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テレビに出演してみて感じたシーインへの薄気味悪さ(個人的体験と個人的感想と)

早いもので今年ももう終わろうとしています。毎年、それなりに大きなニュースがありますが、今年2022年の繊維・ファッション業界の大きなニュースの一つにSHEIN(シーイン 以下シーイン)の話題があります。

今秋はニュースのみならずワイドショーでも散々取り上げられたため、業界以外の人にも広く知れ渡ったシーインですが、2020年に日本に本格上陸した中国発のインターネット通販専用のファストファッションです。中国発でありながら中国国内では売らず、世界150か国で販売し、あっという間に全世界で日本円換算で2兆8000億円の売上高に到達したと言われています。

今年10月から国内報道がフィーバーしたきっかけは、10月22日に大阪・心斎橋筋商店街に試着専用の期間限定(期間は3カ月間)の実店舗をオープンしたためです。この実店舗は2021年に閉店したユニクロ心斎橋旗艦店の跡地です。ユニクロの跡地に出店したということで、低価格ブランドの新旧交代を印象付けるかのような効果があったので、シーイン側はそれを狙ったのではないかと考えられます。そして、11月13日には、東京の原宿に試着専用の常設店舗をオープンしました。これによって、国内の報道が過熱しました。

ニュースやワイドショーで1か月くらいに渡って報道され続けましたが、自分のような者まで出演の依頼があったほどです。10月25日にインターネット番組「Abema ニュース」にZOOMで、11月19日に関西圏・東海地方・石川・熊本でオンエアされるABC朝日放送の「正義のミカタ」に生出演しました。

12月に入り、報道は少し沈静化したと感じられますが、「シーイン安い・かわいい」という報道から、11月末からはウェブニュースやテレビのニュース速報を中心にシーインの盗作問題や過酷な労働環境など負の側面が多く伝えられるようになったと感じます。しかし、ワイドショーや報道バラエティーでこれらのことが掘り下げて伝えられることは減少しつつあるように感じます。なぜでしょうか?今回はそのことについて、自分のテレビ番組出演で体験したことと合わせて考えてみたいと思います。

まず、10月25日にインターネット番組のAbemaニュースにZOOMで自宅から出演しました。この出演依頼は当日の15時くらいにメールで来ました。たまたま酒を飲みに行く約束もしていなかったので、メールと携帯電話でやり取りしながら自宅に戻りパソコン前でスタンバイしました。自宅でも一度ZOOM越しにマイクテストや画面テストを行いますが、それ以外はお茶を飲んでようがごろ寝していようが、飯を食っていようが関係ないので、結構気楽なものです。また画面も顔と肩口くらいまでしか映りませんから、ズボンは寝間着でも構わないわけで、この辺りも非常に気楽です。

番組ではまず「デジタル庁のマイナンバーカード」のトピックス、それから「下着でUSJに行った人」のトピックスがあり、その後でシーインのトピックスに入りここからZOOM越しに出演しました。

司会の方、レギュラーコメンテーターの方々ほとんどが、割合にシーインには批判的スタンスで、手放しで「かわいー」「安い」と褒める方は誰もおられず、自分としては全員ある程度はまともな論調だと感じました。自分としてもデザイン盗用による訴訟問題や、製造工賃の安さ問題などが報道されていることを挙げ、考慮する部分が多いということを伝えたつもりでした。また商品品質に関しては、店頭で見た限りでは「決してお値段以上ではない」ということを伝えました。

その後、大阪にあるABC朝日放送の地上波テレビ番組「正義のミカタ」から出演依頼があり、11月19日にスタジオから生出演をすることになるのですが、これも出演依頼があったのは、16日の午後のことです。テレビ番組というのは概してこれくらい急な出演依頼が多いようです。翌日に電話とメールで番組内の担当ディレクターの方と打ち合わせと意見交換を行い、前日にはざっくりとした番組台本がメールで送られてきて、それを確認してから翌日早朝にスタジオ入り(番組は午前9時半放送開始)となりました。

恐らくこの出演の直前くらいだったと記憶していますが、Abemaニュースのレギュラーコメンテーターの方がツイッターで「AbemaのシーインのYouTube動画が削除されている」とツイートしておられたのをこの目で見ました。何ならそれをリツイートもしました。マイナンバーカードのトピックスも下着でUSJのトピックスもそのまま公式YouTubeチャンネルで公開されたままなのに、シーインのトピックスだけが完全に削除されていたのです。その時は「なにかまずいことを発言したかな?」と何やら申し訳ない気持ちになりました。

そして、11月19日当日早朝にスタジオ入りして、担当ディレクターと打ち合わせが始まりました。この番組はトピックスが3つか4つあり、それぞれのトピックスにゲストコメンテーターを迎えているというシステムで、自分はシーインのトピックス専用のゲストコメンテーターということなのですが、番組の冒頭から結末までずっと席にいなくてはなりません。ちなみに衣装は自前ですから、前日の夜にあれでもないこれでもないと2時間くらいかけて衣装を選びました。まあ、何を着てもそれほど変わらないと言われればそれまでなのですが。(笑)

当日、ゲストコメンテーターは広い控室に入り、それぞれが個々の担当ディレクターと打ち合わせをしてから、ザックリとしたリハーサル(所要時間10分ほど)を個々に行ってから本番になります。

本番前にディレクターと改めて確認した台本は、シーインへの表現がややマイルドになっていました。そのことに対して実のところあまり気にはならなかったのですが、ディレクターからは「上の方から表現はややマイルドにするようにという指導がありました」と謝罪がありました。そして、ディレクターは「南さんはシーインから目を付けられていますよ」と驚くべきことを教えてくれました。

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