、その場でしかできない思いがけない合作を生み出していました。
 第2部「トートバッグ作り」では、第1部で描いた大きな布を自分の描いた場所を中心に切り分け、接着剤を使ってトートバックを制作しました。

完成したトートバッグ

開催日時:
第1部「トントンペインティング」 3月11日(土)
第2部「トートバックづくり」   3月19日(日)
場所:
第1部 下殿田ガーデン
第2部 ワコールスタディホール京都

◆アンブレラアート

ペイントを楽しむ親子たち

 3月11日、下殿田ガーデンでは、親子でその場で作るアンブレラアートのワークショップも開催されていました。こちらは、会場に広いブルーシートを敷いて、その上で自由にペイントして自分だけのアンブレラを作るものです。当日は約70名の方が参加し、熱心に自分だけの傘を仕上げておられました。子どもは夢中で傘にペイントし、保護者の方々は、子どもを見守りつつも、さまざまな画材に興味を持って眺めたり、保護者同士で会話を楽しんだり、また完成したアンブレラを持った子ども達の写真を撮るなどしていました。
 
開催日時:「アンブレラアート」 3月11日(土)
場所:下殿田ガーデン

ペイントを楽しむ子どもたち

関連イベント

◆地元企業との交流を楽しむ|みなみのマルシェ

地元企業が出店し、新鮮な野菜やパン、お菓子などを販売

 3月11日(土)子ども向けワークショップ「アンブレラアート」「トントンペインティング」が実施された下殿田ガーデンでは、京都中小企業家同友会南支部による「みなみのマルシェ」が開催され、新鮮な野菜やパン、お菓子、加工食品、ドリンクなどが販売されました。飛び出す絵本のようなポップアップカード作りや木工体験などのブースもあり、来場した親子が楽しんで参加していました。
 
開催日時:3月11日(土)11:00~16:00 
場所:下殿田ガーデン

◆南アートウォーキング

 健康増進を目的に作品展示場所等をスタンプラリー形式で巡るウォーキングイベントが、3月11日に開催されました。ワークショップやマルシェの会場である「下殿田ガーデン」がスタンプラリーの最終地点となっており、参加者101名がスタンプラリーをすべて歩き通し、参加賞を受け取りました。「日頃気になりながらも入ったことがなかった施設にアートの鑑賞をきっかけに初めて入ることができた。」と嬉しそうに語る区民の方々の声が飛び交っていました。

◆小さな演奏会

 都ホテル 京都八条(2月26日、3月19日)、ワコールスタディホール京都(3月19日)にて、京都市立芸術大学音楽学部有志による演奏会が開催されました。演奏された楽曲は誰もが一度は聴いたことがある曲や、楽器の特色が伝わる楽曲ばかりでした。少人数編成の演奏ですが、小さな子どもからご高齢の方までたくさんの方が足を留めて、本格的な演奏を楽しんでいました。

演奏会の様子

アートで人と人がつながる

 今回、南区では初開催となった「南まちなかアート」。作品展示やワークショップだけでなく、スマホを片手にアート展示をまわっていく「まちなかアートデジタルスタンプラリー」や、さまざまな関連イベントと同時開催され、相乗効果で盛り上がっていました。日頃からアートに興味がある方だけでなく、今までアートを身近に感じていなかった方もアートを楽しむきっかけとなったのではないでしょうか。アートには、鑑賞する、創作・展示する、またそれらがコミュニケーションにつながるといった多様な楽しみ方があります。地域の方々が鑑賞者となったり、創作者となったりすることで、アートを通じて人と人がふれあう場が生まれ、地域の活気にもつながっていくことが期待されます。「南まちなかアート」はそのような可能性を感じられるイベントでした。


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