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ローラースケートの登場する映画とドラマ④ ローラーガールズ・ダイアリー

 ローラースケートの登場する映画といえば、なんといってもこれ、「ローラーガールズ・ダイアリー(2009)」。ローラーダービーを題材にした映画で、英語の原題では「Whip It」、ローラーダービーの代表的な技の1つ、ウィップが題名に使われている。ウィップというのは、滑りながら1人のスケーターが後方にいるスケーターの手をとり、ムチ(ウィップ)のように腕をしならせて、びゅんっとスピードをつけて前に送り出す技のこと。

↑ 映画『ローラーガールズ・ダイアリー』予告編 by シネマトゥデイ


 私自身はローラースケートでもちょっとアザができるだけでへこんでしまうようなヘタレだし、ローラーダービーのお姉さまがたはちょっと近寄りがたいわ~なんて思っていたけど、この映画はほんとにもう、めっちゃめちゃ楽しめた。ドリュー・バリモアの監督デビュー作品だったそうなのだが、主人公の女の子、ブリスのデートシーンもいちいちキュートで美しかったし、仲の良い女性たちがわちゃわちゃしているシーンがどれもよくて、ドリュー・バリモアやるなぁ!という感じ。特にこの女性同士のベタつかないわちゃわちゃ感は、女性監督ならではだと思う。

 ↑ この動画は、あの当時オーストラリアの大人気番組だったローヴ(ROVE)というTV番組に映画の宣伝で出演した時のドリュー・バリモア。彼女のローラースケートのシーンは、スタントを使わず自分で滑っているのだそう。2:50あたりからちらっと練習風景が登場するが、出演者たちは全員1ヵ月、毎日朝から晩まで週に5~6日というスケジュールでみっちりローラースケートのトレーニングを受け、さらにプラスで合計2~3か月もトレーニングしてから撮影に入ったそうだ。

 このインタビューに出てくるのだが、どうやら公開当時に開設されていた公式ウェブサイトには、おもしろい機能があったらしい。ローラーダービーでは、映画にも出てくるようにリング名のようなニックネーム、ダービーネームを各選手たちが使うが、自分の名前を入れるとダービーネームを作ってくれる機能がウェブサイトにあったらしいのだ。残念ながらこのウェブサイトはもう閉鎖されてしまったようだが、面白いので、似たような機能のあるウェブサイトを探してみた。

↑ このウェブサイトで、下の名前、苗字をアルファベットで入れて「Generate」をクリックすると、ダービーネームを命名してくれる。
 私は「マイクロ・スーパノヴァ」だった。ミクロの超新星。かっこよー!


 主人公のブリスには、のちに「アンブレラアカデミー」でも人気者になるエレン・ペイジ改め、エリオット・ペイジ。彼女は数年前にトランスジェンダーであることを公表して、名前もエレンからエリオットに変更したが、この2009年の作品ではまだ若い頃のフェミニンな雰囲気で登場している。現在のエリオットのことを考えると、本当は「彼女」ではなく「彼」と呼ぶべきなんだろうけど、この映画では役柄が17歳の女の子だったので、やはりここでは彼女と呼ばせてもらうことにする。

 レイト・ナイトというTV番組の司会に抜擢されたばかりで、がーっと勢いがあった頃のジミー・ファロンも試合の司会者役で登場。レイト・ナイト、そしてその後のトゥナイト・ショウの司会でお馴染みのかちっとした髪型ではなく、ラフなヘアスタイルで出演していて、あれ、結構イケメンだったのね、などと思ってしまった。しゃべりは抜群だけど、いまいちさえない男性司会者キャラ、という役柄にぴったりとはまっていた。

 監督のドリュー・バリモアも、チームメイトとしてちょこちょこと出演している。だけどコケティッシュな感じでちょっと出るだけでも華がありすぎで、やっぱり大女優ってすごい。ローラースケートでは登場時にきれいなスパイラルも決めていた。


 ローラーダービーのパワフルなシーンが続くなか、良いアクセントになっているのが、ブリスのデートシーン。麦畑でのシーン、プールでのシーンが美しくて、若い二人がとってもキュート。


 母と娘の葛藤、そして成長を描いた映画でもあるのだが、最後は不覚にも泣いてしまった。私も母親なので、こういうのに弱い。

 母と娘、恋、女同士の友情、仲間たち、ライバル、主人公の成長と自立の過程がそれぞれしっかりと描かれていて、ローラースケート好きの人にはもちろん、そうでない人にもかなりお勧めの映画だと思う。正直、良質なエンタメとしてもうちょっと話題になっても良かったのに、という感じ。



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