音楽と友達

 音楽の話ができる人が今まで1人もいなかった。キラキラした邦ロック勢は怖いし、そもそも田舎の自称進学校に、インディーロックを知ってるやつなんて一人もいない。

高2になって、聞いている音楽と好きな芸人にしか自らのアイデンティティを見いだせなかった私に、高2の終わりには私の好きなバンドのCDを貸す程の仲になった友達ができた。

きっかけはLINEのプロフィールにしてた音楽だったが、勇気を出して4月に声を掛けた。

それから彼女は色んな邦楽のおすすめをこんな私に聞いてくれ、律儀にちゃんとそれを聞いてくれた。こんな地下のバンド勧めていいのかと思ったこともあったが、○○良かったよ、というような話をしてくれるのは、新鮮で、嬉しくて、趣味の話ってこんなに楽しいんだとその時初めて思った。

そして、私の周りには、もう1人、洋楽にそれはそれは詳しい男子がいた。有名なシンガーの曲をどれから聞けばいいか教えてもらったり、時には私がおすすめのオルタナ系バンドを勧めたりした(後日的確すぎる感想が返ってきた)。

そんな3人で1度だけした音楽の話は、自分の知らないことや好きなことを話すドキドキで胸がいっぱいだった。

こんなこと今までなったことがなくて、カルチャー女子やっててよかったと思った。好きなものをたくさん話させてくれて、その分自分の知らない世界の音楽の事も聞けて、世界がキラキラした。

これから受験生になってゆく私たちは、今までのように気楽に話すことは出来ないのかもしれない。でも、こんなに楽しい経験をさせて貰えた高2の思い出を私は忘れないと思う。


もうひとつ。

サブスクは便利な定額配信サービスである。機種変して容量が何倍にも増えた私のiPhoneにはいくらでも曲が入る。本当に便利で最近は音楽を聞く時はサブスクを使っている。

しかし、私はCDを買うのは辞めない。CDにはそれだけの魅力がある。逆に、そんな魅力のないCDは売れなくなってゆくのだと思う。

どんな魅力か。

それは、素敵なデザインのジャケット、惹き込まれる歌詞カード、そして、人に貸すことが出来るということだ。

人に貸すというのは、バンドにとっては(短期的に見ると)望ましくはないのかもしれないが、前述の通り音楽の話ができる友達ができた私にとって音楽を勧められる唯一の方法だった。

CDはどんどん売れなくなってゆくけれど、無くなるには惜しい魅力を持っている。その友達は、サブスク配信していないとあるガールズバンドのCDを買おうか迷っている。

私の青春にはいつも音楽が寄り添ってくれている。



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