7ORDER新曲「But」
結成5周年記念日となる5月22日、〈第二章〉の始まりは1年2ヶ月ぶりとなる新曲「But (裏)」をリリースして幕を開けた。新体制下ではじめて届けられる曲は、自主レーベル7ORDER RECORDSからのリリースである。記念配信の中で初お披露目されたMVは、しっとりした曲調でコンテンポラリーダンスで表現されていた。
そのわずか二日後の24日、「But(表)」がサプライズリリースされた。
「But(裏)」と同じ歌詞、同じメロディなのに、「But(表)」は一転して明るいバンドバージョンである。MVも、裏の終わりと表の始まりが繋がり、表→裏も繋がっているという凝った演出である。「表裏一体」という言葉がある。「一見すると対立、またはへだたっているように見える事柄が、実際は密接な関係にあること」という意味だが、7ORDERの「But」も、裏表は背中合わせであり、どちらも裏であり表なのだと思う。
作詞は7ORDER。歌詞を見ると、〈第二章〉を迎えた彼らの今の率直な気持ちを作品に残す事にしたことがわかる。半分以上が英語なのは、日本語だと直接的すぎる表現を英詞にぼかして乗せたように思った。諸星くんがブログで言っていたけれど、後で振り返ったとき、「あの時俺たちこんな気持ちだったよな」と明るく振り返るためなんだよね?決して未練がましいわけではない。〈第一章〉を終わらせるためエンドロールツアーを開催した6人は、美勇人くんが脱退して初となる曲に「But」を選んだのだ。
「But(表)」は、歌詞を少し変えている。
「But」といえば思い浮かぶのは、「Love-tune」時代、少年俱楽部という番組のMC内でLove-tuneの紹介を担った諸星くんが途中で放った「だがしかしBUT」。印象に残る名フレーズだったと思う。この曲には何の関係もないけれど、あの時代から、少しの出番でも何とか爪痕を残そうとするギラギラした7人が好きだった。ずっと一緒に同じ夢を見て同じ方向を見て夢を叶え続けていくと信じて疑わなかった。「But」、過去にすがらず、これまでの軌跡を肯定し、でもでもだってと言いながら少しずつ前に進むのだ。人間的なタイトルだと思う。
私は真田くんのファンなので、ダンスパフォーマンスでは常に真田くんを目で追ってしまうのだが、次に見るのは美勇人くんだった。美勇人くんは、どんなにカウント的に間に合わないからといって省略したり、流したり、ダンスにおいてのインチキを絶対にしない人だと思う。どんなにキツかろうが全て完璧に踊り、かつそれを楽しむ。そして自分なりの味を加えてくる。真田くんのパワフルなダンスが好きだが、美勇人くんはどんな風に踊りこなしているんだろうと気になって、振付の正解と美勇人くんなりの遊びの部分を確認してしまうのだ。同じ振付をしても現れる個性。7ORDER七人七様のダンスが好きだった。美勇人くんのダンスを見る機会はこれからもあるだろうけれど、6人と別のステージに移り見比べられなくなった現実が悲しい。
「But」はズバリ、断ち切れない人への決別ソングだった。それでいい。7人で「僕らは一つ」「僕らは家族」と公言してきた彼らにとって一人欠けることは何より重大なことなのだから。心に蓋をしてなかったことにしない選択肢を支持する。リリース記念ツアーも楽しみだ。